粉体技術用語

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「粉体技術」誌に連載された粉体技術用語をまとめました。
お知らせ 粉体基礎用語19語を追加しました(2015/1/22)

索引

                   
                       


アインシュタインの式
固体の微粒子が液体中に分散している系をサスペンションというが、このサスペンションの粘度について、アインシュタインによって理論的に導出された式をいう。粒子濃度が高くなると合わなくなるが、現在では濃度を補正した式が提案されている。
(あいんしゅたいんのしき,Einstein’s equation)
上がり粉
小麦製粉工程は、ロール式粉砕機とシフターによって、段階的に皮部の分離が行われるため、多くのロール式粉砕機で構成されているが、各ロール式粉砕機下のシフターの最下段からは、製品に使うことのできる小麦粉が得られる。これを上がり粉という。
(あがりこ,flour stream)
アーチ
ビン、ホッパーなどの排出口付近の流路が狭まる部位において、上に凸なアーチ状の面が形成され、その上方の粉体層の重量を支えるような現象が起こる。このような閉塞現象は、架橋現象、ブリッジング、棚吊りなどと呼ばれ、形成した面をアーチと呼ぶ。
(あーち,arch)
圧縮強度
円柱や角柱の形に成形した試験片の軸方向に荷重をかけていく強度試験を圧縮試験という。圧縮試験によって、試験片が破壊した時の荷重を試験片の断面積で割った値を圧縮強度と呼ぶ。圧縮強度は物質の性質だけではなく、内部応力状態にも関係する量である。
(あっしゅくきょうど,compressive strength)
圧縮性粉体
緩く充塡した状態と密に充塡した状態の嵩密度の差が大きな粉体を圧縮性粉体と呼ぶ。この圧縮性は付着力が大きいことに起因しており、自重や衝撃により容易に密充塡状態になるため流動性が低く、粉体操作において種々のトラブルを引き起こす。
(あっしゅくせいふんたい,compressible powder)
圧縮度
粉体を所定のタッピングにより圧密した場合の、圧縮のされ方の程度を示す数値。圧縮度C(%)は、粗充塡した時のゆるみ嵩密度Aと圧密した時の固め嵩密度Pを用いて、C=100(P-A)/Pで表される。流動性の良い粉体ほど、その圧縮度は小さくなる傾向にある。
(あっしゅくど,compressibility, compression degree, compression rate)
圧密
加圧による粉体層の体積減少挙動で、圧縮と同じ意味で用いられるが、圧縮の中で特に粒子の破壊を伴わない圧縮挙動を指す。通常、タッピングや振動による体積減少が圧密にあたる。流動性の悪い粉体の場合は、圧密による体積減少を流動性の尺度にすることがある。
(あつみつ,compaction)
圧力放散弁
ガス爆発や粉じん爆発の被害を防ぐために、装置システムにおいて爆発の予測される場所の近くに設けるベント。金属やプラスチックスのダイヤフラムでカバーされており、爆発が起こるとダイヤフラムが破壊されて爆発圧力が放散される。
(あつりょくほうさんべん,relief vent)
圧裂破断法
粉体層の引張り強さを求める試験法の一つで、製剤の分野で錠剤の評価などに用いられている。圧縮成形された粉体試料を加圧し、圧裂時の応力から引張り強さを求める方法で、粉体試料は一般に円板状に成形され、円板の円を挟むように二平面で加圧されることが多い。
(あつれつはだんほう,diametral compression test)
アルキメデス数
無次元数の一つで、粘性力に対する重力の比を表し、次式で定義される。Ar=x3ρf(ρp-ρf)g/μf2ここでxは粒子径、ρfは流体の密度、ρpは粒子の密度、μfは流体の粘度、gは重力加速度である。
(あるきめですすう,Archimedes number)
アレンの式
粒子が流体から抵抗を受けるとき、粒子基準レイノルズ数Repで2から500までの領域をアレン域といい、層流抵抗のストークス域と乱流抵抗のニュートン域の中間に位置する。アレン域での抵抗係数CD=10/√Repをアレンの式と呼ぶ。
(あれんのしき,Allen’s equation)

ESP
帯電粒子の直流電界中での運動を利用して、ガス中に含まれる粒子状物質を除去する装置。対向する接地電極間にワイヤーあるいは棒状の放電電極を配置し、電極間にコロナ放電を発生させて粒子を荷電するとともに、直流電界を形成する。ガス中の粒子はクーロン力により接地電極に捕集される。
(いーえすぴー,electrostatic precipitator)
一次粒子
粉体やエアロゾル中などでの粒子の最小単位。化学反応などで生成した最初の状態の粒子で、それを構成する分子間の結合が連続で界面を形成する。分子間の結合が連続でも、一次粒子がもととなり、他粒子との焼結などにより形成された粒子は二次粒子という。
(いちじりゅうし,primary particle)
移動層
固体粒子群を垂直な塔内に充填し、塔上部の入口から粒子群を供給し、下部の出口から排出することで、重力の作用によりゆっくりと連続的に移動させる粒子層を移動層と呼ぶ。移動層に流体を通過させて、接触反応、ろ過、集じん、吸着・吸収などに用いる。
(いどうそう,moving bed)
隠蔽力
塗料層(塗膜)が素地を見えなくする能力を隠蔽力という。隠蔽力は単位質量の塗膜が見えなくすることのできる素地の面積(cm2・g-1)で表される。隠蔽力は主として顔料粒子の大きさと塗膜中の濃度、光を吸収・散乱(反射)する能力により決まる。
(いんぺいりょく,covering power, hiding power)

ウエッジ液
粒子間の接触点付近のくぼみに付着形成される液体。粒子充塡層の脱液過程において、層上部で生じる低湿分域すなわちペンデュラー域における液体の存在状態の一つである。ウエッジ液量は粒子の形状と濡れ性に影響され、また、遠心力場では、重力場に比べて減少する。
(うえっじえき,wedge liquid)

エアーフィルター
ろ過集じん装置の一種であるが、バグフィルターと異なり、低濃度の大気じんを対象とするので、空気清浄装置として位置づけられる。ろ材の材質はガラス繊維であることが多いが、合成繊維も使用されるようになってきた。ろ材構造は、積層状、不織布、ろ紙状の繊維層である。
(えあーふぃるたー,air filter)
エアーブレンディング
容器内に機械的な可動部がなく、底部あるいは容器壁に設けたノズルあるいは多孔性物質などでできた通気板からの噴射気流によって、粉粒体を移動または流動化させて混合を行う操作を指す。流動層混合機および気流型混合機での操作がこれにあたる。
(えあーぶれんでいんぐ,air blending)
エアーレーション
粉粒体層に空気を注入する操作をいう。目的によって次の種類に分類できる。①粉粒体の流動性向上(貯槽内での架橋防止、供給量増加、ブロータンクの輸送能力向上、閉塞層の吹き抜き、プラグ輸送の輸送能力向上)、②粉粒体物質の物理化学的処理、③動植物の生育
(えあーれーしょん,aeration)
液状化
土がせん断(剪断)強さを失って液体のように振る舞う現象。特に地震時に問題となる。その原因は地震の震動によりせん断を受けた飽和砂質地盤の過剰間隙水圧がダイレイタンシー(dilatancy)により上昇し、粒子間の有効応力が低下してせん断抵抗が極端に減少することである。
(えきじょうか,liquefaction)
液性限界
土質工学の分野における用語で、土中水分の変化に応じた土の状態変化は、水分の減少に伴って、液体状→塑性状→半固体状→固体・粉体状となる。このうち、液体状と塑性状の境界を液性限界という。土の含水率による状態変化はコンシステンシーと呼ばれる。
(えきせいげんかい,liquid limit)
液相吸着
溶液中における、粉体粒子表面への溶質分子の吸着をいう。吸着量や吸着速度は、粉体粒子表面の処理状態、粒子懸濁系の凝集・分散、あるいは溶媒分子の影響を受ける。吸着機構には、粒子表面の活性基との相互作用、イオンの静電気力、ロンドン・ファンデアワールス力などがある。
(えきそうきゅうちゃく,liquid phase adsorption)
液相焼結
液相と固相の共存下での焼結。液相での速い原子拡散により、焼結速度は速くなる。液相と固相の濡れがよければ、毛管力により成形体は容易に収縮する。また、固相が液相に可溶なときには固体粒子の角などの溶解により、粒子再配列が促進される効果もある。
(えきそうしょうけつ,liquid phase sintering)
エキソエレクトロン放射
EEEと略称される。はじめは機械的なエネルギーによって励起された金属表面からの電子放射を指したが、その後、外部からの電磁波やせん断(剪断)応力など、非熱的手段によって、本来固体に束縛されている電子の一部が自由電子となって放出される現象全般を指すようになった。
(えきそえれくとろんほうしゃ,exoelectron emission)
エジェクタ―
空気などの流体(第一流体)をノズルからディフューザーに噴出させ、噴流により生ずる負圧を利用して吸引管より他の流体(第二流体)を吸引し、第一流体と混合・昇圧して排出させる装置。第二流体とともに粉体を吸引させることで、分散装置としても用いられる。
(えじぇくたー,ejector)
エルガンの式
充塡層内を粘性流体が流れるときの圧力損失を表す式。圧力損失が層流抵抗のみで起こる場合は、コゼニー・カルマンの式が成り立つが、エルガンの式は、これに、乱流抵抗によって起こる圧力損失の項を加えた形で与えられる。
(えるがんのしき,Ergun’s equation)
エルトリエーション
空気または水とともに粉体粒子を流すことによって、分級を行う操作を指す。それぞれ風ひ(風簸)、水ひ(水簸)と呼ばれることもある。転じて、この原理を利用した粉体試料の分級操作、あるいは粒子径分布測定法を指す。
(えるとりえーしょん,elutriation)
エロージョン
流体の衝突による固体材料の浸食のことをいい、ダストを含む排ガスやニューマチック輸送系の管壁の摩耗、あるいは粒子沈着層や固体層の粒子衝突による浸食・崩壊にも用いられる。衝突する流体の違いにより、スラリーエロージョン、サンドエロージョンなどの呼称がある。
(えろーじょん,erosion)
エントレインメント
ボイラーや蒸発装置での水蒸気の生成、あるいは蒸留、ガス吸収、洗浄集じん装置など気液接触装置内において、激しい液の攪拌や気泡の破裂時に、気相中に生成した液滴が飛散して運ばれる現象を指し、飛沫同伴ともいう。広義には、微小粒子の飛散や流動層の飛び出し現象も含む。
(えんとれいんめんと,entrainment)

オイル吸収量、よう素吸着量
カーボンブラック、その他のゴム、プラスチックへの添加剤としての機能に関係する物性値。
オイル吸収量は、堆積するカーボンブラックの空隙を満たすに要するオイル(Dibutylphthalate)の量から、粒子間のつながり、又は凝集による構造の程度を示すもので、単位は ml/100gで表される。
よう素吸着量は、カーボンブラック1g当たりに吸着されるよう素の量をいい、カーボンブラックの比表面積に対応した値である。単位は、mg/gで表される。
押出し流れ
流体が、流れに直角な断面では完全に混合するが、流れの方向には全く他の部分と混合せずに流れる、理想的な流れの状態を指す。押出し流れと対照的な理想流れの状態が、装置内部では濃度が均一であると仮定する、完全混合流れである。
(おしだしながれ,piston flow, plug flow)
オストワルド成長
液相中の分散粒子や、固体中の分散液相や分散気相など、媒質中の分散粒子が時間とともに成長する現象をさす。粒成長の一種であるが、特徴は粒子と粒子の間に第二相が存在する点である。小さな粒子は、その周囲の媒質中へ溶け込み消失し、大きな粒子は逆に成長する。
(おすとわるどせいちょう,Ostwald ripening)
オスモティック吸引力
粒子径が0.1~1μmの微粒子が水中に懸濁しているとき、微粒子の表面は、通常、電荷を帯びている。そのため粒子間に反発力が現れ、水をさらに吸引して粒子間距離を広げようとする力が生じる。この力をオスモティック吸引力と呼ぶ。
(おすもてぃっくきゅういんりょく,osmotic suction pressure)
オスモティック水
固体の表面には、格子欠陥や吸着イオンなど局所的に電気的中性を乱す原因となる箇所が多数存在している。その結果、水は電気化学的な力により固体表面に弱く結合した状態になっている。そのような状態の水をオスモティック水と呼ぶ。
(おすもてぃっくすい,osmotic water)
オーダードミックスチャー
粒子径の大きく異なる2種類の粉体を混合した場合、粒子間の付着力により、大粒子の表面に小粒子が規則的に配列し大粒子を被覆するような状態になることがある。このような状態をオーダードミックスチャーと呼ぶ。2種類の粉体の完全混合状態と考えることができる。
(おーだーどみっくすちゃー,ordered mixture)
オーバサイズ、ふるい上分布
JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の本文及び解説の用語の定義の項には、次のように記述されている。
「オーバサイズ 粉体の粒子径分布において、ある粒子径より大きい粒子群の全粉体に対する百分率。」
「オーバサイズ ある粒子径より大きい粉体粒子の全粉体量に対する質量百分率をオーバサイズで表した。旧規格ではふるい上分布と称したが、試験用ふるいを用いた粒子径分布の表示と紛らわしいことから、既に内外でオーバサイズと称していることもあり、この規格ではこれを採用することにした。
音波凝集
微粒子が浮遊する雰囲気の中を音波が伝播する場合、粒子径によって、慣性力や流体抵抗が異なることから、音波による振動周期と異なった振動をするものがある。その結果、粒子同士の衝突機会が増え、凝集する確率が増える。この現象を音波凝集と呼ぶ。
(おんぱぎょうしゅう,sonic agglomeration)

解膠剤
粉体-液体系で、粒子群を分散させる機能をもつ添加剤を解膠剤と呼ぶ。分散剤とも呼ばれる。粒子間の相互作用は粒子表面の電気二重層間の静電気的反発力とファンデアワールス力による吸引力によって決まるので、解膠剤としては、電気二重層の厚みを増大させるような物質が選ばれる。
(かいこうざい,deflocculant)
解砕
粉砕操作の中で、粒子の凝集体や造粒物のような比較的弱い力で結合した材料を分散させたり、粉化させたりする操作、あるいは繊維質の材料を解きほぐすような操作を、粉砕とは区別して解砕と呼ぶ。
(かいさい,disintegration)
回収率
ふるい(篩)分けなどの分級操作において、分級装置へ供給した原料粉体中の着目成分の含有量と、その分級操作によって回収された粉体中の着目成分の含有量の比を回収率と呼ぶ。回収率は、分級操作において何もしなくても一定の数値が出るため、処理の性能を表す数値ではない。集じんなどの分離操作にも適用される。
(かいしゅうりつ,recovery)
回折
光が物質によってさえぎられるとき、その物体の影となる部分に光が回り込む現象を回折という。これは光の波としての性質によるものである。レーザー回折・散乱式粒子径測定法は、粗粒側で粒子のフラウンホーファー回折パターンが粒子径に関係することを利用している。
(かいせつ,diffraction)
回転せん断(剪断)流
同軸二重円筒の内外筒が異なる速度で回転しているか、どちらか一方が回転している場合の円筒間隙中の流体のせん断流れをさす。間隙が円筒径より十分小さい場合、流れは単純せん断流れとなり、高粘性流体の粘度測定に利用される。高速回転せん断流は凝集粒子の分散に有効である。
(かいてんせんだんりゅう,rotating shear flow)
界面エネルギー
物質の界面は、その内部に比べエネルギーの高い状態にある。単位面積の界面がもつ余剰のエネルギーを界面エネルギーという。なお、熱平衡状態にある物質は、界面エネルギーを小さくし、その系の自由エネルギーが最も低く、系が最も安定する構造をとろうとする。表面エネルギーともいう。
(かいめんえねるぎー,interface energy)
界面活性剤
界面張力を顕著に減少させる物質。洗剤に代表されるように、一般には親水部と疎水部をもつ両親媒性分子である。油水界面において、油相と水相に各々の親媒部分を配向させることで界面吸着するため、界面エネルギーを低下させることができる。
(かいめんかっせいざい,surfactant)
界面電位
固相と液相が接すると、両相の化学ポテンシャルの違いに対応した電位が両相間に発生する。これが内部電位で、界面上の分子の双極子により生じるχ(カイ)電位と、界面上の遊離電荷により発生する界面電位の和で与えられる。表面電位といわれることが多い。
(かいめんでんい,phase boundary potential)
解離吸着
吸着現象において、吸着質分子が解離し、それぞれ解離した分子が化学結合によって固体表面に吸着する現象をいう。解離吸着は、活性化熱を必要とするため、温度上昇によって促進される。水素添加や酸化反応における触媒活性は、解離吸着した状態の安定性に関係している。
(かいりきゅうちゃく,dissociative adsorption)
化学吸着
吸着質が化学結合により固体表面に吸着する現象を化学吸着といい、ファンデアワールス力によって吸着する物理吸着とは区別される。化学吸着は、化学結合の形成に基づくため、活性化エネルギーが必要で、吸着層は単分子層の形成で完了する。
(かがくきゅうちゃく,chemisorption)
化学成分、強熱減量
無機鉱産物等の化学成分の分析は、先ず試料を高温(800 ~1100℃)で恒量になるまで加熱する。この時、高温で分解気化する成分(例えば、結晶水、炭酸塩類等)は、気体として放出されるので加熱の前後で試料の質量が減少する。加熱前の試料の質量に対する加熱による減量の割合を百分率で表し、これを強熱減量という。
高温で加熱することにより試料中の複雑な構造の化合物も、SiO2, Al2O3, Fe2O3, TiO2, CaO, MgO, Na2O, K2O,等のような簡単な構造の酸化物に変わるので、分析はこれらの酸化物をひとつづつ定量して行う。
化学成分の表示は、これらそれぞれの酸化物と強熱減量の試料の質量に対する百分率で表す。この化学成分の表示は、一種の元素分析に類するものであって、実際に試料中に存在する物質の化学構造とは異なることに注意を要する。
架橋現象
粉粒体貯槽内にアーチを形成して重力排出を阻害する現象をいう。棚吊りともいい、固結しやすい粉体において粒子間に再結晶により固体架橋が生ずる現象をいうこともある。
(かきょうげんしょう,bridge formation)
拡散泳動
媒質気体中に濃度勾配があるとき、気体中におかれた粒子は、分子量の大きい気体成分の拡散方向へ移動する。この現象を拡散泳動という。たとえば水面から水蒸気が蒸発している場合、空気中の微粒子は、水よりも分子量の大きな空気分子に従って下方に移動する。
(かくさんえいどう,diffusiophoresis)
拡散荷電
コロナ放電などによって生成したイオンにより粒子を荷電するとき、イオンが熱運動(ブラウン運動)によって粒子に付着することで、イオン雰囲気にある粒子が荷電される現象。電気集じん装置において、特に直径0.2μm以下の微粒子で重要になる荷電メカニズムである。
(かくさんかでん,diffusion charging)
拡散混合
近接した粒子相互の位置交換や、運動によって形成された粒子間隙に粒子が入り込む、あるいは大粒子に微粒子が付着して表面上での位置関係が変化するような局所的な混合を指す。粒子の形状、充塡状態、流れ方向の速度差、回転による粒子運動の不規則性に起因する混合作用。
(かくさんこんごう,diffusive mixing)
拡散パラメーター
気相および液相中に浮遊する微粒子の、ブラウン拡散による捕集体への沈着の程度を表す無次元パラメーターである。拡散方程式を無次元化したときの拡散項の係数で、その物理的意味は、微粒子のブラウン拡散量と対流量の比である。
(かくさんぱらめーたー,diffusion parameter)
拡散捕集
流体中に浮遊する微粒子の粒子径が小さくなると、気体分子の粒子への衝突によって、粒子はブラウン運動を起こす。そのため近傍に壁が存在すると、壁に向かう粒子の拡散によって壁面に沈着・捕集される。この現象を拡散捕集と呼ぶ。
(かくさんほしゅう,diffusive precipitation)
かさ(嵩)べり度
タッピングあるいは加圧などによって粉体の見かけ体積が減少する度合いで、粉体の初期体積をV0、減少後の体積をVとするとかさべり度は(V0-V)/V0で求められる。かさべり度が大きな粉体ほど流動性が悪くなる傾向を示す。かさべり度は圧縮度と同じ意味をもつ。
(かさべりど,degree of volume reduction)
かさ密度
粉体の質量をその占めるかさ体積で割った値。粉体を体積既知の容器に充填し、その質量を求める。
測定法、特に充填のしかたが、ゆるめか固めかで値が異なるので注意を要する、通常は、ゆるく充填した時の値を示すことが多い。
仮焼
固体の熱分解や固相反応のための加熱操作であり、原料を加熱して、結晶水の離脱、炭酸塩の分解、有機物の燃焼などを行う加熱操作をいう。仮焼を行うと、焼結や粒成長によって生成粉体の特性が変化するため、仮焼は、その後の粉体の成形性や焼結性に大きな影響を与える。
(かしょう,calcination)
ガス吸着法、BET法
粉体粒子の表面に占有面積の分かった分子(通常、N2ガス)を吸着させ、その量から試料粉体の比表面積を求める方法である。
代表的なものは、BET法とよばれ、圧力pと吸着量vの関係からBET式(Brunauer,Emmet and Teller’s equation)によって、単分子吸着量vmを測定し比表面積を求める方法であるが、測定手段にいろいろなものが開発されている。この方法では、粒子表面の凹凸、亀裂による表面積、更に活性炭のような多細孔性の粉体を試料とすれば、細孔内の面積を含めた比表面積が求まる。
また、この方法で求めた比表面積をBETの比表面積とよぶことがある。
可塑剤
硬い高分子物質やセラミック原料に添加して塑性を与え、柔軟性、加工性を与える物質をいう。セラミックスの泥しょう(漿)鋳込み成形では、ポリエチレングリコール、フタル酸エステルなどが、押出し成形ではヒドロキシメチルセルロースや変性デンプンなどが用いられる。
(かそざい,plasticizer)
可塑性
弾性限界を超えて外力を加えた場合に生じる外力方向へのひずみ(歪)、あるいは変形が、外力を除いてもそのまま残るような性質を可塑性という。金属や合成樹脂の場合は、温度により、練り土や小麦粉の場合は、含水量により可塑性を変化させることができる。
(かそせい,plasticity)
活性剤(浮遊選鉱)
粒子表面を疎水化する浮選剤。そのままでは捕集剤と親和性の低い粒子表面や、抑制剤により浮遊性が抑制された粒子表面に作用して、捕集性や浮遊性を高めるために用いられる。閃亜鉛鉱に対しては、硫酸銅が有効である。塩化カルシウム、硫化ソーダも重要な活性剤である。
(かっせいざい,activator(flotation))
滑沢材
少量の添加により粉体の流動性、圧縮性を改善する物質の総称である。たとえば打錠操作では、粉体供給性改善、圧縮流動性向上、臼と杵の摩擦や付着の軽減に効果がある。ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、微粉無水ケイ酸がよく用いられる。
(かったくざい,lubricant)
カット径
分級機あるいは集じん装置において、分離する境界の粒子径を指す。一般には部分分離効率が50%に相当する粒子径を意味するが、100%分離径、80%分離径などもカット径として用いられることがある。
(かっとけい,cut size)
荷電
粉粒体粒子に電荷を与えて帯電させること。異種物質との接触による荷電(接触荷電)、誘導電荷による荷電(誘導荷電)、イオンによる荷電などがある。例えば、コピー機では接触荷電を、電気集じん装置ではコロナ放電を利用して粒子を荷電し、クーロン力により対向電極に移動させる。
(かでん,electrostatic charging)
カニンガムの補正係数
気体中を運動する微小粒子が受ける流体抵抗力を補正する係数。粒子径に比べて気体分子の平均自由行程が無視小とみなせない場合には、粒子周りの気体を連続体とはみなせなくなり、粒子表面で流体のスリップが起こるようになる。その効果を補正する係数で、空気中の10μm以下の粒子では2%以上の影響がある。
(かにんがむのほせいけいすう,Cunningham’s correction factor)
カーの流動性指数
1965年にR.L.Carrによって提唱された、粉粒体の流動性を総合的かつ定量的に表現するための評価指数。粉粒体の安息角、圧縮度、スパチュラ角、均一度または凝集度の四種類の値を測定し、経験的に求められている最高25の指数を配点し、これらの合計値で評価を行う。
(かーのりゅうどうせいしすう,Carr’s flowability index)
過飽和度
その温度での飽和蒸気圧をPs、雰囲気の蒸気圧をPaとすると(Pa-Ps)/Psを過飽和度という。断熱膨張や冷却により過飽和が起こる。また化学反応では、反応生成物の濃度が平衡濃度より高くなる場合にも過飽和が起こる。粒子生成における核生成速度は過飽和度の関数となる。
(かほうわど,supersaturation degree)
顆粒密度
造粒処理で作られる顆粒では、顆粒一個の内部に細孔や空洞が存在し、一個粒子の密度は素材の密度より小さい。この見かけの密度を顆粒密度という。
(かりゅうみつど,granule density)
乾きガス
排ガス中には、一般に水分が含まれており、この水分を差し引いた仮想状態のガスを乾きガスと呼ぶ。水分を含んだ実際のガスを湿りガスと呼び、乾きガスと区別している。
(かわきがす,dry gas)
川北の式
粉体をタッピングにより圧密した際の粉体のかさべり度Cとタッピング回数Nとの関係を、N/C=1/(a・b)+N/aで表した式を川北の式と呼ぶ。ここでa、bは実験定数である。
(かわきたのしき,Kawakita’s equation)
干渉沈降
流体中に分散している粒子が、同時に存在する周囲の粒子あるいは器壁の影響を受けて、単独で沈降している場合よりも遅い沈降速度を示す状態を干渉沈降という。分級を目的とする沈降の場合、干渉沈降条件の方が分級精度が上がる。
(かんしょうちんこう,hindered settling)
含水率
試料中に含まれる水分の割合を指す。湿り材料を基準にした湿量基準含水率、乾き材料を基準とした乾量基準含水率があり、通常、質量比(kg-水分/kg-湿潤あるいは乾燥材料)で表される。水分量は一定温度で、所定時間乾燥させたときの蒸発水分量で求められる。
(がんすいりつ,moisture content)
慣性集じん
気流中に障害物を挿入し、気流の方向を急に変えても、粒子は慣性力のために直進しようとする性質を利用して、粒子を障害物上に衝突・捕集する集じん方式を指す。この原理を応用した装置の代表例がルーバー型分離装置であり、主として前置集じん装置として利用されている。
(かんせいしゅうじん,inertial dust collection)
慣性衝突
流体中に置かれた障害物の周りなどで、粒子が流れの方向変化に追随できず、慣性力で障害物に衝突する現象を指す。流速、粒子径が大きいほど、慣性衝突は顕著であり、慣性集じん装置ではこの現象を捕集原理としている。
(かんせいしょうとつ,inertial impaction)
慣性パラメーター
流体中を移動する粒子の慣性を表す無次元数。ストークスの粘性抵抗を受けている粒子の停止距離Sと、系の代表長さDの比。気相系ではψ=S/D=Cρpx2u/18μDで近似できる。ここで、Cはカニンガムの補正係数、ρpは粒子密度、xは粒子径、uは粒子の速度、μは流体の粘性係数である。
(かんせいぱらめーたー,inertial parameter )
慣性分級
流体と密度差がある粒子の慣性力が粒子径により異なることを利用して、粒子径ごとの分画を行う分級法。主として気相において用いられる。インパクターは慣性分級の原理を利用した装置であるが、粒子径分布測定用を除くと、その構造上大型化は難しい。
(かんせいぶんきゅう,inertial classification)
完全混合
分子、単位結晶粒、あるいは一粒子レベルで均質化している混合状態を指す。粉粒体混合では、統計的に不規則配列した状態を完全混合ということが多い。
(かんぜんこんごう,perfect mixing)
完全混合流れ
流通系装置を、流体あるいは粉粒体が通過するときの理想的な流れの状態の一つで、装置に流入した瞬間に、流体は装置内で一様に混合され、装置内の流体の特性(濃度、密度、温度など)が装置を出ていく流体の特性と等しくなる流れをいう。
(かんぜんこんごうながれ,perfectly mixed flow)
乾燥収縮
高含水固体、ゲル状物質、高粘性液体などの乾燥・脱水に伴う体積の収縮をいう。高分子溶液、食品、木材、粘土など多くのものにみられる。乾燥中に塗膜が収縮するシート状製品の製造では、収縮により生じた内部応力が各種乾燥欠陥の原因となる。
(かんそうしゅうしゅく,dry-shrinkage)
緩速凝集
液相中にコロイド粒子が懸濁した系に電解質を添加すると凝集速度が増加するが、ある一定電解質濃度以上になると凝集速度はある一定の最大値を示す。この電解質濃度を限界凝集濃度と呼ぶが、この濃度以下での凝集を緩速凝集と呼ぶ。
(かんそくぎょうしゅう,slow flocculation)
管摩擦係数
流体の管内輸送における管の内壁と流体との摩擦によるエネルギー損失を表す係数。τを管内壁で発生する摩擦応力、Uを流れの平均流速、ρを流体密度とすると、τ=(λ/8)ρU2で定義される係数λをいう。英米では、f=λ/4を管摩擦係数ということがある。
(かんまさつけいすう,pipe friction factor)

気相吸着
粉体や固体表面への気体分子の吸着をいう。たとえば大気中の水蒸気の吸着のように、混合気体中の特定成分の吸着が対象となる場合もあるが、一般には一成分系での吸着を指す。吸着機構としては、化学吸着および物理吸着がある。
(きそうきゅうちゃく,gas phase adsorption)
規則充塡
結晶格子のように、ある周期で同じ粒子配列が現れる粒子充塡状態のことで、数個の粒子から構成される粒子配列構造の最小単位を検討すれば、それに並んだユニットセル数をかけるだけで粒子充塡層全体の特性が把握できる。
(きそくじゅうてん,regular packing)
擬塑性流体
降伏値をもたないものの、流動曲線が塑性流体に似通っている流体を指す。擬塑性流体の見かけの粘度は、せん断(剪断)速度の増加とともに減少するのが一般的である。固体粒子が液中に分散した系、ある種の高分子溶液に擬塑性流体の性質をもつものが多い。
(ぎそせいりゅうたい,pseudo-plastic fluid)
気体容積法
粒子密度測定法の一つであり、気体置換法ともいう。容積が既知である容器の中に試料粉体を入れ、このとき試料の体積分だけ排除される気体の体積をボイルの法則で求めることにより試料粉体の体積を求める。試料粉体の質量をこの体積で除して粒子密度を決定する。
(きたいようせきほう,gas pycnometer method)
気中分散
粉体を乾式で解砕・分離し、気中へ供給する操作であり、気中への粉体の供給と、供給された粉体を一次粒子に近い状態まで解砕・分離する過程の二段階からなる。前者は定量供給性、後者は、凝集粒子を解砕するための外力をいかに有効に作用させるかが重要な課題である。
(きちゅうぶんさん,dry dispersion)
キックの法則
粉砕に要する仕事量は粉砕される原料(砕料ともいう)の体積に比例し、一定量の原料を粉砕するのに要する仕事量Wは粉砕比xf/xpで決まるとした粉砕仕事法則の一つであり、W=Cln(xf/xp)で与えられる。ここで、xf、xpは、粉砕前後の粒子径を表し、Cは原料によって決まる係数を表す。
(きっくのほうそく,Kick’s law)
起泡剤
水層(パルプ)中で発生した気泡の分散性を高めると同時に、水層表面の泡沫層を安定化させる浮選剤の一つ。界面活性が強く、捕集性がなく、粒子と反応しないもので、植物精油(パイン油など)、アルコール(アミルアルコールなど)、エーテルやケトンなどが用いられる。
(きほうざい,frother)
気泡流動層
気泡相を形成して流動化する流動層で、気泡が粉体層を攪拌することが最大の利点であるが、流動層から排出されるガスに微粉が同伴していくのが欠点である。触媒反応、ポリオレフィンの重合反応、流動層燃焼、ガス化、廃棄物処理、乾燥、造粒など幅広く利用されている。
(きほうりゅうどうそう,bubbling fluidized bed)
逆電離
電気集じんや静電塗装において、堆積粉体層の電気抵抗率が大きいと、粉体層内での電位勾配が大きくなり、これが電界強度を越えると絶縁破壊を起こし放電が起こる。電気集じんでは、集じん極から放電極に向かう逆方向の放電のため、集じん効率の低下につながる。これを逆電離という。
(ぎゃくでんり,back discharge)
キャッピング
錠剤機の打錠障害の一つ。錠剤の上面や下面が帽子状にはく離すること。結合剤が不足したり、滑沢剤の添加が多過ぎたりして、錠剤中の粒子の結合力が不足している場合に、加圧後の抜圧過程や放出過程で起こる。
(きゃっぴんぐ,capping)
キャノピーフード
空間の一部に存在する特定の気体、たとえば加熱されて高温となる空気や粉じんやヒューム、その他のガスが発生して空気を汚染している場所から、効果的に汚染ガスを吸引・除去するための広口の吸引口をフードといい、特に上方からガスを吸い込む形式をキャノピーフードと呼ぶ。
(きゃのぴーふーど,canopy hood)
キャピラリー状態
粉粒体充塡層の空隙がすべて液体で満たされた状態であって、液相の割合が多く固体粒子同士はその液体で隔てられて固相が不連続となっている状態をいう。
(きゃぴらりーじょうたい,capillary state)
キャピラリー数
表面張力の関係する現象を定量的に評価するときに用いられる無次元数。粒子層内に表面を形成して保持される液体に作用する表面張力と、それを破壊する原因となる力、重力、遠心力との比で表される。
(きゃぴらりーすう,capillary number)
吸引圧
多孔質固体や粉粒体層を液体に触れさせると、親液性物体の場合には、液体はその内部に浸透していく、すなわち粉粒体層が液体を吸い込む力があり、その力を吸引圧という。吸引圧は、毛管吸引圧と浸透吸引圧(オスモティックサクションポテンシャル)からなる。
(きゅういんあつ,suction pressure)
球形晶析法
晶析と湿式(液中)造粒法を組み合わせることにより、一段階で結晶の球形造粒物を得る手法。いい換えれば、晶析により一次結晶特性を制御するとともに、造粒により二次粒子特性を同時に制御する粒子設計法である。
(きゅうけいしょうせきほう,spherical crystallization)
急速凝集
コロイド分散液に電解質を添加すると濃度に応じてコロイドの凝集速度が上昇するが、ある一定の電解質濃度以上になると凝集速度は一定(最大値)となる。この濃度を限界凝集濃度と呼び、この限界凝集濃度以上の領域での凝集を急速凝集という。
(きゅうそくぎょうしゅう,rapid flocculation)
吸着熱
固体表面に、気相中あるいは液相中の分子が吸着することにより生じるエンタルピー変化をいう。気相あるいは液相中を自由に運動していた分子が、固体表面に拘束されるため、自由度が下がりエントロピーが減少するため、吸着は発熱過程となる。
(きゅうちゃくねつ,heat of adsorption)
吸着ポテンシャル
ある平衡圧で吸着状態にある物質1molを、これと平衡状態にある気相内に脱着するのに必要な等温可逆的な仕事量を吸着ポテンシャルという。
(きゅうちゃくぽてんしゃる,adsorption potential)
吸着平衡
温度一定の条件下で吸着質の圧力あるいは濃度が一定で吸着量の変化がない状態を吸着平衡という。吸着現象は、吸着等温線や等温式で表され、これは温度一定で吸着平衡になったときの吸着量と吸着質の圧力あるいは濃度との関係を示したものである。
(きゅうちゃくへいこう,adsorption equilibrium)
吸入製剤
吸入を目的としたエアロゾル剤のことであり、医薬品の溶液、懸濁液などを同一容器または別の容器に充塡したガスの圧力により、使用時に噴出して用いる製剤である。エアロゾル剤は、容器、バルブ、アクチュエーター、内容物(薬物)および噴射剤から構成される。
(きゅうにゅうせいざい,inhalation dosage form)
供給機
粉粒体を供給、排出するための装置を総称する。供給操作は貯槽やホッパーから粉粒体を要求に従って切り出すものである。粉体のフラッシングやブリッジ対策を施すために連続的な定量性を維持したり、制御の応答性を確保したりすることが求められる。
(きょうきゅうき,feeder)
凝集
粒子同士が衝突し付着する現象のことを凝集といい、気相および液相中の高濃度微粒子分散系の動力学的挙動を支配する重要な因子である。凝集により全粒子の総体積は保たれるが、粒子数が減少し、粒子の大きさが増大する。
(ぎょうしゅう,agglomeration, aggregation)
凝集剤
液相中の分散粒子を液相から分離するために、粒子を凝集させ、沈降速度を増大させて分離する方法がある。粒子を凝集させるために添加される薬剤を凝集剤といい、電解質と水溶性高分子がある。
(ぎょうしゅうざい,coagulant, flocculant)
凝集定数
気相および液相中に浮遊する直径xi、xjの2粒子が単位時間に衝突、付着する確率を凝集定数と定義し、K(xi, xj)と表示する。2粒子のそれぞれの個数濃度がni、njのときに、単位体積、単位時間あたりの衝突数は、K(xi, xj)ninjで表せる。
(ぎょうしゅうていすう,coagulation constant, agglomeration constant)
凝集沈殿法
重力を利用した固液分離法の一種。水中の微細懸濁物を薬品(凝集剤やpH調整剤など)を用いて粗大化することで、沈殿分離を容易にする方法。凝集沈殿法では凝集操作におけるフロック形成度合いが沈澱時の分離速度や清澄度合いを左右する。
(ぎょうしゅうちんでんほう,flocculating sedimentation method)
凝集流動(化)層
付着性の強い粒子が凝集体を形成し、凝集体として流動化している流動層。凝集体の大きさは、気泡流動化による流体力学的な力と付着力との釣り合いにより決定される。すなわち、付着力が大きいほど、また、バブリングが穏やかなほど、大きな凝集体が形成される。
(ぎょうしゅうりゅうどう(か)そう,agglomerating fluidized bed)
凝析価
コロイド分散液に電解質を添加すると濃度に応じてコロイドの凝集速度が上昇するが、ある一定の電解質濃度以上になると凝集速度は一定(最大値)となる。この濃度を凝析価あるいは限界凝集濃度と呼ぶ。急速凝集速度を得るための最小電解質濃度という意味をもつ。
(ぎょうせきか,coagulation value)
共沈法
二種以上の金属陽イオンを含む水溶液のpHを調整し、それらの溶解度積が最小となるようにして二種以上の金属陽イオンを含む水酸化物あるいは水和物を同時に沈殿させる方法。均一な無機複合体を製造するための液相法の一種である。
(きょうちんほう,coprecipitation method)
共通イオン効果
溶解平衡にある溶液に、同じ種類のイオンを加えると、化合物の溶解度積は減少し、そのイオンが減少する向きに平衡が移動する。この現象を共通イオン効果という。水溶液からの液相法で酸化物微粉体を調製する場合に考慮すべき因子である。
(きょうつういおんこうか,common ion effect)
極性流体
極性のある分子や物質からなる流体は、その極性のためにミクロ的に集合して微細構造を持つことがあり、それ以上細分すると物理的性質が変化する限界が存在する。そのような流体を極性流体という。高分子溶液や微粒子を含む流体にその事例をみることができる。
(きょくせいりゅうたい,polar fluids)
許容濃度
労働者が1日8時間、週間40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質にばく露される場合に、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響がみられないと判断される、当該有害物質の平均ばく露濃度をいう。
(きょようのうど,occupational exposure limits)
擬ラテックス
ラテックスのように重合反応で粒子径のそろった微粒子懸濁液を作製することができない物質を、いったん適当な溶媒に溶解してからそれを分散相として乳化させ、その後、分散相の溶媒を蒸発させるなどして微粒子の懸濁液を得る。このような懸濁液を擬ラテックスという。
(ぎらてっくす,pseudo latex)
均一核生成
凝縮による粒子の生成過程において、凝縮性物質(蒸気分子)が過飽和の状態になると、分子の集合体である核粒子が形成される。続いて、核粒子同士が凝集したり、蒸気分子が核粒子に凝縮したりして微粒子が形成される。この現象を均一核生成と呼ぶ。
(きんいつかくせいせい,homogeneous nucleation)
均一沈殿法
液相法で沈殿を生成する場合に、局所的な沈殿生成を抑制し、溶液内で均一に沈殿を生成させる方法。尿素の加水分解反応など溶液内部のpHが均一に変化するような化学反応を利用して均質性の高い微粉体を得ることができる。
(きんいつちんでんほう,homogeneous precipitation)
均斉度
粒子の異方性を表す形状指数で、安定な姿勢に置かれた粒子に外接する直方体の三辺(長径、最小短径、厚み)の比で与えられ、巨視的な形状の評価に用いることができる。長径/最小短径を長短度、最小短径/厚みを扁平度、また、その比をZingの指数と呼ぶ。
(きんせいど,proportion)
金属アルコキシド
Mn+(OR)n-という一般式で表される有機金属化合物のことを金属アルコキシドといい、アルコールROHの水酸基のHが金属Mで置換された誘導体、あるいは、金属水酸化物M(OH)nの水酸基のHがアルキル基で置換された誘導体である。液相法による微粒子の製造法に用いられる。
(きんぞくあるこきしど,metal alkoxide)

空間率
粉粒体層の嵩体積V内の空間の割合を空間率εと呼び、ε=1-M/(V×ρp)で与えられる。ここで、Mは粉粒体層に充塡された粒子の総質量、ρpは粒子の真密度である。空間率は最も簡便な充塡状態の表現指標である。
(くうかんりつ,void fraction)
空間率関数
空隙率関数ともいう。液体中に分散した粒子の沈降速度は、粒子濃度の増加とともに小さくなる。その沈降速度は、一個粒子の沈降速度を補正して表される。空間率εを含むその補正式を空間率関数と呼び、多くの関数形が提案されている。
(くうかんりつかんすう,void function)
空気透過法
粉体層に対する流体(空気)の透過性から粉体の比表面積を測定する方法をいう。この方法の基礎となるのは粉体層を構成する全粒子の濡れ表面積と、そこを透過する流体(空気)の流速および圧力降下の関係を示すコゼニー・カーマン(Kozeny-Carmann)の式であり、装置によって定められた条件で充填された粉体層に対する流速と圧力降下を測定して、試料の比表面積を求める。
この方法は充填された粉体粒子の間隙を細孔と見たてて、空気の流れに抵抗となる粒子群の濡れ表面積を求めるもので、通常はガス吸着法で求めた比表面積よりも小さな値を示す。
空気輸送
管路内を空気またはその他の気体によって、固体を輸送する技術を指す。英語名称からわかるように本来は、空気力学的輸送ないし空力的輸送と呼ぶべき用語であるが、業界の慣例上、空気を運ぶことを想起する空気輸送という用語が使われている。
(くうきゆそう,pneumatic conveying, pneumatic transport)
空塔速度
移動層や充塡層において、仮に充塡粒子がないものとして計算される流体速度。実際の層内での流体平均速度は、空塔速度を空間率で割った値に等しい。塔内で起こる物理現象の解析には適切ではないが、装置設計には便利な数値であるため、広く用いられている。
(くうとうそくど,superficial velocity)
屈曲係数
粉粒体層や多孔質固体内の拡散における内部空隙の拡大縮小、流路の折れ曲がりなどの細孔構造の影響を総括的に考慮するための補正係数で、屈曲度、経路係数、迷路係数、迷宮度などとも呼ばれる。
(くっきょくけいすう,tortuosity factor)
クヌーセン数
気体分子の平均自由行程λと細孔径などその拡散系の代表長さxとの比で定義される無次元数Kn=λ/xをクヌーセン数と呼ぶ。Knが10程度以上になると、気体分子同士の衝突よりも分子と細孔壁との衝突頻度が高くなり、気体は連続体としての性質を失う。
(くぬーせんすう,Knudsen number)
グラディエント力
不平等電界中で粒子が電界の影響を受けて分極することにより受ける力を指す。誘電泳動力とも呼ばれる。通常、電界の強い方向に作用するため、粒子は帯電していなくても電界の強い方向に移動する。
(ぐらでぃえんとりょく,gradient force)
クリーガーの式
固液分散系スラリーの粘度式の一つで、高濃度スラリーに対して提案された半経験式であり、次式で表される。μr=(1-φ/φmax)-kEφmax ここでμr、φ、φmaxはそれぞれ相対粘度、固体体積分率、固体の最大充塡体積分率である。kEは実験定数である。
(くりーがーのしき,Krieger’s equation)
グリフィス・クラック
固体材料の原子間力結合力から計算される脆性材料の理論的破壊強度と、実測される破壊強度の著しい差異を説明するために仮定された微視的クラックを、提唱者の名前を冠してグリフィス・クラックと呼ぶ。
(ぐりふぃす・くらっく,Griffith crack)
クーロンの摩擦則
ある物体間に働く摩擦力Fは、物体間の接触面に垂直に働く力Nに比例し、F=μNで与えられる。これをクーロンの摩擦法則という。μは摩擦係数と呼ばれる。一般に、相対運動を引き起こそうとしたときの静止摩擦係数は、相対運動を継続しているときの動摩擦係数よりも大きい。
(くーろんのまさつそく,Coulomb’s friction law)
クーロン粉体
静止粉体層中のある面に垂直応力σとせん断(剪断)応力τを負荷し、その面が崩壊しはじめる限界応力状態に達したときのσとτの関係は、σ-τ平面の破壊包絡線によって表される。ここでτ=μσ+cという直線で表される粉体をクーロン粉体という(μ:内部摩擦係数、c:粘着力)。
(くーろんふんたい,Coulomb’s powder)
クーロン力
帯電している物体間に働く静電気力の一種。クーロン力により同符号同士の粒子間には斥力が、異符号同士の粒子間には、引力が作用する。力の大きさは、両粒子の電荷の積に比例し、距離の2乗に反比例する。
(くーろんりょく,Coulombic force)

形状偏析
形状の異なる混合粒子群は、流動化に伴い形状ごとに分離現象を示す。これを形状偏析と呼ぶ。これは粒子群の流動化により、粒子間の摩擦効果が減少し、わずかな形状差による移動度(モビリティー)の差異が増幅されることに起因する。均質混合を目指す粉体操作ではトラブルの原因である。
(けいじょうへんせき,shape segregation)
結合剤
造粒や成形の操作において、粉体状の原料に適当な凝集性や成形性(可塑性)をもたせ、かつ用途に合致した強度(崩壊性)、溶解性、反応性などを考慮して、固体粒子間の結合媒体として使われる物質を結合剤という。
(けつごうざい,binder)
結合水
結晶、ゲル、粘土、生体などに含まれる水のうち、それらの構成分子に強く引きつけられていて簡単には取り除けないものをいう。吸着水も結合水の一種である。結合水は構造的に自由水とは異なり、凝固点が低下するなど物理化学的性質が異なる。
(けつごうすい,bound water)
結晶核
過飽和溶液(または過冷却融液、以下同様)内で安定に存在し、結晶構造をもつ微細な粒子。過飽和溶液から自然に発生する核を一次核と呼び、過飽和溶液中に存在する結晶粒子が原因となって発生する結晶核を二次核と呼んで区別している。
(けっしょうかく,crystal nucleus)
結晶子
固体中の微細な単結晶をさす。普通の結晶物質は結晶子が集合した多結晶集合体と考えられ、結晶子は単独で存在する状態よりは、多結晶体中の粒界で分離された状態の単結晶を指す用語として用いることが多い。
(けっしょうし,crystallite)
結晶水
結晶中に一定の化合比で含まれている水。結晶内で一定の位置を占め、結晶格子の安定化に寄与している。一定の温度範囲で一定の水蒸気圧を示し、熱すればある温度で段階的に脱水され、結晶構造が変化する。
(けっしょうすい,crystal water, water of crystallization)
結晶多形
同一の化学組成を有する化合物で、結晶構造の異なるもの。同一元素での多形としては、ダイヤモンドとグラファイトの例が知られている。スルホンアミド、リボフラミン、ステロイド、カカオ脂など多くの有機化合物も結晶多形をもつ。
(けっしょうたけい,polymorphism)
ゲル
微細なコロイドが凝集し、固相が連続相となった半固体。ゾルでは連続相が液相であるが、ゲルでは固相が連続である。
(げる,gel)
ゲル化
寒天やゼラチンは温水に溶かせば分散して流動性のよいゾルになるが、これを冷却すると流動性を失ってゲルになる。一般にコロイド粒子が独立した運動性を失って凝集固化した状態をゲルといい、この固化する現象をゲル化という。
(げるか,gelation)
ゲルキャスティング(法)
成形原料の流動過程(賦形)と固化過程(保形)を分離して均一な成形体を得る成形法で、有機物モノマー溶液にセラミック粉末を分散させ、これを鋳型に流し込んだ後、重合反応を進行させて、セラミック粒子が保持された湿潤ポリマーゲル状の成形体を得る方法である。
(げるきゃすてぃんぐ(ほう),gelcasting)
ゲルコーティング膜
ゾル・ゲル法をもとにした成膜法で得られる膜。金属アルコキシドあるいはその他の化合物を溶媒中に溶解し、加水分解および脱水縮合などを行って得た前駆体を基板へ塗布し、熱処理をしてコーティング膜とする。
(げるこーてぃんぐまく,gel coating film)
ケルビン効果
液表面の曲率が液表面蒸気圧を変化させる効果をいう。液滴のように凸の表面では平らな表面の蒸気圧よりも上昇し、一方、細孔内の液表面のように凹な表面では逆に低下する。また、その上昇あるいは降下の度合いは、表面の曲率が大きいほど大きい。
(けるびんこうか,Kelvin’s effect)
ケルビンの式
曲率をもった液表面での蒸気圧pdを与える式で、次式で与えられる。pd/ps=exp[4γvm/(2rkT)],vm=Vm/Naここで、psは平坦な液表面の飽和蒸気圧、γは表面張力、Vmはモル体積、Naはアボガドロ数、rは液滴半径または液表面の曲率半径、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
(けるびんのしき,Kelvin’s equation)
減圧サイロ
貯槽部の気密性を高度に高め、真空減圧によって、閉塞を生じやすい粉体の排出を容易に行うためのサイロである。脱脂大豆ミールなど固結の起きやすい粉体や、付着性の高い粉体の貯槽として適している。
(げんあつさいろ,low air-pressure silo)
限界応力状態
静止粉体層のある面に、いろいろな組み合わせの垂直応力およびせん断(剪断)応力を働かせると、静止の状態を保つ場合と粉体層にすべり崩壊が生じ、流動しはじめる場合がある。この静止と流動開始の境界の応力状態を限界応力状態という。
(げんかいおうりょくじょうたい,critical state of stress)
限界含水率
材料の乾燥操作において、材料内部の液状水の移動があり、受熱量と蒸発熱がバランスする乾燥過程(恒率乾燥期間)と液状水の移動が受熱量に追いつかず乾燥面の移動が起こる乾燥過程(減率乾燥期間)が存在する。両過程間の遷移点での平均含水率を限界含水率とよぶ。
(げんかいがんすいりつ,critical moisture content)
限界凝集濃度
水中の帯電粒子分散系に電解質を添加していくと、ある濃度で分散系が急に白濁したり、粒子が巨大フロック化したりする。これは粒子の電荷が電解質イオンにより遮蔽され粒子間の静電反発力が見かけ上なくなるためである。この境界の電解質濃度を限界凝集濃度とよぶ。
(げんかいぎょうしゅうのうど,critical coagulation concentration, CCC)
限界単磁区サイズ
強磁性体を微細化し、粒子径を小さくしていくと、ある粒子径以下では、磁区の境界を形成する磁壁が存在できなくなり、エネルギー的に安定な単磁区粒子となる。この臨界の粒子径を限界単磁区サイズという。
(げんかいたんじくさいず,critical single domain size)
顕微鏡法、円相当径、統計的径
粒子径分布の測定でいう顕微鏡法とは、顕微鏡の画像上で粒子の大きさと個数を計測して粒子径分布を測定する方法である。
通常の粉体粒子の形状は、球状と異なり不規則形であるため、どう粒子径を定義するか、何処の大きさを計測するかにより、多くの粒子径の表し方がある。
円相当径とは、粒子の投影像について粒子径を定義する用語の一つで、次の三つがあるが、単に円相当径といった場合は(i)を指す場合が多い。
(i) 投影面積円相当径:粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径であり、 Heywood径とも呼ぶ。
(ii) 投影周長円相当径:粒子の投影図形の周長に等しい円周をもつ円の直径で、おもに粒子の形状評価に用いる。
(iii) 外接および内接円相当径:粒子の投影像に外接および内接する円の直径で、おもに粒子の形状評価に用いる。
上記の円相当径の他に、顕微鏡法による粒子径の計測、表示の仕方として、統計的径として、次の三種がある。
(i) マーチン(Martin)径:一定方向で粒子の投影面積を二等分する線分の長さ。
(ii) フェレー(Feret)径:粒子をはさむ一定方向の二本の平行線の間隔。
(iii) 定方向最大径:一定方向での各粒子の最大幅。

公称目開き
ふるい(篩)において、ふるい目の大きさの基準とする寸法。「ふるいの呼び」ともいう。ISOでは、ふるいの公称目開きとして、5μmから125mmまでを規定し、試験用ふるいおよび工業用ふるいそれぞれに公称目開き系列が規定されている。
(こうしょうめびらき,nominal aperture size)
抗折強度
曲げ荷重で測定される脆性材料の強度特性の一つ。セラミックスではJIS Z 1600に二種類の測定法が規定されている。厚さ3mm、幅4mmの断面形状をもつ四角柱形試料を、支点間距離30mmで支え、3点法ではその中央、4点法ではスパン10mmの2点で加重して破壊する。
(こうせつきょうど,flexural strength)
構造水
結晶水の一つの存在形態として考えられるもので、水酸基として化合物中に含まれ、加熱するとH2Oとして脱水されるもの。たとえばMn(OH)2、Na2[Sn(OH)6]などがある。
(こうぞうすい,constitution water)
構造粘度
水や粘性の小さな溶液は近似的に粘度=ずり応力/せん断速度=一定、で表されるニュートン流動を示すが、コロイド溶液やポリマー濃厚溶液では、粘度がせん断速度の関数となって一定とはならず、せん断速度の増加とともに減少することが多い。この現象を構造粘度という。
(こうぞうねんど,structural viscosity)
硬度
他の物体によって変形を与えられるとき生ずる抵抗の大小を表す指標。引っかいて試料に傷をつけるモース硬度、標準物質を一定の高さから落下させその反発高さから求めるショアー硬度、さまざまな形状の圧子を押し込んで形成されるくぼみの形状から求めるブリネル硬度などがある。
(こうど,hardness)
降伏応力
固体の引張り試験において、弾性限界(降伏限界という)における引張り強さをいう。また塑性流体の流動において、流動が生じるせん断応力の最小値をいう。
(こうふくおうりょく,yield stress)
降伏関数
材料における降伏の発生を数理的に表現するための関数。多くの場合、材料が降伏するか否かは応力によって決まる。したがって、降伏関数は応力の関数として表されることが多い。粉体層のすべり崩壊条件を表すための破壊包絡線も降伏関数の一種である。
(こうふくかんすう,yield function)
高分子凝集剤
液中の懸濁粒子を凝集分離するために用いられる水溶性高分子をさす。カチオン性、ノニオン性、アニオン性高分子があり、吸着高分子による帯電表面の遮蔽や粒子表面間の架橋などのメカニズムにより粒子を凝集させる。少量の添加で巨大フロックの形成が可能である。
(こうぶんしぎょうしゅうざい,polymer flocculant)
抗力係数
流体中に浮遊する物体に作用する流体抵抗の大きさに関する係数。抗力係数CDを用いると、物体に作用する抗力FDは、物体の流れ方向断面積Aと流体の動圧ρu2/2との積を用いてFD=CD・A・ρu2/2で与えられる。ここでρは流体の密度、uは流体の速度を表す。
(こうりょくけいすう,drag coefficient)
抗力モデル
粒子層中を流体が透過するときの圧力損失特性を記述するモデルの一つ。粒子層の圧力損失は、無限空間中での単一粒子が受ける流体抗力、空間率関数、および層中の粒子数に比例し、粒子層の断面積に反比例する。
(こうりょくもでる,drag force model)
固液二相流
スラリーなど、液体中に固体粒子が懸濁した状態での混相流をさす。空気輸送など、気体中に固体粒子が浮遊して流れる固気二相流に対応して用いられる。
(こえきにそうりゅう,liquid-solids two-phase flow)
固液分離
懸濁液から固体と液体を分離すること。原液の固体濃度が0.1vol%以下では清澄ろ過や遠心分離が用いられ、数vol%までの濃度では、重力沈降や浮上分離である程度濃縮した後、ろ過や遠心分離が用いられる。数十vol%までの濃度では、通常、ろ過や圧搾が用いられる。
(こえきぶんり,solid liquid separation)
固気混合比
粉粒体の管路輸送において、粉粒体の質量流量と搬送気体の質量流量の比をさす。粉粒体の速度が小さい場合、管内で粉粒体が高濃度の状態にあっても固気混合比は小さな値を示す。混合比ともいう。
(こきこんごうひ,gas-solids flow rate ratio, loading ratio)
固気二相流
空気輸送のように気体中に固体粒子が浮遊する流れ。粉体一相流や固液二相流に対応して用いられる。
(こきにそうりゅう,gas-solids two-phase flow)
固気分散系
気体中に固体粒子が分散している系をいい、連続相は気体、分散相は固体である。固体粒子は自由に運動できる状態にあり、粒子径、濃度、および気相中の分散状態などにより、流動層、固気二相流、含じんガス、エアロゾルなどと呼ばれている。
(こきぶんさんけい,gas-solids suspension)
固結
粉体層が熱や間隙流体などの影響により、粒子間に結合力を生じ、固体化する現象をいう。固結の原因としては、①粒子間接触点での熱溶融、②接触点での化学反応、③硬化性のバインダーにより生ずる粒子間架橋、④接触点に生ずる液体架橋の乾燥による固体架橋化が挙げられる。
(こけつ,caking)
50%分離径
分級や集じんで部分分離効率が50%となる粒子径をいう。この粒子径の粒子は個数基準でも質量基準でも、その半分が粗粒として分離され、半分が細粒として分離される。粒子径分布の50%径とは異なる。
(ごじゅっぱーせんとぶんりけい,50% cut size)
個数基準分布、質量基準分布、体積基準分布
粒子径分布を表示する場合、個数割合または個数百分率で示すのを個数基準という、同様に質量割合または質量百分率で示すのを質量基準という、体積基準も同様であるが、通常は、粒子の大きさにより粒子密度に変化がないとして、体積基準は質量基準と同じ数値となる。
コゼニー・カーマンの式
粒子充塡層を通過する流体の空塔速度と圧力降下の関係式。レイノルズ数の低い領域での充塡層単位高さあたりの圧力降下は、流体の粘度と流体の空塔速度に正比例し、充塡層の空隙率、充塡粒子の比表面積径の関数で与えられる。
(こぜにーかーまんのしき,Kozeny-Carman’s equation)
固体架橋
粒子と粒子、粒子と壁が、その接触点において結合すること。原因として、焼結、化学反応、部分的溶解、バインダーの固化、液架橋の乾燥に伴う固体の析出が考えられる。固体架橋が生ずると粉体層としての流動性が悪くなるため粉体の貯蔵操作では留意すべき現象である。
(こたいかきょう,solid bridging)
固体酸点
固体表面上に存在する酸性的性質を示すサイト、すなわちブレンステッド酸点、ルイス酸点を総称していう。ブレンステッド酸点は近づいた分子にプロトンを供与するサイトであり、ルイス酸点は分子から電子対を受容するサイトである。
(こたいさんてん,site of solid acid)
固定層
固体粒子を充塡して形成した粒子層をさす。固定層は充塡粒子間の空隙に気体や液体を流すことによって、ガス吸収、蒸留、吸着などの物質移動を伴う操作や触媒反応などの反応装置、さらには固液、固気分離など、幅広く用いられる。
(こていそう,fixed bed)
コーティング
物質表面を異なる物質の被膜や層でおおう単位操作。被膜そのものをさす場合もある。粉体のコーティング法には、気相から蒸気を沈着させる気相法、液中での相分離、界面重合などにより粒子表面に被膜剤を沈着させる液相法、流動層や噴流層を用いる気中懸濁法などがある。
(こーてぃんぐ,coating)
コーティング剤
コーティングに用いられる材料であり、通常、基剤と添加剤からなり、目的に応じて多様に処方される。基剤には、有機溶剤溶液系、水溶液系、水系分散剤、低融点材料が用いられる。添加剤には、可塑剤、分散安定化剤、凝集防止剤、被膜増量剤、着色剤などが用いられる。
(こーてぃんぐざい,coating material)
コーティング造粒
粉体一次粒子を核として、ノズルから噴霧されたバインダー液が粒子表面に接触し、他方から供給された粉体粒子と接触して二次凝集粒子を形成し、バインダー液および粉体と接触しながら三次凝集粒子へと成長させ、適当な粒子径となったところで、仕上がり造粒物を得る方法。
(こーてぃんぐぞうりゅう,coating granulation)
COM
微粉砕した石炭と重油との混合物で、石油消費量を節減して、代わりに石炭を燃料として使用する際に、簡便な流体化技術として開発された。重油の粘度の関係で、混合燃料を比較的高温に保つ必要があること、石炭固体分濃度に制約があることが技術的な課題である。
(こむ,coal oil mixture)
コリオリの力
粒子の運動方程式を回転座標系に変換すると二つの見かけの力が現れる。一つが遠心力であり、もう一つがコリオリの力である。すなわち、粒子が回転座標系上で移動した際に移動方向と垂直な方向に移動速度と回転角速度の積に比例した大きさで受ける慣性力の一種である。
(こりおりのちから,Coriolis force)
コリソンネブライザー
噴霧式エアロゾル発生器の一つ。ノズルから圧縮空気を噴射して、液体を噴霧し、ノズルと対向して設けられたバッフル板により粗大液滴を捕集する。単分散ポリスチレンラテックス粒子の発生に用いられる。
(こりそんねぶらいざー,Collison nebulizer)
コロナ荷電
コロナ放電で生成したイオン粒子により粒子を荷電すること。電極間に高電圧を印加すると電子なだれが起こり、これが持続するようになった状態をコロナ放電という。電気集じん装置では、ふつう、コロナ開始電圧は低いが火花放電を生じ難く安定している負コロナが用いられる。
(ころなかでん,corona charging)
コロナ放電
針状やワイヤー状などの電極に高電圧を印加すると電極近傍に高電界を生じて電子なだれが起こり、正負のイオンを多量に発生できる。この状態が持続するようになった放電をコロナ放電という。空間に浮遊している微小粒子に効率的に電荷を与えることができる放電状態である。
(ころなほうでん,corona discharge)
混合度
混合物の均質化の程度。二成分系粉粒体の場合、ふつう、混合物全体から無作為に採取したサンプル中の着目成分の組成xi(i=1, 2, …, N:Nはサンプル数)の標準偏差または不偏分散で表す。
(こんごうど,degree of mixing)
混合比
粉粒体の管路輸送において、粉粒体の質量流量と搬送流体の質量流量の比をさす。粉粒体の速度が小さい場合、管内で粉粒体が高濃度の状態にあっても混合比は小さな値を示す。
(こんごうひ,mass flow ratio, loading ratio)
混合粉砕
複数種類の粉体の混合と粉砕の同時操作。微粒化と均一混合を同時に達成することを狙う操作である。複数種類の粉砕原料(砕料)に対しミクロなスケールでの均一混合を達成できる可能性があり、また、メカノケミカル固相反応を起こせる可能性もある。
(こんごうふんさい,mixing grinding)
混相流
固相、液相、気相のうち、二つ以上の相が混在している流れをいう。通常、混相流では、存在している相間に強い相互作用が働き、各相の運動を独立には記述できない。清浄空気中に微粒子が浮遊しているような希薄系も、広義には混相流と呼んでいる。
(こんそうりゅう,multiphase flow)
混錬
粉粒体の周りに液体またはペーストをコーティングしながら分散する操作。層流せん(剪)断混合が支配的であり、対象物質の圧延、折りたたみ、圧縮作用に伴う解砕、分散によって最終的に均質化していく。
(こんれん,kneading, mulling)
混錬度
混錬を成分の単なる分散均質化と解釈するならば、粉粒体の混合度をもって混練状態を代表できるが、混練の度合いは目的によってさまざまな評価が必要である。練られた物質の硬軟、レオロジカルな性質、着色や光沢度、電磁気的な特性など、五感も交えた多面的な評価が求められる。
(こんれんど,degree of kneading, degree of mulling)

最近接粒子
粒子層中のある着目粒子からみて、最も近傍にある粒子をさす。粒子層内の伝熱、電気伝導、静電気力、磁力、および液架橋力などのように、直接接触していない近接粒子間に働く粒子間相互作用を考えるときに重要である。
(さいきんせつりゅうし,most neighboring particles)
最小流動化速度
粒子充塡層の下部から流体を流してその速度を上昇させると、ある流速以上では粒子層が流動化をはじめる。このときの流体の空塔速度をさす。最小流動化速度以上では、層内の粒子は非常に動きやすい浮遊状態になり、粒子層は流動化状態へ移行する。
(さいしょうりゅうどうかそくど,minimum fluidization velocity)
再飛散
壁面に沈着した粒子が、流体抵抗やエアロゾル粒子の衝突、あるいはその他の外力を受けて、再び流体中に飛び出す現象をいう。一般に、相対付着力が大きく飛散しにくい微小粒子でも沈着量が増えると凝集粒子を形成して再飛散しやすくなる。
(さいひさん,reentrainment, resuspension)
さえぎり効果
流体中に浮遊する粒子の分離機構の一つで、粒子が障害物の近傍で流体と同じ運動をしていても、粒子が大きさをもつため、障害物の表面と接触して捕集される効果。この効果が単独で粒子捕集に作用することはまれで、他の分離機構(慣性、拡散、重力など)と同時に作用する。
(さえぎりこうか,interception effect)
さえぎりパラメーター
さえぎり効果による粒子捕集効果の大きさを表す無次元パラメーターで、粒子径xと捕集体の直径(あるいは捕集体の代表長さ)xcの比x/xcで定義される。このパラメーターの値が大きいほど、さえぎり効果が有効となる。
(さえぎりぱらめーたー,interception parameter)
サージング(ミルの)
転動ミルなどのミルの回転において、不適切な原料充塡量や媒体充塡量、あるいは、ミルの固有振動数と回転速度との関連性から起こるミルの異常振動をいう。これを防止するには、ミル内充塡量の適正化、回転速度の調節、ミル構造の改善・振動防止策などを行う必要がある。
(さーじんぐ,surging)
サルテーション
重力が支配的な粗粒子が、流体抵抗を受けて連続的に跳躍運動をしながら輸送される現象。ただし、付着性の強い微小粒子が、壁から流体抵抗によって再飛散するときには、跳躍運動をともなわないため、サルテーションとは呼ばない。
(さるてーしょん,saltation)
三軸圧縮試験
土質材料や粉粒体の強度や変形性のような圧縮特性を求めるために行われる試験であり、円柱状の供試体の側方から周圧を、上下方向から軸圧を載荷することにより、軸対称の圧力条件を付加する試験方法である。
(さんじくあっしゅくしけん,triaxial compression test)
三乗則
粉じん爆発試験において、圧力上昇速度の最大値(dp/dt)maxと、試験装置容器の体積V0との間の次の関係をいう。V01/3(dp/dt)max=Kstここで、Kstは爆発強度指数と呼ばれ、粉じんの種類、粒子径、粉じん濃度、初期および最終圧力などの関数である。
(さんじょうそく,cubic law)
散乱光
ある方向に伝播する光は粒子によって散乱されると、それを中心にさまざまな方向に広がる。この光を散乱光という。照射光の方向と散乱光の方向とで定義される面を散乱面と呼び、照射光の伝播方向と散乱光の伝播方向とがなす角度を散乱角という。
(さんらんこう,scattered light)
酸露点
亜硫酸(SO3)を微量(0.001~0.003vol%)に含む排ガスで、SO3がH2Oと結合して硫酸ミストとして結露しはじめる温度であり、100~160℃程度である。ろ過集じんでは、ガス温度が酸露点になると、ろ布上で結露し、目詰まりの原因となる。
(さんろてん,acid dew point)

CFD
流体の運動に関する方程式をコンピューターで解くことによって流れを観察する数値解析・シミュレーション手法。数値流体力学、計算流体力学ともいう。CFDでは空間を離散的に扱うため、物体形状および周りの空間を離散化する必要があり、一般には格子で表現する。
(しーえふでぃー,computational fluid dynamics)
死角堆積
槽や装置内部において、粉粒体が静止または動きが緩慢になる隅部分や凹凸部分で粉粒体が沈積着して層状に成長したもの。これはデッドスペースを増大させ、また堆積層の不規則な崩壊によって成分偏析や相互汚染などの問題を生じやすい。
(しかくたいせき,dead deposit)
磁気分離
物質は、磁界の中に置かれた場合に、強い磁気誘導を起こす強磁性体、弱い磁気誘導を起こす常磁性体、および負の磁化特性をもつ反磁性体(一般には非磁性体と呼ばれる)の三種類に分類できる。この磁化特性の違いを利用して分離する方法を磁気分離という。
(じきぶんり,magnetic separation)
仕事関数
固体表面から一個の電子を取り出すときに必要な最小のエネルギー。真空準位を基準として、フェルミ準位までのエネルギー差で表す。正の値を示す。二物体が接触したときの接触電位差、固体表面での電子放出現象、化学的活性を考える上での重要な基礎物理量である。
(しごとかんすう,work function)
自生粉砕
鉱石やセメント原料などの粉砕に関して、原料粒子塊自体が粉砕媒体の役割を果たしている粉砕法。回転ミルが一般的であるが、自生粉砕が効率よく行われるように専用の設計が行われていることが多い。回転円筒の長さに比べて直径が2倍から3倍であることが特徴である。
(じせいふんさい,autogeneous grinding)
磁性流体
強磁性物質である金属やフェライトの超微粒子(マグネタイトの場合は10nm以下)を、オレイン酸などの界面活性剤で表面処理し、溶媒中に分散させたきわめて安定なコロイド溶液。均質な強い磁性をもった液体としてコロイドとしての安定性を保ったまま磁界に反応する。
(じせいりゅうたい,magnetic fluid)
自然発火
石炭やある種の穀物において、着火源がなくても堆積層が発火する現象。これらの粉粒体では、酸化反応などにより発生した熱が、堆積層内部に蓄積されて局部的に温度上昇を生ずることがあり、反応速度を速めて発火に至る。
(しぜんはっか,spontaneous ignition)
CWM
石炭と水の混合燃料。石炭と重油の混合燃料(COM)のオイル削減、コスト低減を図るため、70wt%程度の微粉炭に、界面活性剤を添加した水を混合する燃料である。瀝青炭を用いるCWMについては、技術的な課題はほぼ解決されており、実用化の段階に達している。
(しーだぶりゅえむ,coal water mixture)
湿乾質量比
ろ過ケークの乾燥質量に対する湿潤質量の比。圧力が一定の定圧ろ過では、ろ過期間中ケークの湿乾質量比は一定とみなすことができる。
(しっかんしつりょうひ,wet to dry cake mass)
シックナ―
希薄懸濁液を濃縮するための連続式沈殿濃縮装置。懸濁物を重力下で沈降させて濃縮し、引き続くろ過や乾燥などの操作を容易にすることを目的とする。通常、円錐状の底部をもつ円筒槽で、中心に原液を供給するための給泥口が、周辺部に清澄水を取り出すための溢流堰がある。
(しっくなー,thickener)
シード粒子
核生成により大きなサイズの粒子を生成させたい場合、サイズの小さな粒子をあらかじめ導入しておくと、この粒子が凝縮核となって不均一核生成を起こし、大きな粒子へと成長する。このように外部から導入することで核となる粒子をシード粒子という。
(しーどりゅうし,seed particle)
CVD
気相の化学反応を経て各種形態の固体を析出させる方法の総称。気相合成法または気相反応法などと呼ばれる。析出する形態には、化学反応で生成した蒸気分子が他の粒子、イオンや固体表面に凝縮する不均一核生成と、気相で蒸気分子が凝縮する均一核生成がある。
(しーぶいでぃー,chemical vapor deposition)
シフター
ふるい分け装置のうち、ふるい面の運動がふるい面に平行な(ふるい面に垂直な方向の運動は十分小さい)ものをさす。ふるい面に沿って往復運動する、あるいは面内で円運動するなどの形式がある。全振幅は20mm以上と大きい。面内ふるいとも呼ばれる。
(しふたー,sifter)
自由渦
回転流れのうち、回転速度が回転曲率半径に逆比例する場合の流れ。回転についての角運動量が一定の流れ場であり、理論上吸い込み渦でのエネルギー損失がない場合に生ずる。
(じゆううず,free vortex)
自由含水率
平衡含水率よりも過剰な水分を自由含水率といい、乾燥によって除去可能な水分を表す。
(じゆうがんすいりつ,free moisture content)
充塡剤
基材の特性を向上させるために添加される物質。ゴムやプラスチックに対する充塡剤がよく知られており、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、クレイやタルクが添加され、耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性、硬さ、耐水性、加工性などの向上が図られる。
(じゅうてんざい,filler)
充塡層
粉粒体粒子をある空間に詰め込んでできる層をさす。充塡層の特性は粒子の充塡構造に大きく影響され、その構造は、空間率、粒子配位数、近接粒子数、動径分布関数などで表される。ガス吸収や蒸留のための塔や高温集じん用のフィルターに用いられる。
(じゅうてんそう,packed bed)
自由粉砕
粉砕の過程で微粉が増加すると、微粉自体が緩衝剤となり、粉砕速度や粉砕のエネルギー効率が低下する。そこで、微粉を除去して砕料に十分な力の伝達が可能な状態で粉砕する操作を自由粉砕という。分級機を組み合わせた閉回路粉砕はその一例。
(じゆうふんさい,free comminution)
自由噴流
無限の広さの中に満たされた流体中に同一流体をノズルから噴出させることによって生ずる流れ。噴流軸に垂直な断面内における流れの運動量は一定に保存され、十分下流では一様な速度分布となる。また、噴流軸に対する噴流の広がりの角度(展開角)は一定である。
(じゆうふんりゅう,free jet)
収率
粉体原料から製品粉体として得られる粒子部分の原料粉体に対する質量割合。分級操作において、微粉収率といえば分級した原料粉体全体に対する微粉側製品の質量割合をいう。
(しゅうりつ,yield)
重力混合
粉粒体が貯槽内を自重で落下する過程と貯槽排出口から再び貯槽上部に輸送する循環過程によって混合を行うこと。実際には大型サイロと空気輸送装置から構成される設備で行われる。
(じゅうりょくこんごう,gravity mixing)
重力集じん
粉じん粒子が重力の作用によって終末沈降速度で落下し、沈積したものを捕集する集じん法。粉じんを含む気流が水平方向(旋回も含む)に流れる場合、水平移動距離に比べて垂直落下距離が短く水平気流速度が小さければ、かなり微小な粒子も捕集できる。
(じゅうりょくしゅうじん,gravitational dust collection)
重力脱水
多孔質材料や堆積した粒子層に含まれる水分または液体を重力によって除去する脱水方法。選炭、選鉱の堆積物中に残留する水分の大部分は、重力脱水によって除去できる。川砂や泥についても、山積みして放置することにより、その上層の水分を低減することができる。
(じゅうりょくだっすい,gravitational dewatering)
重力パラメーター
粒子の運動方程式を流体の代表速度、捕集体の代表長さで無次元化したときの重力と流体抵抗の比で表される重力の項。重力による粒子の捕集効果の寄与の大きさを表す尺度で、粒子径が大きく、代表速度が小さい場合、重力による捕集効果が大きい。
(じゅうりょくぱらめーたー,gravitational settling parameter)
重力分離
粒子に働く重力の作用によって、流体中に浮遊する固体粒子あるいは液滴粒子を分離捕集する操作。分離のためのエネルギーを必要としないため、多量の液を処理する上下水道の清澄装置(クラリファイヤー)や沈降濃縮装置(シックナー)に利用されている。
(じゅうりょくぶんり,gravitational separation)
重力ろ過
加圧することなくろ過におけるろ液の流動の推進力としてスラリー自体の重力を利用する方法。砂ろ過器(サンドフィルター)は重力ろ過の代表。地下水の清澄機構も、いわば一種の重力ろ過である。
(じゅうりょくろか,gravity filtration)
主応力
連続体内部に生ずる応力はテンソル量であり、せん断応力がゼロとなるように座標軸を取ったときの垂直応力をさす。主応力のうち大きさが最大のものを最大主応力、最小のものを最小主応力という。粉粒体層は連続体ではないが同様にして近似的に主応力を定義できる。
(しゅおうりょく,principal stress)
シュート
重力を利用する筒状の輸送装置。輸送物を一つの装置から他の装置へ、筒体の傾斜を利用して自重で移動させる。筒体の断面形状は円ないし長方形が多い。傾斜角はおおざっぱに言って壁面摩擦角以上にする必要がある。
(しゅーと,chute)
シュルツ・ハーディ則
コロイド粒子は表面電荷による静電反発力によって水中では分散しているが、表面電荷と反対電荷をもつ電解質の添加により、表面電荷の中和が起こり凝集沈殿する。このとき限界凝集濃度はイオン価数の6乗に反比例するという実験的法則。
(しゅるつ・はーでぃそく,Schultz-Hardy law)
準安定領域
溶液を冷却または濃縮して過飽和状態にしても、結晶化(核化)がみられない領域が存在する。この溶液をさらに冷却または濃縮すると核化が生じる領域に入る。この境界の濃度を過溶解度とよび、溶解度曲線と過溶解度曲線で囲まれた領域を準安定域と呼ぶ。
(じゅんあんていりょういき,metastable zone)
循環比
粉砕機の後段に分級機を接続し、分級後の細粉を粉砕製品として取り出し、粗粉を新しい原料と混合して粉砕機に戻す閉回路粉砕において、戻される粗粉量(戻り粉)と新しく供給される原料の質量流量比。循環比を増すほど過粉砕を避けることができ、粉砕能力は高くなる。
(じゅんかんひ,circulating load)
準自由渦
流体の示す渦のうち、自由渦に若干のエネルギー損失を伴う状態をいう。半自由渦ともいう。回転の周速度をu、曲率半径をrとすると、urn=一定、n=0.5~0.8の場合である流れ。サイクロン集じん機や攪拌槽の中心軸近くを除いた流れは準自由渦になりやすい。
(じゅんじゆううず,semi-free vortex)
ショアー硬さ
他の物体によって変形を与えられるとき抵抗の大小を表す尺度であって、先端にダイヤモンドなどの硬質の物質をはめ込んだ標準物体を一定の高さから落下させ、その反発高さの大小を判定基準とする硬度評価指標。この方法によると鋼よりもゴムの方が硬いという結果を得る。
(しょあーかたさ,Shore hardness)
衝撃圧力係数
貯槽設計において静的圧力値に乗じて付加すべき余裕値を与える係数をさす。投入能力の大きな設備をもつ貯槽や、貨車やバージなどへの積み込み用や荷受け用の比較的底の浅い貯槽の設計には無視し得ない。主な各国の貯槽設計基準で採用されている。
(しょうげきあつりょくけいすう,impact loads coefficient)
衝撃荷重
貯槽への粉粒体の投入能力の増加に伴い、投入時に貯槽底部に発生する衝撃的な圧力の増加をさす。サイロ設計時に考慮すべき重要な項目の一つである。特に貨車、貨物自動車、バージなどへの積み込み用や荷受け用の比較的深さの浅い貯槽において十分に考慮すべきである。
(しょうげきかじゅう,impact load)
衝撃振子ハンマー法(破砕)
単一粒子に二個の振子を同時に、あるいは一個の振子の衝突面に固定した粒子に他の振子を衝突させて破砕を行い、粉砕原料粒子の物性を測定するとともに粉砕の基礎データを得るための衝撃破砕法の一つ。
(しょうげきふりこはんまーほう,impact crushing with perdulum)
焼結
接触粒子どうしが加熱や発熱によって互いに結合していく現象。金属やセラミックスの成形体を熱処理し、構成粒子の融点以下の温度で焼き固める焼結操作をさすこともある。焼結では加熱により全表面エネルギーが減少する方向に物質移動が起こり、粒子間の結合を生ずる。
(しょうけつ,sintering)
焼結磁石
フェライト磁石や希土類磁石をさす。フェライト磁石は仮焼成原料を微粉砕し、圧縮成形後焼結し、等方性磁石とする。磁場中で成形し焼結方位を揃えたものは異方性磁石となる。希土類磁石は、所定組成のインゴットを微粉砕し、磁場中で圧縮成形後焼結する。
(しょうけつじしゃく,sintered magnet)
常磁性体
あらゆる物質は、磁界の中におかれた場合に磁性を帯びる。その性質によって、強磁性体、常磁性体、反磁性体に分けられる。ステンレス鋼や各種の含鉄鉱物のように、外部磁場がないときには磁化を持たず、磁場を印加するとその方向に弱く磁化する物質をさす。
(じょうじせいたい,paramagnetic)
焼成
粉粒体やバルク材料など、主に固体の出発原料を、化学反応、焼結、組織制御、相変態などを主な目的として高温で加熱処理する操作をさす。焼成では、温度、雰囲気、圧力、時間などの操作条件を適切に設定することが非常に重要である。
(しょうせい,firing)
晶析
溶解度の温度依存性を利用して冷却または加熱により溶液から目的成分を結晶化させ、選択的に分離する操作をさす。溶液側に目的物質が残留しやすいものの、固体側は純度の高い物質が得られる。乾燥操作に比べて潜熱を利用しないためエネルギーコストの点で有利である。
(しょうせき,crystallization)
衝突効率
粒子を含む気流が障害物に遭遇すると、粒子はその慣性力のために気流の流線からはずれて障害物に衝突するものが生じる。障害物の気流方向に垂直な投影断面積に対する、無限遠方の上流における衝突粒子が含まれていた気流の範囲の比で表される。
(しょうとつこうりつ,impact efficiency)
衝突帯電
接触帯電の一種。粉体操作では強い力で接触するほど電荷移動量が大きくなる。これは衝突によって物体間の接触面積が大きくなるためであると考えられる。衝突帯電量は、接触電位差、粒子径、粒子密度、衝突速度、粒子形状、ポアソン比、ヤング率に関係する。
(しょうとつたいでん,impact electrification)
衝突分散
流路中に置かれた障害物に凝集粒子を衝突させることによる分散で、粒子の慣性力を利用する。衝突時に凝集体内部に生ずる応力が凝集体の強度を上回る場合に分散する。主に気相中の凝集粒子に対して用いられ、液相中の粒子に対して用いる場合は高圧噴射が必要である。
(しょうとつぶんさん,impact dispersion)
助剤ろ過
珪藻土やパーライトなどのろ過助剤を用いて行うろ過。あらかじめろ材表面に厚さ1~2mm程度のろ過助剤層を形成させ、これをろ材として原液をろ過するプリコート法と、スラリー原液に適量のろ過助剤を直接混入してろ過するボディフィード法がある。
(じょざいろか,filter aided filtration)
除電
粉体粒子の電荷を除去すること。粉体を接地金属容器に入れておくと、比較的導電性の高い粉体では、電荷は指数法則に従って減衰する。ほかに、自己放電、コロナ放電、放射線、紫外線、軟X線、などを利用する方法がある。
(じょでん,charge elimination)
助媒混合
混合容器内に自由に運動のできるゴムやプラスチック製ボールなどの混合助媒を添加して行う混合操作をさす。良好な混合状態を得る効率的な混合が期待できるが、助媒材質のコンタミネーションや粉粒体の摩耗や破損に留意しなければならない。
(じょばいこんごう,aided mixing)
徐放性製剤
服用後の薬物の放出が制御された製剤をいう。徐放性製剤には、①薬物が長時間にわたり一定速度で放出される、②はじめに薬物の一定量が速やかに放出され、その後残りが徐々に放出される、③薬物の放出が複数回に亘って間欠的に起こる、といったタイプがある。
(じょほうせいせいざい,prolonged-release dosage form)
磁力選鉱
天然鉱物の選別(選鉱)方法の一つ。磁界の中で、磁気に対する応答の違いを利用して鉱物を選別すること。近年、ネオジム・鉄・ボロン合金からなるネオジム磁石の開発により、高勾配磁界が容易に得られるようになったため、磁力選鉱の性能は飛躍的に向上した。
(じりょくせんこう,magnetic benefication)
シンク条件(溶解)
固体粒子が溶解するとき、溶媒との界面で形成される拡散層の濃度勾配が溶解中、一定になるような溶解条件。たとえば、溶質に比べ溶媒の量が十分にあり、溶解液の濃度変化が無視できるような場合や、溶媒が常に更新されるようなカラム(フローセル法)での溶解の場合。
(しんくじょうけん,sink condition)
侵食分散
凝集体の一次粒子や小さな凝集体が大きな凝集体の表面からはぎ取られていく分散で、分散された粒子では一次粒子と大きい凝集体の存在確率が高くなる。超音波による分散は浸食分散の代表例である。
(しんしょくぶんさん,erosion dispersion)
振動充塡成形法
振動によって粉体の圧密を起こさせて成形を行う方法。セラミック核燃料のうち、酸化物系燃料(UO2、PuO2など)の成形にはこの方法が用いられている。高密度に充塡するためには、粗粒、中粒、細粒を適切に配合することが必要である。
(しんどうじゅうてんせいけいほう,compaction method by vibration)
振動流動
振動力の作用による粉体の流れ。振動流動層、振動コンベア、振動ふるいや振動フィーダーでみられる。容器内の粉体層に振動力を作用させて充塡するときの粉体層の流れも振動流動である。振動容器内の粉体の流動は、振動条件のわずかな違いにより多様に変化する。
(しんどうりゅうどう,powder flow in vibration field)
じん肺
粉じんを吸入することによって肺に生じた繊維増殖性変化を主体とする疾病。じん肺の原因となる代表的な粉じんは、石英のような非結合型ケイ酸じんである。繊維増殖が肺に広がった場合には、完治は不可能であるため、予防策がきわめて重要である。
(じんぱい,pneumoconiosis)
真密度
粉体の場合、粒子内部に空孔を有する場合には粉砕などの手段によって完全に空孔を除き、固体の実容積を測定し、その値で固体の質量を割った値である。

水分移動係数(乾燥)
乾燥過程での材料内部の水分移動は、複雑な移動機構が考えられるが、取り扱いを容易にするため、特に不均質系に対して含水率勾配に基づくフィック型拡散方程式を仮定して計算を行うことがある。この式中のみかけの拡散係数を水分移動係数という。
(すいぶんいどうけいすう,moisture transfer coefficient)
水力輸送
固液混相流によって粉体を管路輸送する方法。粉体が水に浮遊する場合は、摩擦係数が小さいため動力係数が小さくなる。そのため、管路だけで数百kmの輸送が可能である。輸送濃度、すなわち液体に対する粉体の濃度は10~30%程度である。
(すいりょくゆそう,hydraulic transportation, – conveying)
水和酸化物
水溶液中に分散された酸化物粒子が溶媒の水分子と相互作用を起こして、その一部が結合を形成したもの。この場合、水分子は自由水としての性質を失う。水和して化合物を形成する場合は水化と呼ばれる。結晶性酸化物が水化した場合に関与する水を結晶水という。
(すいわさんかぶつ,hydrated oxide)
スカルピング
大量の供給粒子から比較的少量の粗大粒子を除去すること。多くは異物除去を目的としたふるい分け操作。また、後に続く粉砕や分級操作の前処理として行う場合もある。選鉱では、鉱石中の高品位粒子のみをあらかじめ分離する場合の操作をいう。
(すかるぴんぐ,scalping)
スクリーン
工業用ふるい(篩)。粉体技術で振動スクリーンといえば、ふるい面が垂直方向の振動成分をもつふるい機をさす。全振幅が20mm以下、振動数が10s-1以上で操作される。一般論として、粒子径200μm以上の非付着性粉粒体のふるい分けに用いられる。
(すくりーん,screen)
スクレーパー
粉粒体をベルトやテーブルからかき取ったり、表面を平坦にしたりすることを目的とする板。テーブルフィーダーでは、スクレーパーの位置調節が一つの流量調節法であり、円形テーブルの同心円に接する方向に挿入すると、先端付近の滞留がなく定量的に排出できる。
(すくれーぱー,scraper)
スタイナーの式
粒子の回分沈降の場合に利用される空間率関数で、次式で与えられる。ここでεは空間率を表す。
f(ε)=25(1-ε)/(3ε3)
(すたいなーのしき,Steinour’s equation)
ステアマンドディスク
ダクト内を流れる含じん気流のダスト濃度は、断面内で不均一であるが、ダクトの中心に、管径の1/√2の直径の円盤を、流れと直角に置けば、管径の5~6倍下流で均一なダスト濃度が生じることを、C.J.Stairmandが見いだした。この円盤をステアマンドディスクという。
(すてあまんどでぃすく,Stairmand disk)
スティッキング
流動性の不良な微粉体、湿潤粉粒体、粘着性の粉体が、装置の内壁、かくはん羽根、回転軸、内設構造物に付着あるいは固結すること。これを防ぐために、種々のかき取りブレードの取り付けや、接粉部の材質の選択、表面仕上げ、あるいは装置構造の工夫などを行う。
(すてぃっきんぐ,sticking)
スターン層
シュテルン層、ステルン層ともいう。電解質溶液中で帯電した粒子などの表面近傍に生ずる電気二重層のうち、対イオンが最も接近できる位置(スターン面という)より内部の部分をさす。スターン層内では電位は、表面電位からスターン面での電位まで直線的に変化する。
(すたーんそう,Stern layer)
スプレードライング
噴霧乾燥ともよばれる。原液を噴霧してこれを熱風と接触させ、揮発分を蒸発させて乾燥させ、粒子をえる操作。原液は水溶液型、有機溶液型、カプセルスラリー型に分類される。原液の微粒化には、加圧噴霧ノズル法と遠心回転円板法がある。
(すぷれーどらいんぐ,spray drying)
滑り線
粉粒体層内部または表面において、滑り崩壊が起こっていく線。静止粉粒体層の応力状態はモールの応力円によって記述され、また滑り崩壊が起こるときの応力は降伏関数によって表される。したがって滑り線の応力状態は、モールの応力円と降伏関数の接点で表すことができる。
(すべりせん,slip line, sliding line)
滑り面
液中の帯電粒子に外部電場を印加すると、粒子と拡散電気二重層は、それぞれ反対符号の電極に電気的に引き寄せられる。このとき粒子表面から数分子層内の液体分子は粒子とともに運動し、その外側を境に粒子・媒体間に相対運動が生じる。この相対運動の境となる面をいう。
(すべりめん,slipping plane)
スメアリング作用
混練を行うために必要なねじりを伴うせん断作用。マラーやパンミキサーにおいてホイールが中心軸の周りを回転すると、対象物質との摩擦のためにホイール自体が回転する。このときホイールの内外両側に速度差が生じて、ねじりを伴うせん断圧縮並びに引き延ばし作用が生ずる。
(すめありんぐさよう,smearing action)
スモッグ
亜硫酸ガス、浮遊粉じん、光化学オキシダントなどの大気汚染物質が、温度逆転層の停滞に伴い、上空への物質移動が阻害されて地表近くに蓄積し、汚染物質の地表濃度が異常に高くなった状態をいう。smokeとfogから合成された言葉である。
(すもっぐ,smog)
スモルコフスキーの式
粒子径が粒子表面の電気二重層の厚さに比べて十分に大きい場合の液中の粒子の泳動速度とゼータ電位の関係を表す式。電場Eでの泳動速度vは次式で与えられる。v=εζE/μ ここで、εは媒体の誘電率、ζはゼータ電位、μは媒体の粘度である。
(すもるこふすきーのしき,Smoluchowski equation)
スモルコフスキー理論
単分散粒子分散系のブラウン運動による凝集過程に関して、1917年にスモルコフスキーが発表した理論。粒子は相互作用のない球形粒子で、衝突した二粒子は瞬時に合一し、同体積の球形粒子になることを仮定している。全粒子数の逆数は時間に対して直線関係となる。
(すもるこふすきーりろん,Smoluchowski theory)
スライム
湿式分級の微粒産物をさす。鉱山用語では鉱泥という。
(すらいむ,slime)
スラグ
溶鉱炉、反射炉、転炉、電気炉などの高温炉内で、目的金属溶融体の上に浮かんで溜まる、目的金属以外の不純物金属酸化物の混合液体。目的金属の純度を上げるために、スラグの物理的、化学的性質を制御することが重要である。鉄鋼精錬、非鉄製錬の広い範囲で使われる用語。
(すらぐ,slag)
スラッギング
気固系流動層で、ガス流速を徐々に増加させていくと、流動化開始流速または最小気泡流動化速度以上で気泡が形成され、合体により気泡径を増大させながら層を上昇していく。さらにガス流速を増すと、気泡径が層径程度にまで達する。この流動層の状態をスラッギングという。
(すらっぎんぐ,slugging)
スラッジ
高濃度スラリー(泥しょう)をさす。しばしばスラリーと同義で使われる。
(すらっじ,sludge)
スラリー
液体の中に微小固体粒子が全面的に浮遊している固液混合物。泥しょうとも呼ばれる。微小固体粒子の濃度によって見かけの粘性係数が変わる傾向がある。一般に、固体濃度の増加によりニュートン流体から非ニュートン流体に変わる場合が多い。
(すらりー,slurry)
スリップキャスト
原料粉体を溶媒中に懸濁・分散させた泥しょう(スリップまたはスラリーと呼ぶ)を石膏など吸水性の多孔質鋳型に流し込み、型壁に着肉層を形成させ、乾燥後に脱型して成形体を得るセラミックスの成形法。複雑な形状の成形が可能なこと、設備費が安価なことが特徴。
(すりっぷきゃすと,slip casting)

制御風速(フード)
粉じん発生箇所から飛散している粉じん、ガス、蒸気、ヒュームなどを、その飛散限界点または飛散限界内のある点でとらえ、フード開口部へ流入させるために必要な最小吸い込み速度をさす。一般に、制御風速は0.3~3m/sの範囲で、フード形式とともに基準が決められている。
(せいぎょふうそく,capture velocity)
成形性
成形のしやすさのことで、セラミックスの成形では可塑性と同義に扱われることが多い。ファインセラミックス原料粉体は非可塑性であるため、可塑性の付与を目的として、成形にあたって助剤を添加する。助剤の種類は、天然物から有機化合物に至るまで多岐にわたっている。
(せいけいせい,plasticity)
成形体
セラミック原料粉体を含む泥しょう(スリップまたはスラリー)、坏土(はいど:練り土)あるいは噴霧乾燥法などで得た顆粒の集合体を既定の形状に作り上げたもの。焼結工程での収縮率の低下と異方性を低減させるため、一般には緻密性と均質性が要求される。
(せいけいたい,green body)
清浄効率
自動車用エアクリーナーの試験に用いられている用語。一定空気流量に混合して供給したダスト量Wiに対する、エアクリーナーで捕集したダスト量Wcの比ηをパーセントで表した値である。一般には、測定精度を高くするためWcではなく通過ダスト量Woからηを求める。
(せいじょうこうりつ,cleanliness efficiency)
清浄度クラス
高度に汚染のない空気の清浄さを表す清浄度を、汚染物質の量または粒子径別の数によって格付けしたときの程度を清浄度レベルといい、それを具体的な数値で表したもの。ISO国際規格では、空気1m3あたり0.1μm以上の粒子が10のX乗個あるとき、清浄度クラスXという。
(せいじょうどくらす,cleanliness class)
静水圧成形
原料粉体をゴムのような柔らかい型に充塡して、油やグリセリンなどの液体に漬け、その液体に圧力をかけて粉体に等方的な力を加え均質な成形体を得る方法。ラバープレスともいう。
(せいすいあつせいけい,isostatic pressing)
ぜい性材料
固体材料で、変形しにくく、いったんひび割れが入ると一気に割れる材料をいう。ひび割れが入ってからのひびの進展のしにくさをじん性というが、ぜい性材料とは、じん性がないかもしくは小さい材料をさす。
(ぜいせいざいりょう,brittle material)
ぜい性破壊
材料に一方向から荷重を加えたとき、破断までに応力-ひずみ曲線に特別な変化がなく変形量が小さいうちに破壊すること。反対に大きな変形量を伴う破壊を延性破壊という。
(ぜいせいはかい,brittle fracture)
静置粉体圧
サイロなどの粉粒体貯槽において、貯槽内に静かに均一に粉粒体を投入し、静置しておいたときの粉体圧力。一般に、静置時には貯槽内の粉体圧変動はほとんどなく、粉体の堆積高さが内径の1.5倍を越えるような場合では、ヤンセンの式で得られる値と比較的よく一致する。
(せいちふんたいあつ,static powder pressure)
清澄分離
液体の清澄化に重きを置いた分離。清澄度合いの程度を表す指標は濁度で、標準物質(カオリンなど)1mgを蒸留水1Lに溶かしたものを濁度1という。水道水では濁度2が基準値である。水道水、工業用水、および超純水では清澄分離が行われるが、それぞれ清澄度合いは異なる。
(せいちょうぶんり,clarification)
清澄ろ過
0.1vol%以下の固体を含む希薄スラリーのろ過であり、ろ材ろ過ともいう。工業的には数百ppm以下のスラリーを対象とする場合が多い。清澄ろ過では、主にろ材層内部で粒子が捕捉され、ろ材の表面にろ過ケークが形成される前に操作を中止するのが普通である。
(せいちょうろか,clarifying filtration)
静電印刷
印刷技術に静電気を応用したもので、静電スクリーン印刷や静電粉末グラビア印刷などがある。帯電粒子の運動を利用した非接触での印刷なので曲面などにも印刷できるという特徴がある。
(せいでんいんさつ,electrostatic printing)
静電拡散
粒子が単極に帯電している場合、粒子の電荷により形成される空間電場のために反発力が生じ、粒子群が外に広がっていく現象。拡散に対するフィックの法則は成立しない。
(せいでんかくさん,electrostatic dispersion, electrostatic diffusion)
静電凝集
正および負に帯電した粒子が混在するエアロゾルおよびコロイドでは、同符号粒子間では斥力が働くが、異符号粒子間では引力が働き粒子が凝集する現象。
(せいでんぎょうしゅう,electrostatic coagulation)
静電気力
外部電場がない場合に帯電粒子に作用する静電気力として、①帯電粒子間では、クーロン力が、②帯電粒子と無帯電粒子では影像力や誘起力が働き、③帯電粒子群の空間電場による静電気力が働く。
(せいでんきりょく,electrostatic force)
静電塗装
静電気を利用する塗装法で、液体塗料を微粒化して行う静電液体塗装と、粉体塗料を用いる静電粉体塗装がある。静電粉体塗装では、コロナ荷電や摩擦帯電を用いる特殊なガンが開発されており、揮発性有機溶剤を用いない環境負荷の低い塗装法として期待されている。
(せいでんとそう,electrostatic coating)
静電反発ポテンシャル
水溶液中で帯電した表面近傍には拡散電気二重層が形成される。二つの表面がその電気二重層が重なり合う距離まで近づくと、表面間のイオン濃度が高くなり濃度差に由来する反発力が発生する。この反発力に抗して二表面を無限遠から近づけるのに要する仕事をさす。
(せいでんはんぱつぽてんしゃる,electrostatic repulsive potential)
静電フィルター
静電気力により粒子の捕集効率を高めたフィルター。ろ材直前に粒子荷電装置をおいたもの、ろ材に外部電界を与えたもの、両者を組み合わせたものなどがある。機械的ろ過に比べて低圧損で高い捕集効率が得られるが、安定性と保守管理の面でやや難がある。
(せいでんふぃるたー,electrostatic filter)
静電付着力
粒子は種々の原因で帯電するが、帯電粒子は電界を形成して他の電界と相互作用し、静電気力を受ける。その大きさは粒子の電荷と電界の強さとの積に等しい。帯電していない粒子間、あるいは帯電していない粒子・壁間でも局部的に接触帯電が起こり付着力が作用する。
(せいでんふちゃくりょく,electrostatic adhesive force)
静電分離
粒子を静電界内においたとき、その粒子に働く電気的な力は粒子の帯電量と電界強度の積で与えられるが、この力の違いを利用して粒子を分離する操作。粒子を帯電させる方法はいくつかあるが、実用化されているものは、静電・コロナ放電併用型および摩擦帯電型の二つに分類される。
(せいでんぶんり,electrostatic separation)
精密ろ過
0.1~1μmの孔径の分離膜を用いて、液中の微粒子を分離する方法。使用される分離膜はメンブレンフィルターと呼ばれ、セルロース系、合成高分子系、無機系などの材質が使用されており、非常にシャープな細孔径分布をもつことが大きな特徴である。
(せいみつろか,microfiltration)
赤外線乾燥
放射熱を熱源とする乾燥法の総称。熱源として近赤外線ランプや遠赤外線ヒーターが用いられる。非接触伝熱方式であり、近赤外線の場合、加熱される領域が材料表面に限られるが、遠赤外線の場合はより材料内部にまで及ぶ。薄いシート状材料や塗装表面の乾燥に適している。
(せきがいせんかんそう,infrared(radiant)drying)
積層欠陥
結晶中で二次元の広がりをもつ格子欠陥。積層欠陥は異方性の大きな結晶を粉砕するときに導入されやすい。したがって、メカノケミカル効果の原因となることがある。二三酸化鉄のメカノケミカルな相転移は、メカニカルに導入された積層欠陥が核として作用する。
(せきそうけっかん,stacking fault)
セグリゲーション
微粒子生成のための多成分系溶液の濃縮過程では、析出する物質の溶解度などが異なるため、生成した個々の粒子の化学的組成が異なる現象。または、粒子の充塡や堆積において、個々の粒子の粒子径、粒子形状などが異なるため、粒子層内が均質にならない現象。偏析ともいう。
(せぐりげーしょん,segregation)
接触角
固体表面に液体が付着して付着濡れが起きている場合、固体-液体-気体の接触点において、それぞれの界面張力が釣り合い、液表面はある一定の形状を示す。このとき、固体表面に接触している点での液表面の接線が固体表面となす角度をさす。
(せっしょくかく,contact angle)
接触帯電
電子状態の異なる物体が接触すると、接触している物体全体での電子状態を安定させるために電荷の移動が起こる。その結果、接触前には電気的に中性であった物体も電荷の増減が生じて帯電する現象。
(せっしょくたいでん,contact electrification)
接触電位差
二物体を接触させると、両物体のフェルミ準位の違いにより物体間に電位差を生じる。この電位差を接触電位差とよび、接触帯電における電荷移動の駆動力となる。CPDと略称されることも多い。
(せっしょくでんいさ,contact potential difference)
絶対ろ紙
ろ材のろ過性能試験などで、ろ材を通過する粒子を完全に捕集することを目的として用いる高性能ろ紙。HEPAフィルターが用いられることが多い。
(ぜったいろし,absolute filter)
セラミックコンデンサー
誘電体材料にセラミックスを使用したコンデンサー。誘電体の種類によって、温度補償用と高誘電率用の二つに分類される。温度補償用としては、チタン、マグネシウム、カルシウムなどの酸化物が用いられる。一方、高誘電率用としては、チタン酸バリウムなどが使われる。
(せらみっくこんでんさー,ceramic capacitor(ceramic condenser))
繊維層フィルター
繊維を所定の厚さに充塡したろ過集じん装置で、主として空気清浄用として用いられる。市販のエアーフィルターの大部分は繊維層構造である。ろ材としては、ガラス繊維が最も広く用いられている。繊維層は空間率が高いため圧力損失が低いのが特徴である。
(せんいそうふぃるたー,fibrous filter)
前駆体
目的とする結晶性微粒子や薄膜などを得るための前段階として合成する物質。液相法で酸化物微粉体を調製する場合、まず前駆体として水酸化物の沈殿を得る。これを仮焼して目的とする酸化物微粉体を得る。前駆体としてはこの他に無機塩や有機化合物なども含まれる。
(ぜんくたい,precursor)
選鉱
採掘された鉱石(原鉱、粗鉱)を主として物理処理し、できる限り純粋な形で有用鉱物を分離・回収する一連の操作。選鉱プロセスでは、粉砕、ふるい分け、比重選鉱、重選、磁力選鉱、静電選鉱などを駆使して有用鉱物を分離していく。
(せんこう,mineral processing, mineral dressing)
洗浄集じん
洗浄液(主に水)の液滴や液膜を主たる捕集媒体として、ガス中に浮遊している固体または液体の微粒子をガス流から分離捕捉する集じん法。湿式集じんともいう。
(せんじょうしゅうじん,wet dedusting)
浅槽
貯槽設計時の静置粉粒体圧の推算において、貯槽壁での粉粒体との摩擦効果を考慮しないでよい背の低い貯槽。深槽に対する用語として用いられる。
(せんそう,shallow bin)
選択粉砕
粉砕機の中で、粒子径や物性の違いによって特定の物質が選択的に粉砕されること、あるいは、複数種類の物質の混合粉砕において、特定の物質が選択的に粉砕されること。粉砕助剤を添加して特定の物質に吸着させ、その物質を選択的に粉砕させる場合もある。
(せんたくふんさい,selective grinding, preferential grinding)
選炭
採掘された石炭(原炭)を処理し、原炭中の岩石など(廃石)を分離除去し、組成や粒子径について市場価値のある石炭(精炭)にするプロセス。粉砕・ふるい分けにより、原炭を岩石と石炭に単体分離し、適当な粒子径に調整する。
(せんたん,coal preparation, coal cleaning)
せん断混合
粉粒体群内の速度分布によって生じる粒子相互間の滑りや衝突、かくはん羽根の先端部と壁面および底面などの間の凝集粒子塊が圧縮と伸張によって解砕される作用をも含む混合プロセス。回分および連続混合の両方に寄与する機構である。
(せんだんこんごう,degree of mixing)
せん断指数
微粉体層の破壊包絡線をσ‐τ平面において、(τ/C)n=(σ+T)/Tと表したときのnをさす。ここで、σは垂直応力、τはせん断応力、Cは粘着力、Tは引っ張り破断強さを表す。せん断指数は、粉体の性質によって決まる。n=1のとき、クーロン粉体と呼ばれる。
(せんだんしすう,shear index)

相関法
管内固気二相流などでは、流れは統計的に変動しており、流れに特有の物理量を検出して得られる信号は時間的に変動している。このような変動する信号は、相互相関や自己相関をとることによって解析される。検出する物理量としては、光、静電気、静電容量などが用いられる。
(そうかんほう,correlation technique)
双極子能率
電荷qと-qが距離r離れて存在するとき、次式で与えられるベクトル量μをさす。μ=qr
(そうきょくしのうりつ,dipole moment)
相対粘度
溶媒に各種物質を分散させたり溶解させたりしたときに、混合物の粘度は一般に上昇する。この場合の混合物の粘度と溶媒粘度との比をさす。固体粒子を液体中に分散させたスラリーの粘度に対しても同様の取り扱いが行われる。
(そうたいねんど,relative viscosity)
相当輸送管長さ
流れの管路損失で、摩擦損失以外の局所損失を摩擦損失に換算したときの管長で、Le=(ξ/λ)dで定義される。ここで、ξは局所損失係数、λは流速の関数、dは管直径を表す。弁、継手類、配管の曲がり、分岐などの通過に伴う損失が含まれる。
(そうとうゆそうかんながさ,equivalent length of conveying pipe)
層内偏析
混合粒子が流動する際、動的に充塡構造が変動し、流動にともなって偏析成分が分離・偏在する現象。構成粒子の流動性の差異による拡散的効果、およびふるい分けのような浸透効果によって起こる。また、よどみ点のような停滞域の形成によっても起こる。
(そうないへんせき,internal segregation)
相分離(高分子)
高分子溶液から、その高分子に富んだ相が分離する現象。電解質などを添加し高分子の溶解度を低下させる方法と、複数の荷電コロイドによる電気的な相互作用を利用する方法がある。あらかじめ粉体粒子を溶液中に分散させておくと、カプセル化あるいは表面改質が可能である。
(そうぶんり,phase separation)
造粒
液架橋や粘着性を利用して微粒子を会合・凝集させ、見かけのサイズを大きくする操作。転動、振動、かくはんによる凝集の促進、圧密操作による成形、液滴の乾燥による粒子化などいくつかの方式がある。造粒により生成した粒子は顆粒、ペレットなどと呼ばれることがある。
(ぞうりゅう,granulation)
疎水性相互作用
疎水性表面をもつ粒子を水やアルコールのような極性溶媒に分散させると粒子は凝集する。このとき疎水基をもつ表面間に作用する相互作用をさす。ファンデアワールス力よりもはるかに強い引力であること、遠隔力であることが近年の実験的研究から明らかにされつつある。
(そすいせいそうごさよう,hydrophobic interaction)
塑性変形
物体に外力を加えると変形し、ひずみを生ずるが、弾性限界を超えて外力を加えた場合、外力を除去しても物体は元の形にはもどらず永久ひずみが残る。物体が示すこのような性質を塑性といい、このような変形を塑性変形と呼ぶ。
(そせいへんけい,plastic deformation)
塑性流動
ある種の流体あるいはスラリーは、降伏値をもち、それを超えた外力に対しては一定のせん断速度で定常流動を起こす。このような流動を塑性流動という。
(そせいりゅうどう,plastic flow)
ゾル・ゲル法
金属酸化物の微粒子、薄膜あるいは塊状物を低温で製造する方法。原料として金属のアルコキシドを含むアルコール溶液を用い、触媒の存在下で、金属アルコキシドや無機塩の加水分解およびそれに続く重縮合反応により酸化物前駆体を低温生成させることができる。
(ぞる・げるほう,sol-gel method)
損失係数
管路要素による流れの正味の圧力損失Δpを流れの動圧ρU2/2で無次元化した係数で、ξ=2Δp/(ρU2)で定義される。ここで、ρは流体密度、Uは流速である。損失は接触面積に比例する摩擦損失とそれ以外の局所損失に分けられる。
(そんしつけいすう,loss coefficient)

対数透過則
集じん装置や固液分離装置などの粒子分離装置で、粒子濃度が装置の長さ方向に対数的に減少することを示す理論則。ln(Co/Ci)=-kLと表すことができる。CiとCoは装置の入口および出口の粒子濃度であり、Lは装置の長さ、kは装置の形状と分離速度により決まる定数である。
(たいすうとうかそく,log-penetration law)
体積粉砕
粒子の破壊が、表面からではなく、粒子を貫通する形で進行する破壊形式。ジョークラッシャーのような粗砕機など主として圧縮型の粉砕機ではこの形式の粉砕が起こる。また、転動ボールミルでは、粉砕物に対してボールが直接衝突する場合に体積粉砕が起こる。
(たいせきふんさい,volume grinding)
帯電防止剤
プラスチックやゴムといった帯電しやすい物質に添加したり、表面に塗布したりして静電気の発生を防止する物質。界面活性剤、親水性高分子、金属細線、カーボンブラック微粒子などが用いられる。いずれも表面電気抵抗や体積電気抵抗を小さくして、電荷の漏洩を促進する。
(たいでんぼうしざい,antistatic agent)
ダイラタンシー
粒子群がある充塡状態にあるとき、急激に外力が加わることにより、より疎な充塡状態に変化し、粒子層の膨張を起こす現象。たとえば、デンプンのペーストでは、弱い外力下では流動性を示すが、強くかくはんしようとするとダイラタンシーにより流動抵抗が増す。
(だいらたんしー,dilatancy)
対流混合
かくはん・混合操作で、流体あるいは粉粒体粒子が、相当量集合状態のまま大きく入れ替わって混合が進行していく過程。移動混合ともいう。主として循環流の形成によって進行する。この機構は混合物の全体としての巨視的な混合に寄与し、回分式混合では有益である。
(たいりゅうこんごう,convective mixing)
滞留時間
ある有限の空間、たとえば各種粉粒体処理装置の内部に流入した粒子が、流出するまでにその空間にとどまっている時間。粒子によって通過経路が異なるため、通常、滞留時間には分布がある。この分布関数は装置の特性評価に用いられる。
(たいりゅうじかん,residence time)
対流電流
帯電した粒子が移動する場合、それにともなって電荷が輸送されることで生じる電流。空間におけるイオンの移動や、空気輸送ラインで搬送される帯電粉粒体は、対流電流を発生している。
(たいりゅうでんりゅう,convection current)
ダウンカマ―
複数の流動層の間や、サイクロンから流動層へ、粒子を移送する下降管。ダウンカマーの下端には、ループシールやLバルブと呼ばれるニューマチックバルブを設置したり、トリクル弁をつけたりして、ダウンカマーがガスの上昇管にならないように設計されることが多い。
(だうんかまー,downcomer)
多重散乱
一度粒子によって散乱された光が、別の粒子によって再度散乱される現象。粒子濃度が高くなると顕著になり、レーザー回折・散乱法や光子相関法(動的光散乱法)では大きな問題となる。光透過法ではランバート・ベアの法則が成立しなくなる。
(たじゅうさんらん,multiple scattering)
打錠機
粉体を圧縮して錠剤を成形する機械。杵が臼内に充塡された粉体を圧縮する単発打錠機と水平に回転するターンテーブルの外周に臼が等間隔に埋め込まれていて、打錠、圧縮、排出の一連の操作が連続的に行われるロータリー打錠機に大別される。
(だじょうき,tableting machine)
多層錠
複数の粉体を層状に圧縮成形した積層構造の錠剤。粉体を臼中に充塡し、軽く圧縮したあと、異なる粉体を充塡する操作を繰り返して製造される。速放部と徐放部を組み合わせて成分の放出速度を制御する、苦みのある成分を挟み込むなどの目的で製造される。
(たそうじょう,layered tablet)
多段流動層
流動層を高さ方向に多段化したもの。流体は各段の分散板を通して下から上へ流通させる。粒子下降管の開口部を分散板より高い位置に設定すれば、層を形成しつつ粒子を上から下へ移動させることができ、粒子と流体の多段向流接触を実現することができる。
(ただんりゅうどうそう,multistage fluidized bed)
脱着
表面や界面に吸着している物質が、減圧や濃度の減少、温度の上昇などで、吸着箇所から脱離し、接触している相内へ移動すること。吸着と脱着の両等温線が一致する場合、吸着は物理吸着で可逆吸着である。一般に、毛管凝縮を起こす系や化学吸着の場合、ヒステリシスを示す。
(だっちゃく,desorption)
タッピング
粉粒体を入れた容器を一定の高さから繰り返し落とし、その衝撃を利用して粉粒体を密充塡する操作。タッピング回数の増加とともに空間率が減少するが、その減少割合、あるいは一定回数タッピングしたあとの空間率を粉粒体の充塡性や流動性の指標として用いる。
(たっぴんぐ,tapping)
脱溶媒法
液相法で粒子を生成する場合に、溶媒を何らかの手段で除去して沈殿を生成する方法。溶液中で沈殿を生成するには、一般に目的とする化合物の溶液中での溶解度積に達するまで濃縮するか、化学変化を利用して溶解度積の小さな化合物として沈殿を生成する必要がある。
(だつようばいほう,solvent removal method)
縦磁場プレス
焼結磁石やボンド磁石の製造工程において、外部から磁場をかけてプレス・成形する工程がある。その際、上下パンチによるプレス方向と磁場の方向が平行なプレス法。一般に磁場の方向がプレス方向に対して直角な横磁場プレス法の方が良好な磁気特性を示す。
(たてじばぷれす,axial die pressing)
ダルシーの法則
砂層を通る水の流れに関して、流出水空塔速度u[m・s-1]は、層水頭差圧Δh[mH2O]に比例し、層高L[m]に逆比例し、Q/A=u=kΔh/Lで表される。これをダルシーの法則という。ここでQ[m3・s-1]は流量、A[m2]は流れに垂直な層断面積、比例係数k[m・s-1]は透水係数と呼ばれる。
(だるしーのほうそく,Darcy’s law)
弾性限界速度
粒子が壁面に衝突するとき、粒子あるいは壁面に働く圧縮力が弾性限界を超えると、部分的に塑性変形を生じてエネルギーを消費する。弾性的な衝突速度と塑性変形を生じる衝突速度の境界をさす。粒子の形状、材料の降伏応力、粒子密度、弾性特性係数に依存する。
(だんせいげんかいそくど,impact velocity at elastic limit)
弾性特性定数
ヤング率E1、ポアソン比ν1の粒子とヤング率E2、ポアソン比ν2の粒子の関わる二粒子系において、k=(1-ν12)/E1+(1-ν22)/E2で定義されるkをさす。なおE=1/kを弾性特性定数ということもある。二粒子の衝突や粒子の壁面への衝突などの解析に用いられる。
(だんせいとくせいていすう,reduced elastic constant)
断熱冷却線
湿度図表において、同一の断熱飽和温度を示すガスの温度と湿度の関係を示した曲線を断熱飽和線といい、空気-水蒸気系に対して、特に断熱冷却線と呼ぶ。湿り空気が断熱装置内でその顕熱を失って冷却するとともに、湿度が上昇していく経路線を表している。
(だんねつれいきゃくせん,adiabatic cooling line)
ダンパー
ホッパーやシュートに取り付けて、粉粒体の流れを一次遮断するほか、流量の調節に用いられる。簡単なスライド式のほか、フラップ型、回転式、円錐型ダンパーなどがある。操作は手動式のほか、電動式、エアーシリンダー式などがある。
(だんぱー,damper)
単分子層吸着
界面における吸着層が、吸着分子一層で最密に形成されている状態をさす。粉体の表面積測定では、測定した吸着等温線をBET吸着等温式に適用して単分子層吸着での吸着量を算出し、この値と吸着分子一個が表面で占有する面積との積から粉体の表面積が求められる。
(たんぶんしそうきゅうちゃく,monolayer adsorption)

チキソトロピー
懸濁液をかくはんするとその流動性が向上し、これを静置することにより流動性を失う現象、およびその性質。一般的には、等温可逆的なゾル・ゲル現象と定義されている。チキソトロピーを示す固液分散系の定常粘度はせん断速度の上昇とともに減少する擬塑性流動を示す。
(ちきそとろぴー,thixotropy)
チャネリング
固気系流動層において、層内部に局所的に生じた通路をガスが優先的に流れ、ガスの分散が極度に不均一になる状態。一般には、使用粒子の粒子径が数十μm以下で、粒子の付着・凝集性が大きいほど層はチャネリングを起こしやすい。
(ちゃねりんぐ,channelling)
中位径
 粉体の粒子径分布において、ある粒子径より大きい個数又は質量が、全粉体のそれの50%をしめるときの粒子径、即ち、オーバサイズ(後述)50%の粒子径で通常、D50で表される。
チューブラーピンチ効果
鉛直円管内を粒子が層流で流れる場合、粒子濃度が管径の0.6倍の半径位置付近で最大になる現象。速度勾配のある流体中に粒子がおかれると、粒子は回転して揚力を受け、速度の大きい方向に移動する結果としてこの効果が発生する。
(ちゅーぶらーぴんちこうか,tubular pinch effect)
超音波分散
超音波照射による凝集粒子の分散をいう。超音波分散では、分散した凝集体の代表径や最大粒子次数が単位体積あたりに照射された総エネルギー(=出力×時間/体積)に依存する。超音波分散のメカニズムとしては、疎密波から生じるキャビテーションなどが考えられる。
(ちょうおんぱぶんさん,ultrasonic dispersion)
超音波噴霧法
噴霧式エアロゾル発生法の一つ。圧電素子により、液に超音波振動を与えて波立たせ、液滴粒子を発生させる方法。加湿器や、耳鼻科のエアロゾル療法に利用されている。平均液滴径は数μm程度で、高濃度のエアロゾルを発生できる。
(ちょうおんぱふんむほう,ultrasonic nebulization)
潮解
水溶性固体粒子を大気中に放置するとき、大気中の水蒸気が粒子表面で凝縮し、粒子が表面から溶解し水溶液状態になる現象。この現象は、ある温度における水溶性粒子の飽和水溶液の平衡蒸気圧が、大気中の水蒸気分圧よりも低いときに起こる。
(ちょうかい,deliquescence)
超常磁性
自発磁化の回転を束縛する磁気異方性エネルギーが、熱エネルギーと同等かそれ以下になると、いままで安定であった自発磁化の向きが、熱的なゆらぎにより不安定となり、あたかも大きな磁気モーメントをもった常磁性的なふるまいを示す現象。
(ちょうじょうじせい,superparamagnetism)
超塑性
引っ張り変形において局部収縮(ネッキング)を生ずることなく巨大伸び値を示す現象。巨大伸びの程度は材料によって異なるが、通常の方法に比べて桁違いに大きい。超塑性の発現条件は、材料の微視的構造と、温度およびひずみ速度との兼ね合いで決まる。
(ちょうそせい,superplasticity)
超臨界乾燥法
超臨界流体中で行われる乾燥法。通常の乾燥法と異なり、クラックや収縮のない乾き多孔体が得られる。流体としては二酸化炭素が用いられることが多い。この場合、湿り材料内の水は、あらかじめ二酸化炭素との相溶性に優れたエタノールなどで置換される。
(ちょうりんかいかんそうほう,drying with supercritical fluid)
沈降曲線
均一に混合された微粒子懸濁液の入った容器を静置すると、粒子群の重力沈降によって清澄液層と粒子懸濁液層の間に時間とともに下降する界面が形成されるが、この界面高さと経過時間の関係を示す曲線をいう。回分沈降曲線ともいう。シックナーの設計に役立つ。
(ちんこうきょくせん,settling curve)
沈降限界速度
希薄な粒子懸濁液の上昇流において、流体速度が粒子の終末沈降速度より大きい場合、粒子は上方へ移動して流出し、逆に小さい場合には粒子は沈降する。このときの限界の流体速度をさす。したがって、その粒子の終末沈降速度に等しい。
(ちんこうげんかいそくど,critical settling velocity)
沈降性不均質スラリー
固体粒子が懸濁した系(スラリー)において、固体粒子の密度が液体の密度より大きい場合、粒子は沈降するが、ブラウン運動による均質化の効果よりも懸濁粒子の沈降速度が大きい場合に、沈降の影響により不均質となったスラリーをさす。
(ちんこうせいふきんしつすらりー,sedimentary nonuniform slurry)
沈降速度
重力、遠心力などの外力によって、粒子が流体中を沈降する速度をいう。粒子レイノルズ数がおおむね2以下のストークス域では水中で重力沈降する100μm、比重2の球形粒子は沈降開始から0.5ms以内にほぼ定常速度に到達する。この定常速度を特に終末沈降速度と呼ぶ。
(ちんこうそくど,settling velocity)
沈降速度分布曲線
単一粒子あるいはフロックの沈降速度と、その沈降速度以下の粒子が全粒子に占める割合との関係を表す曲線。希薄懸濁液の沈降分離装置の設計に用いられる。沈降曲線は、アンドレアゼンピペットや沈降天秤などを用いた粒子径分布測定法で求められる。
(ちんこうそくどぶんぷきょくせん,settling velocity distribution curve)
沈降体積
粗大粒子の懸濁液を静置すると、粒子は容器の底に沈降する。このときの粒子の嵩体積をさす。一般に粒子間の相互作用が小さいと、沈積している粒子に接触した沈降粒子は粒子間隙を埋めていき、密な充塡層が形成され、逆に粒子間の相互作用が大きいと、嵩高い構造となる。
(ちんこうたいせき,sedimentation volume)
沈降法、ストークス相当径
沈降法は粒子径分布測定法の一つで、媒質中を落下する粒子の速度がストークスの沈降速度式に従うとして、粉体試料を媒液中に分散させ、その沈降速度を計測して粒子径分布を測定する方法である。
したがって、沈降法で測定される粒子径は、媒質中を沈降する速度が同じである同じ密度の球の直径で表される。これをストークス相当径またはストークス径という。
u= H/t =1/18・(ρp-ρ0)g/μ・DP2
u:沈降速度  H:沈降距離  t:沈降時間
ρp,ρ0:粒子および媒質の密度 μ:媒質の粘度 DP:粒子径
g:重力の加速度
沈降速度を計測する方法、装置には各種のものがあるが、アンドレアーゼンピペット法、沈降天秤法、光透過法などがよく知られている。
沈降法では分散媒質中で試料粒子が完全に単一粒子に分散し、相互に干渉することなく沈降することが必要である。そのために試料粉体の分散方法、分散剤の選定などがきわめて重要である。
沈降面積
重力場にある角形槽の一方から、他方に向かって懸濁液を供給し、固体粒子を分級または分離する場合、その重力沈降槽の性能は槽の深さにはよらず、その床面積によってのみ決まる。この床面積を沈降面積とよぶ。
(ちんこうめんせき,settling area)
沈着定数
乱流場や複雑な形状の容器内に浮遊する微粒子の沈着現象を包括的に表すのに用いられる。沈着定数は、(沈着速度)・(沈着面積)/(容器の体積)で与えられる。t時間後の個数濃度nはn=n0exp(-βt)で与えられる。ここで、n0はt=0での個数濃度を表す。βを沈着定数と呼ぶ。
(ちんちゃくていすう,deposition constant)
沈着速度
微粒子が障害物の表面・壁面上の単位面積へ単位時間に沈着する粒子数(あるいは粒子質量)を沈着フラックスと呼ぶ。沈着速度は、この沈着フラックスを壁面から十分に離れた場所での粒子個数濃度(あるいは質量濃度)で割った値をさす。速度の次元をもつ。
(ちんちゃくそくど,deposition velocity)
沈着損失
エアロゾル粒子がブラウン拡散、乱流拡散、熱沈着、慣性力などによって管壁面などに付着し、気相中から消失する現象、あるいは消失量をいう。
(ちんちゃくそんしつ,deposition loss)
沈着フラックス
気相もしくは液相中に浮遊する微粒子について、単位時間あたりに壁面や基板へ沈着する粒子の量。壁面近傍の粒子濃度(個数あるいは質量)の分布がわかれば、沈着フラックスは粒子の拡散と、気流および外力による輸送を考慮して求めることができる。
(ちんちゃくふらっくす,deposition flux)
沈殿生成法
液相法で微粉体を生成する場合に、何らかの方法で溶質の溶解度積まで濃縮するか、化学変化により溶解度積の小さな溶質に変化させて沈殿を生成し、これを乾燥および仮焼して微粉体とする方法。
(ちんでんせいせいほう,precipitation method)
沈殿濃縮
重力場あるいは遠心力場で粒子を沈降分離することにより希薄懸濁液を高度に濃縮すること。一般に、同時に液体の清澄化も必要となる。上水処理や多くの排水処理では、沈殿濃縮が必要であり、連続式ではシックナーや清澄分離機が、回分式ではデカンテーションが用いられる。
(ちんでんのうしゅく,gravity thickening)

通気度
粒子充塡層内の流体の流速uと圧力損失Δpとの関係を表す以下のダルシーの法則における比例定数kをさす。透過率ともいう。u=kΔp/Lここで、Lは充塡層の厚さを表す。
(つうきど,permeability coefficient)

定圧圧搾
スラリーや半固体状の固液混合物の圧搾を行うために必要な圧力差、すなわち圧搾圧力を圧搾期間中一定に保って行う圧搾操作。恒圧圧搾ともいう。定圧圧搾は理論的な取り扱いが容易で、圧搾試験も簡単であり、最も詳細に研究され、実用化されている。
(ていあつあっさく,constant pressure expression)
定圧ろ過
スラリーのろ過を行うために必要な圧力差をろ過期間中一定に保持して行うろ過操作。定圧に保たれた圧縮空気圧をスラリーに作用させた場合、定容量型吐出ポンプを用いたろ過でのリリーフ弁作動後の場合、または連続真空ろ過の場合が定圧ろ過に相当する。
(ていあつろか,constant pressure filtration)
定圧ろ過係数
定圧ろ過において、ルースの定圧ろ過式中の係数を表し、ルースの定数とも呼ばれる。定圧ろ過係数はろ過のしやすさの指標であり、その値が大きいほどろ過しやすいことを表す。
(ていあつろかけいすう,constant pressure coefficient)
抵抗係数
流体中に物体が置かれ、それらの間に相対速度がある場合、物体は流体から流れの方向に力を受ける。この力を抗力という。抗力を流れの相対的な値、すなわち無次元数で表したものをさす。抵抗係数はレイノルズ数の関数である。
(ていこうけいすう,drag coefficient)
抵抗力形状係数
不規則形状粒子の流体抵抗に関する補正係数。粘度μの流体中を相対速度vで運動する粒子に作用するストークスの流体抵抗力FDは、代表径をxrとすると、次式で与えられる。FD=3πμvxrKrこの式中の係数Krをさす。
(ていこうりょくけいじょうけいすう,drag shape factor)
停止距離
静止流体中に一定速度で粒子を射出したときに、流体抵抗によって停止するまでの距離。代表径で除すと慣性パラメーターに等しいので、粒子のもつ慣性の大きさを表す。なお、粒子の速度が初速度の1/eになるまでの時間を粒子緩和時間という。ここでeは自然対数の底を表す。
(ていしきょり,stopping distance)
定速ろ過
ろ過速度をろ過期間中一定に保って行うろ過操作。一般にろ過初期のろ液は濁っており、希望する清澄度のろ液が得られないことが多い。そこで、ろ過初期には圧力を高くし、ろ材の細孔を固体粒子で架橋し、所定の圧力に到達した後、定圧ろ過に移行するのがよい。
(ていそくろか,constant rate filtration)
ディプレッション凝集
高分子が吸着できない表面(高分子が飽和吸着した表面を含む)をもつ微粒子が、高濃度高分子溶液中に高濃度に分散し、二粒子表面が高分子と同等かそれ以下の距離まで近づくと、粒子間には引力が働く。この引力による凝集をさす。
(でぃぷれっしょんぎょうしゅう,depletion flocculation)
ディプレッション分散
ディプレッション凝集の起こる状態からさらに高分子濃度を増すと、凝集の要因である高分子の変形に伴う自由エネルギーの増大よりも、二表面間から高分子を排除するのに要する自由エネルギーの方が大きくなり、表面間には反発力が働く。この反発力による分散をさす。
(でぃぷれっしょんぶんさん,depletion stabilization)
デバイ・ヒュッケル近似
もともとはイオンの活量に関するデバイ・ヒュッケルの極限法則を導く際におかれた近似であり、静電エネルギーよりも熱エネルギーが十分に大きいという条件を表す。この近似を用いることで、電気二重層内の電位分布や粒子間の静電斥力などが解析的に表現できる。
(でばい・ひゅっけるきんじ,Debye-Hückel approximation)
DEM
粒子集合体の力学的挙動を解析する手法として、個々の粒子にかかる力から個々の粒子の運動方程式を誘導し、その運動方程式を数値積分することによって個々の粒子の運動を求め、個々の粒子の結果の平均化から粒子集合体全体の挙動を求める手法。離散要素法ともいう。
(でむ,distinct element method)
テルツァギー・フォークトモデル
圧密における圧縮ケークの空隙容積の減少が、ケーク圧縮圧力の増加に即応して生じる部分(一次圧密)と時間的に遅れて生じる部分(二次圧密またはクリープ変形)からなると仮定したモデル。テルツァギーモデルが一次圧密を、フォークトモデルが二次圧密を表している。
(てるつぁぎー・ふぉーくともでる,Terzaghi-Voigt model)
電界カーテン
電極群を用いて作られる交流不平等電界あるいは進行波不平等電界により、帯電粒子を電極群で構成された空間内に閉じ込める装置。かご型や円環型の電極群が用いられる。静電四重極はこの特殊な場合に相当する。
(でんかいかーてん,electric curtain)
電界荷電
コロナ放電などによって生成したイオンは電界による静電気力を受け電気力線に沿って移動して粒子に付着することで、イオン雰囲気にある粒子が荷電される現象。電界荷電による粒子の帯電量は時間とともに増加し、最終的に飽和帯電量に達する。
(でんかいかでん,field charging)
電界効果
帯電した粒子の接触帯電において、電荷移動量がその場の電界によって変化する効果。接触帯電過程において、帯電方向と同符号の電界が作用していると、電界のない場合の電荷移動量に比べて小さくなる。逆に、帯電方向と異符号の電界が作用していると大きくなる。
(でんかいこうか,electric field effect)
電荷緩和
帯電電荷が次第に減少していくこと。電荷緩和の原因としては電気伝導と放電がある。電気伝導による場合は、緩和法則とも呼ばれる指数関数式に従うことが多い。このとき、電荷が初期の1/eになる時間を緩和時間といい、誘電率と電気抵抗率の積に等しい。
(でんかかんわ,charge relaxation)
電荷緩和時定数
静置された粉粒体の電荷の時間的な減少について、電荷が電気伝導によって漏洩する場合、比較的導電性の大きい粉粒体では、電荷qはq=q0exp(-t/τ)で表される指数則に従って減衰する。ここで、q0は粉粒体層の初期電荷、tは経過時間であり、τを電荷緩和時定数という。
(でんかかんわじていすう,time constant of charge relaxation)
電荷制御剤
電子写真に用いられるトナーなど、静電気を利用する粉体の帯電のしやすさや帯電極性を制御する目的で添加される物質の総称。正帯電用にはニグロシン染料、脂肪酸金属塩などの電子供与性物質が用いられ、負帯電用としてはアゾ系含金染料などの電子受容性物質が用いられる。
(でんかせいぎょざい,charge control agent)
電荷零点
粒子懸濁液において、懸濁粒子の表面電荷が、溶液のpHや電位決定イオン濃度を変えることによって、正にも負にも変化し、表面電荷がゼロになるpHやイオン濃度が存在する系がある。このときのpHやイオン濃度を電荷零点という。
(でんかぜろてん,point of zero charge)
電気移動度
電界中の帯電粒子に関して、静電気力により生じる粒子の移動が流体抵抗力と釣り合って定常に達したときの速度は、ストークス域では電界強度に比例する。このときの比例定数を電気移動度という。気相中の微小粒子では、電気移動度はカニンガムの補正係数の関数である。
(でんきいどうど,electrical mobility)
電気影像力
帯電した粒子が壁面や他の物体に近づくと、帯電粒子のつくる電界が相手物体の影響を受けて変化し、その物体に向かう吸引力を受ける。電界のひずみは、壁面などに粒子とは逆極性の電気影像を仮定して近似計算されるので、この力を電気影像力という。
(でんきえいぞうりょく,electrostatic image force)
電気泳動
液中で帯電した粒子を外部電界の下におくと、粒子は表面電荷の符号に応じて、正極または負極に移動する。定常状態では、粒子に働く電気力と粘性抵抗力が釣り合って等速で運動する。この現象を電気泳動という。移動速度、電界、粘性からゼータ電位が求められる。
(でんきえいどう,electrophoresis)
電気集じん機
帯電粒子の直流電界中での運動を利用してガス中に含まれている粒子状物質を除去する装置。装置に入ってきた粒子は、コロナ放電で生じたイオンの衝突により帯電し、放電電極と集じん電極との間の電界によるクーロン力で集じん電極に移動し、捕集される。
(でんきしゅうじんき,electrostatic precipitator)
電気浸透流
帯電界面に平行に直流電界を印加すると、電気二重層を形成する対イオンが電気力によって移動し、それに引きずられて液の流動が生じる現象。多孔質固体や粒子充塡層でも電界により同様に液のマクロな移動が生じる。液の移動速度測定から界面のゼータ電位が決定できる。
(でんきしんとうりゅう,electroosmotic flow)
電気抵抗試験方法(コールタカウンタ法)
粒子径、粒子径分布の測定法の一つで、電解溶液中に1個の小孔のある隔壁を設け、その両側に電極をおいて電圧を加えると電流が流れるが、その抵抗は隔壁の小孔部の体積で決まる。この電解質溶液中に粉体粒子を分散させて希薄な懸濁液とし、隔壁の一方から吸引すると粒子が小孔中を通過するときその体積分だけ電解質が減るので電気抵抗が増大する。したがって、この抵抗の変化量が粒子体積を、抵抗変化の発生数が粒子数を示すから粒子径分布が得られる。
電気抵抗率
物質固有の電気抵抗を表すため、物質の単位面積あたり、および単位長さあたりの電気抵抗をさす。電気抵抗=電気抵抗率×試料の厚さ/試料の断面積で与えられるため、電気抵抗率の単位はΩmである。粉体の電気抵抗率は電気集じん機での捕集性能に関係する。
(でんきていこうりつ,electric resistivity)
電気二重層
電解質溶液中で固体表面が帯電すると、その電荷を打ち消すように正味の反対電荷が表面近傍の溶液中に分布する。この状態を電気二重層という。溶液中のイオンの固体表面に対する最近接距離がなす面をステルン面といい、この面の電位はゼータ電位で近似されることが多い。
(でんきにじゅうそう,electric double layer)
電子写真
帯電したトナーを感光体上に形成された静電潜像に付着させて顕像化することを基本とする画像記録法。米国のCarlsonによって1938年に発明された方法で、カールソン法とも呼ばれる。トナーの粉体物性の制御が電子写真の画質に大きく影響を与える。
(でんししゃしん,electrophotography)
電成ふるい
電気めっき法または光学的エッチング法によって作製した網を、ふるい枠に取り付けたふるい。マイクロメーターのオーダーの小さい目開きの網まで高精度に作製できる。試験用ふるいの一つとして、目開き5~500μmの電成ふるいがJISに規定されている。
(でんせいふるい,electroformed sieve)
伝熱係数
固体と流体の間の熱移動量Q[W]は、固体表面と流体本体の温度差ΔT[K]と伝熱面積A[m2]に比例するとして、Q=hAΔTで表される。ここでh[Wm-2K-1]を伝熱係数という。伝熱係数の考え方は、強制対流伝熱、自然対流伝熱、凝縮伝熱、沸騰伝熱などに適用される。
(でんねつけいすう,heat transfer coefficient)

透過流動
粒子充塡層のように、多数の粒子が互いに接触した狭い空間を流体が流れる現象をいう。粒子の充塡構造は複雑であるため、充塡層内の流れは十分には理解されていないが、実用的な圧力損失特性と充塡構造の関係については、多くの研究により高い精度で透過特性を説明できる。
(とうかりゅうどう,flow through porous media)
等湿球温度線
湿度図表において同一の湿球温度を与える湿りガスの絶対湿度と温度との関係を示した線。等湿球温度線は断熱冷却線と一致する。また等エンタルピー線ともほぼ一致する。恒率乾燥期間における熱風乾燥器内の空気の温度と湿度は、これらの線に沿って変化すると考えてよい。
(とうしっきゅうおんどせん,constant wet-bulb temperature line)
動水半径
粒子充塡層などの非円形断面の流路を流体が流れるとき、圧力損失などの流動特性を、多数の屈曲管路の集合体と考え、(流路断面積/濡れ辺長)で定義される半径の仮想円管内を流体が通過するとして圧力損失を推定するモデルがある。この仮想円管の半径を動水半径という。
(どうすいはんけい,hydraulic radius)
等速沈降比
流体中での密度差を利用した選別法の分離性を評価するパラメーター。密度が異なる二種類の固体粒子について、各々の粒子の密度と流体の密度との差の比をいう。ストークスの粘性抵抗領域では、この比の平方根を等速沈降比とする。この値が大きいほど分離しやすいといえる。
(とうそくちんこうひ,equal falling ratio, free settling ratio)
動的圧力
貯蔵容器から粉粒体を排出させると、壁圧は静置しているときよりも高くなる。このように粉粒体を排出させ、貯蔵容器内の粉粒体が流動しているときの圧力をさす。円筒部とコーン部の境界の下部において、粉粒体排出時の動的圧力が最も高くなる。
(どうてきあつりょく,dynamic pressure)
動粘度
流体の粘性係数を流体の密度で割った値をさす。細い管のなかを自重で通過する速度によって粘性を比較する場合に用いられる。動粘性係数ともいう。物理的には拡散係数を表し、ランダムな分子運動による運動量の拡散移動フラックスは速度勾配と動粘度の積で表される。
(どうねんど,kinematic viscosity)
動摩擦角
粉体層のせん断過程で、せん断変位が大きくなると、せん断力と空間率が一定で、せん断変位だけが増加する限界状態に達する。限界状態における垂直応力とせん断応力の関係は原点を通る直線となる。この直線と垂直応力軸とのなす角度をさす。
(どうまさつかく,angle of dynamic friction)
動力学的形状係数
不規則形状粒子の幾何学的大きさと動力学的大きさとの関係を表す係数。動力学形状係数=(実際の粒子に作用する流体抵抗力/粒子と同体積の球に作用する流体抵抗力)で定義される。粒子径として(等体積)球相当径を用いると、(球相当径/ストークス径)2に等しい。
(どうりきがくてきけいじょうけいすう,dynamic shape factor)
動力数
流体のかくはん混合において、かくはん羽根が流体から受ける慣性力に対するかくはん羽根の回転所要動力(かくはん所要動力)の比率をさす。流体内で運動する物体の抵抗係数の一種である。無次元数であり、ニュートン数とも呼ばれる。
(どうりょくすう,power number)
とび粉
粉粒体粒子集合体の中で大多数を占める微粒子群に対し、粒子径分布的に飛び抜けてかけ離れた粗大粒子をさす。とび粉は量的にごくわずかで粒子径分布上は無視できる程度でも、セラミックスの異常粒成長や電気特性の不良などの原因となるので、その管理と除去は重要である。
(とびこ,isolated coarse particle)
飛び出し
流動層からの微粒子の飛び出しの略称。微粒子は層表面からフリーボード(上部の希薄相空間)へ射出された後、フリーボードを上昇する過程でその大部分が層表面に落下する。したがって、系外への粒子排出速度はフリーボード高さが高いほど減少し、一定値に漸近する。
(とびだし,particle entrainment and elutriation)
トポケミストリー
場所を問題とする化学一般をさす。特に固体化学では、特定の活性点から反応が開始・進行しやすいため、その活性な部分の分布を観測したり、制御したりすることが材料の開発に重要である。また、粉砕によって得られた微粉体では、粉砕の方式により活性点の分布が異なる。
(とぽけみすとりー,topochemistry)
トモグラフィー
測定対象物体を取り囲む形で、走査型のビーム照射系(線源と検出器)を配置し、内部の物性(静電容量、比抵抗、音響インピーダンス、密度など)の分布を調べる技術である。ビーム照射系と照射データからトモグラフィー像を再構築する演算系とからなる。
(ともぐらふぃー,tomography)
トライボケミストリー
摩擦によって引き起こされる物質移動や化学反応を扱う分野をさす。金属の機械加工や精密研磨の際に、被加工物と刃物もしくは研磨剤との間に起こる化学反応を対象とする。現在では上位概念であるメカノケミストリーと同義、もしくはその概念の一部と考える場合が多い。
(とらいぼけみすとりー,tribochemistry)
トラフ
スクリューフィーダー・コンベア、振動フィーダー・コンベア、エアスライドなどフィーダー・コンベア類のU形、円筒、箱形などのケースをさす。トラフをジャケット構造にしたタイプを二重トラフと呼び、加熱・冷却に使用される。
(とらふ,trough)

内部摩擦角
静止粉粒体層が崩壊によって動的状態に変わるとき、層内に生じる崩壊面に働く垂直応力σとせん断応力τの関係をσ-τ平面にプロットしたものが破壊包絡線である。破壊包絡線が直線になるとき、破壊包絡線とσ軸がなす角を内部摩擦角と呼ぶ。
(ないぶまさつかく,angle of internal friction)
鳴き砂
砂浜を歩いたときに「グッ、グッ」と断続的な音を出すことがある。このような性質をもつ砂をさす。鳴き砂の条件として、二酸化ケイ素含有量が70%以上であること、比較的塊状の粒子で表面が滑らかであること、表面が清浄で粒子間摩擦係数が大きいことが必要である。
(なきすな,singing sand)
ナノカプセル
1μm以下のサイズのコーティング粒子をさす。医薬品製剤の一つとして薬物を高分子でコーティングしたものをさすことが多く、一般的にそのサイズは数十nm~数百nmである。現在の技術では気相法で製造することは不可能であり、液相法で調製される。
(なのかぷせる,nanocapsule)
ナノコンポジット磁石
希土類磁石の分野において、数十nmオーダーの軟磁性結晶粒と硬磁性結晶粒とが複合化した組織をもつ合金をさす。残留磁束密度が高く保持力も比較的大きな磁石が得られるため、ボンド用磁石材料としての用途が期待されている。
(なのこんぽじっとじしゃく,nanocomposite magnet)
ナノ多結晶体
微小な粉体が溶融することなく焼結により結晶性の塊状物となったものを多結晶体という。多結晶体において、構成する結晶粒子のサイズが1μmより小さいものをナノ多結晶体と呼ぶ。機械的強度の増加あるいは量子効果の発現などが期待できる。
(なのたけっしょうたい,nano-polycrystal)

二相流
気体、固体、液体のいずれか二相が同時に存在している流れをさす。気液二相流の事例として、気泡の流れ、液滴の空気搬送、固気二相流としては、固気噴流、粉体の空気輸送、固液二相流としては、河川の流れ、スラリーの流れがある。
(にそうりゅう,two phase flow)
二値化処理
取り込んだ画像から特徴を抽出するために必要な画像処理法の一過程。入力画像は、二次元空間内で標本化されたアナログ信号を一定のレベルで量子化したディジタル画像関数で表されている。この情報から目的画像を切り出すために、適当なしきい値を与えて情報を分別する。
(にちかしょり,binarization)
ニューセラミックス
陶磁器や耐火物など、主に天然のケイ酸塩を原料とする伝統的なセラミックスに対して、アルミナ、チタン酸バリウム、窒化ケイ素、ジルコニアなど近年に登場した新しい機能性セラミックス群をさす。ファインセラミックスも同意。
(にゅーせらみっくす,new ceramics)
ニュートン効率
二成分混合物の分離の度合いを示す。原料Fを分級して、粗粉A、微粉Bを得た場合、分離粒子径xにおけるふるい上積算質量分布を各々、RF、RA、RBとすれば、ニュートン効率η=[有用成分回収率]-[不要成分残留率]からη=(RF-RB)(RA-RF)/{RF(1-RF)(RA-RB)}で与えられる。
(にゅーとんこうりつ,Newton’s efficiency)
ニュートンの抵抗法則
無限流体中を粒子が一定速度で運動するとき、粒子周りのレイノルズ数が大きい場合には流体の粘性は無視でき、粒子には速度vの2乗に比例する抗力が働く。抗力FはF=kAρv2で与えられる。ここで、Aは粒子の流れ方向投影断面積、ρは流体密度、kは定数を表す。
(にゅーとんのていこうほうそく,Newton’s law of drag)
ニュートン流体
せん断応力とせん断速度の間に比例関係があり、法線応力差などのせん断弾性項、あるいは降伏値などの塑性項を含まない理想的な流体をさす。したがって比例定数である粘性係数はせん断速度に依存せず一定値を示す。水や多くの潤滑油はニュートン流体とみなされる。
(にゅーとんりゅうたい,Newtonian fluid)
二流体ノズル
空気や蒸気などの圧縮性ガスを用いて高速気流を液体表面に加え、そのせん断力によって微粒化する方式の噴霧ノズルをさす。ノズルヘッド内で液とガスが接触する内部混合型とヘッド外で接触する外部混合型がある。
(にりゅうたいのずる,twin-fluid atomizing nozzle)
二流体噴霧
液柱や液膜をガス流によって分裂させ液滴を得る噴霧法。ガスの運動エネルギーによって効果的に液柱や液膜を分裂させるため、液体のみをノズル孔から噴霧する方法に比べて微細な液滴を小さな動力消費で得ることができる。液滴径の推定には抜山・棚沢の式が適用できる。
(にりゅうたいふんむ,twin-fluid atomization)

濡れ
気体中の固体表面に液体が付着し、固液界面ができる現象。固体表面において液体が広がり膜化する拡張濡れ、固体表面に液滴が付着する付着濡れ、固体が液体に浸漬され、および表面全体が液体におおわれる浸漬濡れに分類される。
(ぬれ,wetting)
濡れ性
濡れは固体表面への液体の付着現象であり、固体と液体間の付着力が液体の凝集力より大きい場合には親液性といい、逆の場合は疎液性という。液体の縁の表面に引いた接線と固体表面が成す角度を接触角と呼ぶ。濡れ性は接触角で数値的に評価される。
(ぬれせい,wettability)

熱泳動
温度勾配のある気相中におかれた粒子が高温側から低温側へと移動する現象。熱泳動速度は粒子径にはあまり依存しないため、粒子径が小さく、温度勾配が大きいときには、重力沈降速度よりも十分大きな速度になることがある。
(ねつえいどう,thermophoresis)
熱沈着
気相の温度勾配に起因する熱泳動によるエアロゾル粒子の低温壁への沈着現象。熱集じんやサーマルプレシピテーターに応用されている。前者は集じん壁がガス流よりも低温である集じん法であり、後者は熱泳動速度の粒子径依存性が小さいという性質を利用した捕集装置である。
(ねつちんちゃく,thermal precipitation)
ネブライザー
霧吹きの原理により液滴を気流中に分散してエアロゾルを発生する装置。ノズルから高速気流を噴射して、その負圧により液を吸い上げ、同時に液を微細な液滴に分散させる。大きな液滴は、ノズルと対向して設置された障害物に衝突して分離される。
(ねぶらいざー,nebulizer)
ネルンスト型帯電
液中の固体表面の帯電がイオンの吸着による場合、バルクのイオン濃度が多少変動しても固体表面上のイオン濃度はあまり変わらないが、正負両イオンが共存している場合には、表面電位は正負イオンの少量の過不足で大きく変わるような帯電状態をさす。
(ねるんすとがたたいでん,Nernst type charging)
粘性減衰
連続体の粘性によって減衰する現象一般に対して用いられる。粘性流体中で回転する球に働く減衰トルクが一例としてあげられる。また、粒子が他の粒子に接触して変形する場合、粒子内部で変形に伴うエネルギーの散逸が生じ、結果として運動エネルギーの一部が消失する。
(ねんせいげんすい,viscous dissipation)
粘性底層
境界層内部において、固体表面のごく近傍の速度勾配が一定と近似できる層をさす。流体が乱流であっても流体と接する固体の表面では流速はゼロであり、粘性の効果は無視できない。関連するレイノルズ数が大きくなると粘性底層は薄くなり、粘性の影響は小さくなる。
(ねんせいていそう,viscous sublayer)
粘性流体
粘性の働きが無視できない流れの流体をさす。せん断速度とせん断応力の間に線形性が成り立つニュートン流体とせん断速度とせん断応力の間に線形性が成り立たない非ニュートン流体の両方を含む。粘性をもたない理想的な流体を完全流体と呼ぶことがある。
(ねんせいりゅうたい,viscous fluid)
粘着力
圧密応力を作用させない状態で粉体層をせん断するのに必要なせん断応力をさす。圧縮応力軸-せん断応力軸平面上にプロットされた粉体層の破壊包絡線とせん断応力軸との切片として与えられる。
(ねんちゃくりょく,cohesion, cohesive force)

濃度分極
膜ろ過において、溶質が膜表面上に堆積し、膜表面近くの溶質濃度が原液に比べて高くなる現象。濃度分極が起こると、溶質の一部流出、浸透圧増加による有効ろ過圧の減少、あるいは膜上でのゲル層形成によるろ過抵抗の増加により、膜の分離性能が低下する。
(のうどぶんきょく,concentration polarization)
ノンクロッグポンプ
管路内の液中を浮遊しながら流動する固形物が、破砕されることなく加圧されながら通過するポンプをさす。羽根車内の通路が管路と同径の曲管のものや、前面にシュラウド(側壁)がなく、後面シュラウドも中心部だけのものや、羽根が二枚で通路が簡単なものなど種々の形式がある。
(のんくろっぐぽんぷ,non-clog pump)

配位数
本来、ある原子を取り巻く最も近接した原子数を意味するが、粉体工学では粒子一個の表面に存在する接触点の数をさす。均一径球形粒子の最密充塡の場合、12を示し、空間率の増加とともに減少する。接触点が関係する粉体特性(電気伝導など)を検討する際に重要である。
(はいいすう,coordination number)
バイオミメテイック法
生体が炭酸カルシウム、アパタイト、酸化鉄などの無機鉱物あるいはそれらの有機物コンポジットを体内に生成する際の生体内反応を模倣して物質をつくる方法をさす。広義には動植物の生体構造を鋳型として利用したコンポジットの作製にも適用される。
(ばいおみめていっくほう,biomimetic method)
排出角
粉体を容器に充塡し、底部の排出口から重力流動で排出させた後の残留粉体層の傾斜角度をさす。安息角の一種であり、貯槽装置下部のホッパー形状の設計に用いられる。理想的なクーロン粉体の場合は、内部摩擦角と一致するが、実際の粉体では、排出角の方が大きい。
(はいしゅつかく,drained angle of repose)
煤塵
燃料その他の物質の燃焼または熱源としての電気の使用に伴い発生する粉じんをさす。大気汚染防止法第2条で規定するばい煙の一種である。ばいじんの規制は大気汚染防止法施行規則別表第2に定められている。
(ばいじん,soot and dust)
バインダー
造粒や成形の操作において粉体状の原料に適当な凝集性や成形性(可塑性)をもたせ、かつ用途・目的に合致した強度(崩壊性)、溶解性、反応性などを考慮して固体粒子間の結合媒体として使われる物質をさす。結合剤や粘結剤とも呼ばれる。
(ばいんだー,binder)
ハーゲン・ポアズイユの式
円管内の定常層流流れにおける非圧縮性ニュートン流体の流量Q[m3・s-1]と圧力損失ΔP[Pa]、円管直径D[m]、円管長さL[m]、および流体粘度μ[Pa・s]との間に成り立つQ=πΔPD4/(128μL)をさす。レイノルズ数が2,100以下でよく成り立つ。
(はーげん・ぽあずいゆのしき,Hagen‐Poiseuille’s equation)
パーコレーション偏析
特定成分が重力場や電磁場などの外力の影響を受けてバルク成分層に浸透しながら移動し、ついにはすり抜けて分離し偏析する現象。たとえば大粒子層上にそれと同密度の小粒子を置き、振動させると、小粒子は大粒子の間隙をぬって流下し、上下が反転する。
(ぱーこれーしょんへんせき,percolation segregation)
発火温度
石炭やある種の穀物などの堆積層では着火源がなくても、酸化反応などにより発生した熱が堆積層内部に蓄積されて、局所的に温度上昇を生じることがあり発火に至る。このような自然発火を起こす堆積層の周囲環境温度の最低値。
(はっかおんど,ignition temperature)
発じん器
空気中に微粒子を分散させてエアロゾル化する装置。エアロゾル化する方法として、微粉体を気流によって分散させる粉体分散法、液体または微粒子懸濁液を噴霧する液噴霧法、粒子化する物質を気化しそれを凝縮させる凝縮法がある。集じん機の性能試験などに用いられる。
(はつじんき,dusting device)
発じん性
粉じんの発生し易さをいう。粉体材料が衝撃や摩擦などを受けたとき粉じんが発生する度合い、汚染要因物の質、大きさおよび量によって評価される(JIS Z 8122)。発じん法としては、粉体落下法をはじめ、各種の粉体分散法が適用される(ISO/TS 12025)。
(はつじんせい,dustiness)
ハマーカー定数
粉体粒子間に働くファンデアワールス付着力を表す物性定数。ハマーカー定数Aは、たとえば、粒子径xの微粒子が平板とzの空隙を隔てて隣接している場合、付着力F=Ax/(12z2)で定義される。真空中における同種物質のハマーカー定数は4~50×10-20Jの範囲にある。
(はまーかーていすう,Hamaker constant)
反磁性体
磁場をかけたとき、物質が磁場の逆向きに磁化され、磁場とその勾配の積に比例する力が、磁石に反発する方向に生ずる物質をさす。反磁性体は自発磁化をもたず、磁場をかけた場合にのみ反磁性の性質が表れる。超伝導体は強い反磁性をもつ。
(はんじせいたい,diamagnetic)
反応焼結
粉体の成形体を、高温で焼成して化学反応を起こしつつ焼結させる方法。最終化合物の粉末成形体を焼結させる方法に比べて、著しく低温で焼結可能であり、また焼結助剤などの添加を必要としないなどの特徴をもつ。代表的な例として、窒化ケイ素セラミックスがある。
(はんのうしょうけつ,reaction sintering)
反発係数
二つの物体の衝突において、衝突前後の速度の比で定義される。どの速度成分をとるかによって値が異なるため、汎用性のある定義として、衝突現象において、物体が圧縮される期間に働く力積と圧縮された物体が元にもどる回復期間に働く力積の比で定義されることがある。
(はんぱつけいすう,coefficient of restitution)
反発偏析
混合粒子を落下させ供給するとき、反発速度の差異により生じる偏析をさす。反発現象は、粒子の物性だけでなく、衝突時の角度や相対運動が関係する複雑な現象であるため、定量的なデータは見当たらないが、一般的に、反発係数の大きな成分ほど遠くへ偏析する。
(はんぱつへんせき,resilience segregation)

ビオ数
伝熱に関する無次元数であり、固体内部の熱伝導と、表面からの伝熱量の比率である。固体表面の伝熱係数をh、代表長さをd、および固体の熱伝導率をλとすると、Bi=hd/λで定義される。ビオ数が、1を越えれば、固体表面の伝熱よりも固体内部の熱伝導が遅いことを示す。
(びおすう,Bio number)
光泳動
媒体中に懸濁している粒子に光が照射されて起きる粒子の運動をさす。粒子と媒体との間の熱の移動に伴う運動量の授受の結果として起きる。粒子が光を吸収し、温度が上がると、粒子から周囲媒体に熱が移動し媒体中に温度差が生じる。その結果、粒子は力を受ける。
(ひかりえいどう,photophoresis)
光散乱
粒子群に光を照射すると、粒子による反射、屈折、吸収、回折の結果として光がさまざまな方向で観察される現象。散乱光は粒子径と光の波長の比によって複雑に変化するが、球形粒子に対するミーの光散乱理論は粉体の粒子径分布の測定に広く利用されている。
(ひかりさんらん,light scattering)
尾鉱
選鉱プロセスで供給鉱物(給鉱と呼ばれる)から有用成分が回収されたあと、不要物として分離された産物。テイリングともいう。これに対して有価物を精鉱という。多段階の選鉱プロセスでは、尾鉱は、次のプロセスの給鉱となる。
(びこう,tailing)
飛散
粒子が外力を受けて流体中に飛び出す現象の総称であり、捕集粉じんが流体抵抗によって運び去られる現象や、振動や衝撃によって粉体層を構成する粒子が飛び散る現象。飛散はホッパーから粉体を排出したり、容器で受けたりするときの発じんでも見られる。
(ひさん,entrainment)
比重選別
固体粒子の流体中での密度差を利用した選鉱法。鉱石からの有用な鉱物と脈石との分離に用いられている。比重選別法には、重液選別、薄流選別、ジグ選別などがある。いずれも比重差が1以上ある場合に選別可能である。一般的には、等速沈降比が大きいほど選別が容易である。
(ひじゅうせんべつ,gravity separation)
ピストンフロー
流体が、流れに直角な断面では完全混合状態であるが、流れの方向には他の部分とまったく混合せずに流れる理想的な流れの状態。押出し流れ、プラグフローともいう。押出し流れと対照的な理想流れの状態が完全混合流れである。
(ぴすとんふろー,piston flow)
比抵抗(電気)
粉体層の単位断面積、単位厚さあたりの電気抵抗。この値はΩmの単位をもち、電気抵抗率ともいう。粉体層では、固体の比抵抗と異なり、充塡率や湿度などに依存するので、見掛け電気比抵抗、見掛け電気抵抗率とも呼ばれる。
(ひていこう(でんき),specific resistance, resistivity)
比抵抗(ろ過)
部分ろ過比抵抗と平均ろ過比抵抗とがある。部分ろ過比抵抗は、ろ過速度を与える式の比例係数を逆数で表したもので、ろ過のしにくさの指標である。平均ろ過比抵抗は、ケーク抵抗がケーク中の固形分質量に比例するとした式の比例係数を表す。
(ひていこう(ろか),specific (filtration) resistance)
比電荷
粒子の単位質量あたりの電荷。単位は[C・kg-1]である。比電荷を測定するにはファラデーケージが用いられる。個々の粒子の比電荷は、電界中での粒子の運動を利用して測定するのが本来であるが、一般には、電気移動度を測定し、一方で粒子径を測定して近似的に計算される。
(ひでんか,specific charge)
ヒートポンプ
熱媒体や半導体などを用いて低温部分から高温部分へ熱を移動させる技術あるいは装置。手法はいくつかあるが、主流は気体の圧縮・膨張と熱交換を組み合わせたもので、一般家庭でもみられる製品での事例として冷凍冷蔵庫、エアコン、ヒートポンプ式給湯器などがある。
(ひーとぽんぷ,heat pump)
非ニュートン流体
せん断応力とせん断速度が正比例関係にない流体。せん断速度が大きいほどせん断応力が急激に大きくなるダイラタント流体、逆にせん断応力が頭打ちになる擬塑性流体、一定のせん断応力になるとニュートン流体の挙動を示すビンガム流体が非ニュートン流体に分類される。
(ひにゅーとんりゅうたい,non‐Newtonian fluid)
比表面積
一般には、単位質量の粉体中に含まれる全粒子の表面積の総和のことであり、 Sw(cm2/g)で示される。
粉体の表面積には、粒子の外郭の面積のみのもの、粒子の表面の凹凸、亀裂の面積を含むもの、粒子内部まで侵入している細孔の面積を含むもの等があり、それぞれ、測定方法により異なる意義の比表面積が求められる。
PVD
気相中の微粒子製造プロセスの一つ。高温蒸気の冷却により蒸気分子が過飽和状態となり、これらの分子が互いに衝突、凝集および蒸発を繰り返しながら、分子の集合体であるクラスターが形成される。続いてクラスター同士の凝集あるいは蒸気の凝縮により微粒子が生成する。
(ぴーぶいでぃー,physical vapor deposition)
表面改質
固体の表面に物理的・化学的な処理を施して表面の性質を変えること。粉粒体の物理的な処理による改質としては、高分子の物理吸着、高分子膜によるコーティング、微粒子の吸着・積層があげられる。化学的処理としては、粒子表面での種々の化学反応による改質がある。
(ひょうめんかいしつ,surface modification)
表面蒸発期間
湿り材料の乾燥初期において材料の表面でのみ蒸発が起こっている期間をいう。非吸着性多孔体では、伝熱量と蒸発量がバランスして、温度一定、乾燥速度一定となるが、吸着性多孔体や高分子溶液では、乾燥の進行に伴い乾燥速度の減少がみられる。
(ひょうめんじょうはつきかん,surface evaporation period)
表面電位
帯電した固体表面の電位。液中での表面電位は厳密には液本体に対して固相がもつ相対電位をさすが、実測不可能であるため、ゼータ電位をもって表面電位とするのが実際的である。ゼータ電位は滑り面における電位であるため、真の表面電位に比べてその絶対値は小さい。
(ひょうめんでんい,surface potential)
表面電荷
帯電した固体表面がもつ正味の電気量。厳密には固体表面部分のみがもつ電荷量であるが、液中での表面電荷はステルン層に存在する対イオンと特異吸着イオンの電荷も合わせた電気量や、滑り面までの電気量を合わせたものをさす場合もある。
(ひょうめんでんか,surface charge)
表面伝導
固体表面での電気伝導。電解質溶液中の固体では、表面近傍の電気二重層内にイオンが集積され、電気伝導度がバルクよりも大きくなるので、電流は電気二重層内をより多く流れる。毛細管セルを用いたゼータ電位測定法では表面電位の影響が無視できないので補正が必要である。
(ひょうめんでんどう,surface conduction)
表面反応
気固反応において、未反応固体物質の空隙率が非常に小さい場合には、反応が粒子の外表面近傍でまず起こり、その反応界面が次第に粒子内部に向かって移動していく。したがって、この場合、反応が表面または界面で起こっていると考えることができる。これを表面反応という。
(ひょうめんはんのう,surface reaction)
表面粉砕
粒子の破壊が、その表面から進行する破壊形式。粉砕途中での粒子径分布は2峰分布になることが多い。粒子に対して、主としてせん断力が作用する場合では、この破壊形式で粉砕が進行する。特に微粉砕領域では、この破壊形式が主たる要因となって粉砕過程が進行する。
(ひょうめんふんさい,surface grinding)
表面偏析
粉粒体堆積層の傾斜堆積面上で粒子の偏析成分が層内偏析の場合と同様に分離し、上層に引きずられて遅れて流下することで起きる偏析であり、表層偏析ともいう。要因として、単一粒子の飛翔、回転、押しのけ、ふるい分け効果などがあげられる。
(ひょうめんへんせき,surface segregation)
表面ろ過
固気系において、繊維充塡層や粒子層フィルターのように、充塡物の間隙で粒子が捕集されるろ過に対して、ろ材(一般にろ布)の表面上に粒子が付着・堆積して粒子層を形成し、集じんがろ材表面上で行われる状態。固液系ではケークろ過を表面ろ過ともいう。
(ひょうめんろか,surface filtration)
ビールビー層
金属にせん断応力を加え、切削あるいは研削加工を行った場合、仕上げ面上に加工変質層が残留する。この層は内面の母組織界面から表面に向かって、弾性ひずみ層、細粒化層、繊維組織層、非晶質層と性質が変化する。最表面の厚さ数nmの非晶質層をビールビー層という。
(びーるびーそう,Beilby layer)
ビンガム流体
非ニュートン流体の一種で、降伏値が一定値となる流体。すなわち、せん断応力が限界値に達するまでは、弾性体としてフックの法則に従い、せん断応力が限界値に達すると一定の粘性係数で流動を始める。粘土を水に懸濁させたスラリーはビンガム流体に近い特性を示す。
(びんがむりゅうたい,Bingham fluid)
貧溶媒
一般に溶質に対して溶解力の弱い溶媒をさすが、分散安定性の関連では、吸着高分子による保護コロイドで吸着高分子鎖が非摂動時のランダムコイル径より小さく収縮するような溶媒をいう。安定化作用はあまり期待できないが、厚い吸着層による安定化が可能な例もある。
(ひんようばい,poor solvent)

ファインセラミックス
特定の機能に着目して、精製・調整された原料を用い、高度に制御された条件下で製造・加工して得られるセラミックスで、制御された化学組成、微細組織、形態などをもつ。構造用セラミックスと機能性セラミックスに分けられる。
(ふぁいんせらみっくす,fine ceramics)
ファーナスのモデル式
ファーナスが提案した、粒子径が大きく異なる大小二種類の粒子を混合充塡した際の空間率推定式。大粒子の隙間にすべて小粒子が充塡されていくというモデル式と、小粒子を充塡した中に大粒子が分散しているというモデル式があり両式を総称してファーナスのモデル式という。
(ふぁーなすのもでるしき,Furnas’s model equation)
ファニングの式
管路内を流体が流れる場合の圧力損失ΔPを推定するのに広く利用されている式で、管長をL、管径をD、流体の密度をρ、流速をuで表すと、非圧縮性流体の場合、次式で与えられる。ΔP=4f(L/D)(ρu2/2)ここで、fはファニングの管摩擦係数である。
(ふぁにんぐのしき,Fanning’s eqation)
ファネルフロー
貯槽からの粉粒体排出時に生じる粉粒体排出パターンの一種。流動粉粒体の流路が排出口上部の限定された領域に形成され、排出口付近の貯槽壁近傍に粉粒体の流動しない領域が生ずる状態をさす。一般に粉粒体の流動しない領域がファネル(ろうと)状を示すためこう呼ばれる。
(ふぁねるふろー,funnel flow)
ファラデーケージ
電気的に互いに絶縁した二重の金属容器の内側の容器に帯電体を入れ、外側の容器を接地しておくと、帯電体による電界は内側の容器ですべて受け止められることを利用した帯電体の電荷測定装置。内側の容器の電位を計測することで帯電体の電荷を求めることができる。
(ふぁらでーけーじ,Faraday cage)
ファント・ホッフ係数
電解質溶液では非電解質溶液に比べて浸透圧が高くなり、その比率をさす。通常、溶質分子は多かれ少なかれ溶液中で解離しているので1よりも大きい。ファント・ホッフ係数は、電解質溶液の蒸気圧降下、凝固点降下、および沸点上昇の式でも用いられる。
(ふぁんと・ほっふけいすう,van’t Hoff factor)
フィーダー
粉粒体を供給、排出するための装置の総称。定量供給のために、粉粒体特有の現象である、付着、凝集、フラッシング、ブリッジング対策を施したものがある。フィーダーは大別して、往復運動式、振動式、回転運動式、エンドレスベルト式、および流動化式に分類される。
(ふぃーだー,feeder)
フィックの法則
気相中もしくは液相中に浮遊している微粒子のブラウン拡散速度、あるいは分子拡散による拡散速度が濃度勾配に比例するという経験則。微粒子系では、濃度が不均一な場合、粒子のブラウン運動によって粒子は高濃度側から低濃度側に移動し、均一な濃度場を形成しようとする。
(ふぃっくのほうそく,Fick’s law)
風化
結晶水をもつ結晶性塩類が、大気中でその結晶水の一部またはすべてを失い、低位の水和物または無水物になる現象。一般に大気中の水蒸気分圧が、結晶性塩類の平衡水蒸気圧よりも低い場合には、塩類は水分を失い、平衡水蒸気圧の低い、より低位の水和物に変化する。
(ふうか,efflorescence)
風し(篩)
風ぶるいともいう。以前は風力分級、乾式流体分級の同義語として用いられていたが、現在では、上昇気流を用いて重力沈降速度の遅い粒子を上方にもち去るようにした重力分級方式で、粒子径分布測定などを目的とする小規模な分級に限定して用いることが多い。
(ふうし,air elutriation)
風力分級
気相中で粒子の流体力学的挙動の違いを利用して行う分級操作。重力、慣性力、遠心力などの力が作用している粒子に対して、流体の抗力を逆方向に作用させ、粒子径や粒子密度、あるいは粒子形状によって生じる移動速度の差を利用して分級する。
(ふうりょくぶんきゅう,pneumatic classification)
フェライト
鉄の酸化物が、Co、Ni、Mn、Zn、Mg、Cu、Liなどの不純物と共存して、立方晶系や六方晶系といった結晶構造をもつ酸化物の総称。強磁性を示すものが多い。応用面ではハードフェライト(永久磁石)とソフトフェライト(高透磁率材料、マイクロ波材料)に分けられる。
(ふぇらいと,ferrite)
フェルミ準位
物質内の電子は、その温度に応じて種々のエネルギーをもつが、電子がある温度で、あるエネルギー準位を占める確率はフェルミ・ディラックの分布関数で与えられ、占有確率が0.5になるエネルギー準位をフェルミ準位という。物質の電子エネルギー状態を表す。
(ふぇるみじゅんい,Fermi level)
フォークト模型
粘弾性特性を表す力学模型の一種。ばねとダッシュポットを並列に結合した模型である。この模型を引っ張ると、ばねとダッシュポットは同じだけ伸びるが、それぞれに作用する応力の合計が引っ張り応力となる。遅延弾性を表現するのに便利な模型である。
(ふぉーくともけい,Voigt model)
付加圧力損失
空気輸送に必要な圧力損失を気流による分と被輸送物による分に分けるとき、後者をいう。実際には測定不可能であるため、気流による分は空気のみを同じ流量で流したときの圧力損失とみなし、全圧力損失からこれを差し引いて付加圧力損失とする。
(ふかあつりょくそんしつ,additional pressure drop)
賦形剤
医薬品製造において、微量の主薬にかさを与え、製剤の取り扱いや服用を容易にするために混合工程で添加される増量剤。無害であるのはもちろん、主薬の性状、吸収、薬理作用に変化を与えるものであってはならない。乳糖、ショ糖、デンプンなどが用いられる。
(ふけいざい,diluents)
浮上分離
水中の固体粒子、油滴、コロイド粒子、イオン、分子などを気泡に付着させ、浮上させて分離する選別方法。浮上分離法は水相から固体だけでなくすべての不純物を非選択的に分離する方法。汚水中の有機汚濁物や油分など疎水的な物質の除去に有効である。
(ふじょうぶんり,flotation)
浮選
浮遊選別とも呼ばれ浮上分離法の一種。代表的な選鉱法。固体粒子の界面化学的性質の差異を利用した選別法で、比重選別が困難な微粒子の相互分離に用いられる。種々の分離法があるが、現在は気泡に鉱物粒子を付着させて浮上分離する手法が主流である。
(ふせん,flotation)
浮選剤
気泡に鉱物粒子を付着させて浮上分離する手法では、鉱物粒子表面や分散液の界面化学的性質を制御することが重要であり、そのために添加する薬剤を浮選剤という。浮選剤は、その機能によって、捕集剤、起泡剤、抑制剤(鉱物表面の親水化)、活性剤に分類される。
(ふせんざい,flotation reagent)
付着
粒子同士あるいは粒子と壁がファンデアワールス力、静電気力あるいは液架橋力により接触し安定しようとする現象。特に粒子同士の場合は凝集と呼ばれる。付着の程度は、付着力と自重の関係で決まり、それぞれの粒子径依存性が異なるため、粒子径が小さいほど付着性が増す。
(ふちゃく,adhesion)
付着強度分布
粉体は、粒子一個ごとに粒子径、粒子形状、あるいは表面性状が異なるため、個々の粒子ごとに付着強度は異なり、ある分布をもっている。その分布を付着強度分布という。分布関数としては、実用的には、対数正規分布関数などが用いられる。
(ふちゃくきょうどぶんぷ,adhesive strength distribution)
付着水
重力脱水あるいは遠心脱水した粉粒体表面に付着している自由水および吸着水をさす。特に、脱水時の低湿分域におけるウェッジ液に占有されている部分以外の粒子表面にある水分を意味する。付着液の厚さは、普通の固体粒子では表面粗さの三分の一以下である。
(ふちゃくすい,adhesional water, surface water)
付着濡れ
濡れの形態の一種で、気相中の固体表面に液体が液滴として付着する濡れをさす。ガラス表面上の水銀やパラフィン上の水滴などではこの種の濡れしか起こらない。付着濡れしか起こらない場合、接触角は90度より大きくなる。
(ふちゃくぬれ,adhesional wetting)
付着力
互いに接触している粒子と粒子、粒子と壁面を引き離すのに要する力。付着力の要因としては、主として、ファンデアワールス力、静電気力および液架橋力があげられる。乾燥した数μm以下の微粉体ではファンデアワールス力が支配的となる。
(ふちゃくりょく,adhesive force)
物理吸着
ファンデアワールス吸着ともいう。固体表面への付着現象のうち、吸着力がファンデアワールス力に基づいた吸着をさし、吸着は可逆的で多分子層吸着となる。吸着熱は通常40kJ・mol-1以下。気体吸着では気化熱程度である。BET吸着等温式で記述されることが多い。
(ぶつりきゅうちゃく,physical adsorption)
フード
空間中の一部に存在する特定の気体、たとえば加熱されて高温となった空気や粉じんやヒューム、その他のガスが発生して空気を汚染している場所から、効果的に汚染ガスを吸引・除去するための広口の吸引口。上方からガスを吸い込む形式のキャノピーフードが一般的である。
(ふーど,hood)
部分集じん率
集じん率は、集じん装置内で捕集されるダストの質量の割合を表すが、捕集されるダストの粒子径ごとに異なるため、ある特定の粒子径ごとに集じん率を定義すればより的確に集じん装置の性能を評価することができる。これを部分集じん率という。
(ぶぶんしゅうじんりつ,partial collection efficiency)
部分分級効率
分級操作では、ある粒子径で完全に分級できることはなく、粒子径ごとに分級効率が異なる。原料粉粒体の粒子径分布をf0(x)、有用成分の粒子径分布をf1(x)、および有用成分の回収率をmとすると、部分分級効率ηはη=mf1(x)/f0(x)で与えられる。
(ぶぶんぶんきゅうこうりつ,partial classification efficiency)
フライアッシュ
石炭燃焼火力発電所などの排煙用集じん装置から回収される粉体をさす。石炭を燃焼させたときに発生するフライアッシュはSiO2やAl2O3を主成分とし、表面が滑らかな球形をしている粒子が多く、コンクリート用原料のほか、試験用粉体としても利用される。
(ふらいあっしゅ,fly ash)
ブラウン拡散
媒体分子の熱運動の影響を受けて起こる粒子のランダムな運動の結果として、周囲の微粒子の濃度勾配を推進力として起こる拡散(物質移動)。1μm以下の微粒子では、気相中・液相中にかかわらず生じる現象である。微粒子ほどブラウン拡散係数が大きく拡散しやすい。
(ぶらうんかくさん,Brownian diffusion)
ブラウン凝集
気相中および液相中での微粒子の個数濃度が高い場合に、微粒子のブラウン運動によって起こる微粒子同士の衝突・合体。微粒子は、媒体分子の熱運動の影響を受けて、ランダムな運動をしているため、微粒子の個数濃度が高い場合は、微粒子同士が衝突・合体する。
(ぶらうんぎょうしゅう,Brownian coagulation)
フラウンホーファー回折
遮光物体から十分離れたところで観察される物体外縁部で生じた回折光の相互干渉をいう。光の波長より十分大きな球による回折パターンは、前方の小さな散乱角に限れば、同一直径の円形開口あるいは円盤によるフラウンフォーファー回折の散乱強度分布で近似できる。
(ふらうんほーふぁーかいせつ,Fraunhofer diffraction)
プラグフロー
流体が、流れに直角な断面では完全に混合するが、流れの方向には全く他の部分と混合せずに流れる理想的な流れの状態を指す。押し出し流れともいう。プラグフローと対照的な理想的流れの状態は、装置内部では濃度が均一であると仮定する完全混合流れである。
(ぷらぐふろー,plug flow)
フラッシング
粉体中に気体が含まれることによって、急激に流動性が増加し、わずかな差圧や推進力によって、粘性の低い流体のように流れる現象。フラッシングが起こると通常では通過できない狭小な通路でも粉体が流れるため、ロータリーバルブなどでは流れを止めることができない。
(ふらっしんぐ,flushing)
ブリケット
ロール表面に母型であるポケットが刻まれている二本のロール間に粉体原料を供給したとき、ロールの回転とともに得られる圧縮された粉体成形物。ブリケットの形状や大きさは、ピロー型、アーモンド型などと呼ばれるポケット形状によって決まる。
(ぶりけっと,briquet, briquette)
プリコート
あらかじめけい藻土などのろ過助材を懸濁させたスラリーをろ過してろ材表面に形成させたろ過助剤のケーク層をさす。通常厚さ1~2mm程度で、このプリコート層をろ材として、処理原液のスラリーをろ過することにより、高いろ過速度で、高清澄度のろ液が得られる。
(ぷりこーと,pricoat)
ブリッジ
ビン、ホッパーなどの排出口付近の流路が狭まる部位において、上に凸なアーチ状の面が形成されたとき、その上方の粉体層の重量を支えるような現象。このような閉塞現象は、架橋現象、アーチング、棚吊りなどと呼ばれ、形成された面をアーチと呼ぶ。
(ぶりっじ,bridge)
ふるい分け法
標準ふるいなどを用いて行う粒子径、粒子径分布を測定する方法のこと。 粒子径、粒子径分布の表現は、使用したふるいの目開き(μm)とふるい上残量(オーバサイズ)又はふるい下通過量(アンダーサイズ)の全体に対する比率で表される。
ふるいの目開き、メッシュ
ふるいの目開きとは、ふるい網の目の寸法のことで、以前はメッシュ(1インチ当たりの網目の数)で粒度を表すことが多かったが、同じメッシュの金網でも、使用される針金の太さにより目開きが異なるので不正確な表現であり、最近ではふるいの目開き(μm)で表現されるようになった。
フルード数
流体や粒子の運動において、重力の影響を表す無次元数。流体・粒子に作用する慣性力と重力の比として定義される。uを代表速度、xを代表長さとすると、フルード数FrはFr=u2/(gx)で表される。ここでgは重力加速度である。
(ふるーどすう,Froude number)
フレンケルの吸着理論
固体表面上に吸着層が存在するとき、吸着質分子は固体表面と吸着層中の分子からファンデアワールス力を受けて吸着すると仮定する吸着理論。吸着等温線は、ファンデアワールスポテンシャルの特性により、平衡圧力の対数が吸着量の3乗に反比例する式で与えられる。
(ふれんけるのきゅうちゃくりろん,Frenkel’s adsorption theory)
ブレンステッド酸点
固体表面上で酸的性質を示すサイトに分子が近づいたとき、そのサイトからこの分子にプロトンが供与されるサイトをさす。ブレンステッド酸点か電子対を受容するルイス酸点かは、ピリジン吸着法による赤外分光分析(IR)より分かる。
(ぶれんすてっどさんてん,site of Brφnsted acid)
フロック
液相の微粒子懸濁系において、高分子凝集剤などを添加することにより会合・凝集したゆるい構造をもつ大きな凝集体を表すのに用いられることが多い。しかし、凝結体、アグリゲイト、アグロメレイトとの区別は明確ではない。
(ふろっく,flocculate)
ブローダウン
サイクロン集じん装置などにおいて、捕集効率を向上させるため、装置への流入流量に対して5~20%のガスを粗粉捕集箱から抜き出す操作。この操作により装置内の流れの乱れが低下し、粗粉捕集箱からの粒子の再飛散を少なくすることができる。
(ぶろーだうん,blow down)
フローテーション
浮遊選別とも呼ばれ浮上分離法の一種。代表的な選鉱法。固体粒子の界面化学的性質の差異を利用した選別法で、比重選別が困難な微粒子の相互分離に用いられる。種々の分離法があるが、現在は気泡に鉱物粒子を付着させて浮上分離する手法が主流である。
(ふろーてーしょん,flotation)
フローパターン
装置内あるいは管路内部における流体や粉粒体の流れの模様。流れの経路や方向、速度分布を示す。測定には、流れを構成する粉粒体と同一の物性をもちながら識別可能な特徴(色、放射線透過率など)をもつトレーサー(追跡粒子)を投入する方法が用いられる。
(ふろーぱたーん,flow pattern)
分級点
分級操作において、分離の基準となる値で、一般には粒子径をいう。50%分離粒子径、平衡粒子径(有用画分と不要画分が同一質量になる粒子径)、粗粉中の最小粒子径、細粉中の最大粒子径、ふるいの目開きなど特定の粒子径が用いられる。
(ぶんきゅうてん,cut size)
分級の鋭さ
分級操作において、部分分級効率曲線の勾配をさす。勾配が無限大の場合を理想分級という。部分分級効率が25%、75%の粒子径をx25、x75とするとκ=x75/x25をカットシャープネスあるいは分級精度指数と呼び、分級の鋭さを表す実用的な指標としている。
(ぶんきゅうのするどさ,sharpness of classification)
粉砕助剤
微粉砕領域になると粉砕速度や粉砕効率が低下するが、このとき微量の特定物質を添加して粉砕を続けると、粉砕が効果的に進行することがある。この場合に添加した物質をさす。物質の表面エネルギーを低下させ、微粉化したときの再凝集を防止する役割を果たす。
(ふんさいじょざい,grinding aid)
粉砕速度定数
粉砕の速度を表す定数で、粒子径分布の時間変化から定義される場合と、一定粒子径区間の粉体質量の時間変化から求める場合の二通りある。前者の場合の例としてロジン・ラムラー式を適用した式があり、後者の例として選択関数が粒子径のべき乗に比例するとした式がある。
(ふんさいそくどていすう,grinding rate constant)
粉砕媒体
回転ミル、振動ミルなどに充塡され、その運動により粉砕の効果をあげるために用いられる物体。そのサイズは、ミル粉砕空間よりもはるかに小さく、粉砕原料および粉砕産物よりはるかに大きい。素材としては、鋼鉄やファインセラミック製のボールなどが用いられる。
(ふんさいばいたい,grinding media)
分散(粒子)
粉体ができるだけ凝集のない単一粒子となって、気体や液体、あるいは他の固体中へ一様に分布している状態、または、その状態を達成するための操作をいう。
(ぶんさん(りゅうし),dispersion)
分散(統計)
確率変数の分布の性質を表す量で、その平均まわりの2次の積率。解析ではよく用いられるが、分布の広がりは平均と単位を合わすために、ふつう、その平方根である標準偏差で表される。粉粒体混合操作における混合度の指標とすることもある。
(ぶんさん(とうけい),variance)
分散剤
粉体を超音波やその他の分散法によって液体に分散させる場合に用い、粒子の凝集を妨げ、単一粒子に分散させる機能をもつ添加剤をさす。気相系でも粒子の付着力を低下させるために分散剤を用いて前処理を行うことがある。
(ぶんさんざい,dispersing agent)
分散性
気相中での粉体粒子が、個々に分散して存在しようとする性質の数値的表現。目的に応じて種々の評価法があり、堆積粉体を気流中に置いて、粒子を飛散させるのに必要な流速をもって表す、一定流速の気流中においたときの飛散していった粒子の割合で表す、などの方法がある。
(ぶんさんせい,dispersability)
分散媒
粒子分散系における媒体としての連続相をいう。分散媒には、気体、液体、固体があり、エアロゾルの場合は気体、エマルションの場合は液体、サスペンションでは気体、液体がある。固体コロイドの場合は固体である。これに対して分散している粒子は分散相と呼ばれる。
(ぶんさんばい,dispersion medium)
分散密度
粒子群が流体中に分散しているときの密度ρdで、ρsを粒子の密度、cを粒子群の体積濃度とすれば、ρd=cρsで定義される。管内流では、(粒子と流体の質量流量比(混合比))×(流体の速度/粒子の速度)×(流体の密度)で与えられる。
(ぶんさんみつど,dispersed density)
分子流域
クヌーセン流域ともいう。低圧下あるいは微小粒子のように対象物体が微小な場合、分子粘性を生ずる分子間衝突は分子・壁間衝突に比較して無視小となる。したがって、このような領域での気体の流れは分子・壁間衝突に支配される。このような領域を分子流域という。
(ぶんしりゅういき,molecular flow region)
粉じん爆発
空気中に浮遊している可燃性の粉体が、放電火花、摩擦熱、裸火などによる電気的、機械的、化学的エネルギーを受けると爆発を起こす現象。ガスや蒸気の爆発に比べて大きなエネルギーが必要である。粉じん爆発を生じる粒子濃度には上限と下限がある。
(ふんじんばくはつ,dust explosion)
粉体圧
貯槽内の粉体のように、堆積した粉体の自重によって生ずる圧力や、外力によって粉体層および粉体層の接する固体壁面に発生する応力をさす。単位面積あたりの力で表される。貯槽中の静止粉体層では、壁面での摩擦力の影響でパスカルの原理が成り立たない。
(ふんたいあつ,powder pressure)
粉体一相流
供給機から排出される粉体のような粉体だけでの流れ。実際には気体を巻き込んで流れるが、気体中に粉体粒子が浮遊して流れる固気二相流(gas-solids two-phase flow)と区別するために用いられる。
(ふんたいいっそうりゅう,powder flow, bulk solids flow)
粉体供給機
粉粒体を供給・排出するための装置の総称。貯槽やホッパーから、プロセスの要求に従って粉粒体を切り出す。粉体の特異な性質を考慮して連続的な定量性を維持することや制御の応答性を確保することに加えて、密閉化による粉じん飛散防止や安全性を考慮した装置もある。
(ふんたいきょうきゅうき,feeder)
粉体レベル
粉体層のマクロな固気境界。粉体のレベルは液体とは異なり、投入や排出の方法にも依存し、水平面にはならないのが普通である。したがって、レベルを測定しても、粉体量と直接関係づけるのは困難である。また液体とは異なり、貯槽壁にかかる圧力はレベルに正比例しない。
(ふんたいれべる,powder level)
粉体成形
水分の少ない(5%程度以下)非可塑性粉体配合物を高圧下で成形する方法。最も多く利用されているのは金型を用いた一軸加圧成形法である。タイル、陶磁器、耐火レンガなどの製造に使用され、一般に形状が正確で収縮も小さく、緻密で熱間強度が高いものが得られる。
(ふんたいせいけい,dry powder pressing)
粉末冶金
金属粉あるいは合金粉の製造およびこれら粉体を成形し、融点以下の温度で焼結させて金属製品や金属塊を製造する技術をいう。基本的工程は圧縮成形と焼結からなり、成形には金型成形、等方圧成形、鍛造、押し出し、圧延、射出成形などが用いられる。
(ふんまつやきん,powder metallurgy)
噴霧
液体を微粒化する技術あるいは操作。乾燥、造粒、燃焼、調湿、塗装、ガス吸収など幅広い用途がある。噴霧では、遠心力、圧力、気流、音波振動などのエネルギーを加えて、液体を液柱、液膜のいずれかに変形させ、液体表面を不安定化して分裂させることで微粒化が行われる。
(ふんむ,atomization, spraying)
分離限界粒子径
集じん・分級といった粒子の分離操作において、ある特定の操作条件における分離の限界となる粒子径をいう。一般には部分分離効率が50%となる値を50%分離粒子径として用いている。理論的には種々の分離限界粒子径が定義されるが、適用する理論や式により値は異なる。
(ぶんりげんかいりゅうしけい,critical cut size)
噴流層
粒子が充塡された、垂直円筒管部とその下部の円錐部からなる容器の底部からガスを流入させると、中心軸付近に粒子濃度が希薄で、上向きに粒子が流れる構造が形成され、その周囲を粒子が下降する流動状態を示す。この状態またはその状態を利用する装置を噴流層という。
(ふんりゅうそう,spouted bed)
分裂分散
大きな凝集体が似通ったサイズの数個の凝集体に分裂する分散状態をさす。ファンデアワールス力や静電気力など比較的弱い力で結合している凝集体は、媒体の流れに伴う圧縮応力あるいはせん断応力により破壊され、より小さな数個の凝集体に分裂する。
(ぶんれつぶんさん,splitting dispersion)

閉回路粉砕
粉砕機に供給された原料が所定時間粉砕処理された後、分級機に送られて、設定された粒子径以下の微粉とそれ以上の粗粉に分けられ、微粉は回収される一方で、粗粉は粉砕機に戻されて再び原料とともに粉砕される方式をさす。
(へいかいろふんさい,closed-circuit grinding)
平均自由行程
気体分子が熱運動により移動する際、他の分子と衝突せずに移動する距離の平均値をさす。平均自由行程は温度の上昇および圧力の低下とともに増大する。1気圧、20℃のもとでの空気の平均自由行程は、0.066μmである。粒子が微小化すると流体抵抗の評価に関わってくる。
(へいきんじゆうこうてい,mean free path)
平衡含水率
固体表面は、物質により程度の差はあるが水を吸着する能力をもっている。ある温度・湿度の熱風で湿り材料を十分に乾燥させても、その条件における水分吸着能力の影響で絶乾状態には至らず、ある含水率で熱風と平衡状態になる。このときの含水率を平衡含水率という。
(へいこうがんすいりつ,equilibrium moisture content)
平衡吸着量
温度一定あるいは圧力や濃度が一定の条件において、吸着速度と脱着速度が等しくなり、吸着が平衡状態になったときの吸着量をいう。温度一定で平衡吸着量と吸着質の圧力(濃度)との関係は、吸着等温線や吸着等温式で表される。
(へいこうきゅうちゃくりょう,adsorbed amount in equilibrium)
閉塞
貯槽やホッパーなどの排出口において、粉体層がアーチ形成、壁面への付着あるいは固結により、流動性を失って排出不能となる現象をさす。閉塞を防ぐためには、アーチブレーカーなど外力を与える装置あるいは表面活性剤など流動化促進のための添加剤が用いられる。
(へいそく,choking, clogging)
壁面摩擦角
粉体が充塡されている貯槽において、壁面に垂直に働く粉体圧と滑りを生じるせん断応力を測定し、通常の摩擦と同じようにせん断応力と垂直応力の関係を直線で表したとき、その傾き角を壁面摩擦角と呼ぶ。サイロ内圧を記述するJanssenの式では重要なパラメーターである。
(へきめんまさつかく,angle of wall friction)
ペクレ数
運動する流体中に、浮遊し拡散する微粒子の対流項と拡散項の比を表す無次元数。熱移動では、対流と伝導で生じる熱流束の比により表される。流れ場の代表速度u、代表長さL、流体の熱伝導度k、密度ρ、比熱Cpを用いるとペクレ数Pe=ρCpuL/kで表される。
(ぺくれすう,Peclet number)
ペースト
液体中に微小な固体粒子を高濃度・大量に懸濁させたもの。ペンキ、パテ、練り歯磨きなどが挙げられ、食品分野では、みそ、ジャム、練りごまなど非常に多くの製品形態がある。一般にスラリーの範ちゅうで固体濃度がより高く、粘度が非常に高いものをさすことが多い。
(ぺーすと,paste)
ヘテロ凝集
物性の異なる粒子間の液中凝集。液中の粒子の帯電により同種粒子間には等電点以外では静電反発力が誘起されて凝集しにくいが、異種粒子間では帯電電荷が異符号であれば引力が誘起されて凝集し、同符号でも表面電位が異なれば近距離で引力が誘起されて凝集しやすくなる。
(へてろぎょうしゅう,heterocoagulation)
HEPAフィルター
空気中の微細な粉じんをほぼ100%捕集する微細繊維層フィルターで、エアーフィルター性能試験法により、定格流量で粒子径0.3μmの粒子に対して、99.97%以上の捕集効率をもち、かつ初期圧力損失が一般に300Pa以下の性能をもつエアーフィルター。
(へぱふぃるたー,high efficiency particulate air filter)
ヘルツの理論
粒子同士あるいは粒子と壁の接触における弾性変形を解析するための理論。接触する二つの球が、垂直力により押しつけられたときの接触半径が、垂直力、二つの球の直径、ヤング率、ポアソン比で与えられる。壁と球の場合は、片方の球の直径を∞とすることで与えられる。
(へるつのりろん,Hertz’s theory)
ペレッタイジング
回転ドラム、回転パンなどの転動造粒によってペレットを製造する操作。製鉄の分野での慣用語である。鉄鉱石の選別(磁力、浮遊、比重)による微粉状の精鉱では、高炉用原料の前工程として用いられる。また水中造粒による微粉炭の高品質化に伴う造粒操作でも用いられる。
(ぺれったいじんぐ,pelletizing)
ペレット
回転ドラムや回転パンの転動造粒による粉鉱の造粒物、あるいは押出し造粒による飼料やプラスチックの造粒物をさす。球状または円筒状のものが多い。顆粒よりはサイズが大きい。製鉄、飼料、プラスチック業界の慣用語として使われている。
(ぺれっと,pellet)
変形破壊
ぜい性試料で試験片(粒子径)が小さい場合に、塑性変形を伴って起こる破壊。ぜい性材料ではひずみが小さいうちに破壊が起こるが、粒子径が10~30μmより小さくなると応力に対してひずみが大きくなり破壊に至る。硬い材料ほど小さい粒子径で起こる傾向がある。
(へんけいはかい,plastic deformed fracture)
偏光
光の電磁波としての振動ベクトルがある特定の方向にのみ振動する状態をさす。これに対して振動方向が刻々には不規則であるが、時間平均では一様な光を自然光という。普通の光は、あらゆる方向に振動している光が混合しており、偏光と自然光の中間の状態にある。
(へんこう,polarized light)
偏析
容器または堆積物内で着目粒子成分が偏在する現象。物性の異なる粒子の混合物が流動するときに起こる。偏析する成分としては、小粒子、密度の大きい粒子、角ばった粒子、反発係数の小さい粒子などがあり、それぞれ、粒度偏析、密度偏析、形状偏析、反発偏析と呼ばれる。
(へんせき,segregation)
ヘンリー型等温線
吸着等温線において、吸着量Vが平衡圧力Pや平衡濃度CとV=aPあるいはV=aCといった比例関係になる場合の等温線。他のタイプの吸着等温線でも、分子の被覆率が非常に小さい場合の等温線は近似的にヘンリー型等温線とみなすことができる。
(へんりーがたとうおんせん,Henry’s adsorption isotherm)

ポアソンの式
空間電荷密度をρ、空間媒体の誘電率をεとするとき、電位φの分布を与える式をさし、Δφ=-ρ/εで与えられる。この式の右辺が0のときはラプラスの式となり、空間電荷のない場合を表す。これらの式は電界だけではなく、連続体の物理現象を支配する基礎方程式である。
(ぽあそんのしき,Poisson’s equation)
ポアソン比
均質等方な材料に引張り応力を加えると応力方向には伸びてひずみεxが生じ、応力に垂直な方向には縮み、ひずみεyが生じる。このひずみの比-εx/εyをポアソン比という。材料に固有な定数で、構造用鋼材では0.3、岩石では0.2~0.3、鉛や銀では0.42~0.45となる。
(ぽあそんひ,Poisson’s ratio)
崩壊剤
錠剤添加剤の一つ。服用後の錠剤が水に接触して速やかに崩れ、分散溶解しやすいようにするために添加される。一般に水に不溶で、水に触れると膨潤するものが用いられる。従来、デンプンや寒天が用いられたが、近年、架橋型ポリビニルピロリドン、デンプン誘導体、セルロース誘導体など、より強い崩壊力を示すものが開発された。
(ほうかいざい,disintegrant)
膨化乾燥
湿った材料を加圧下で、湿り成分の沸点以上に加熱し、これを急に大気圧下に戻すことで、材料内部の過熱水を自己の顕熱で急激に内部蒸発させる乾燥法。その際、材料内部で生じる破壊により、組織が粗になるとともに、わずかながら膨張も起きるので乾燥時間が短縮できる。
(ぼうかかんそう,puff drying)
防じんマスク
粉じん捕集効率が95%以上のマスク。我が国では、厚生労働大臣の行う型式検定に合格したものを使用しなければならない。構造と性能については、日本工業規格(JIS)に定められている。粉じん捕集効率に加えて吸気抵抗や呼気抵抗についても定められている。
(ぼうじんますく,dust respirator)
包接化合物
ホスト分子がつくる、トンネル状、層状、または網状構造の内部にゲスト分子が配位して得られる化合物。トンネル状の例として、アミロースのらせん構造にヨウ素が配位したものがある。グラファイトは層状構造を形成し、層間にゲスト分子を配位させることができる。
(ほうせつかごうぶつ,inclusion compound, clathrate compound)
泡沫層乾燥
水分を含んだペースト状材料に発泡剤を少量加えてかくはんすることで、多数の微小気泡を含んだ安定な泡沫層を形成させ、これを乾燥する方法。泡沫層は多孔板上に薄く広げられ、熱風は多孔板下から与えられ泡沫層を通して吹き抜けるため、通気乾燥状態となる。
(ほうまつそうかんそう,foam mat drying)
泡沫浮選法
懸濁液(パルプ)に空気を吹き込み、パルプ表面に泡沫層を形成し鉱石を選別する方法。パルプ中に浮選剤を添加して空気を吹き込んで発生する大量の気泡に目的鉱物粒子を選択的に付着・上昇させ、パルプ表面に泡沫を形成させる。その泡沫を回収して目的鉱物を選別する。
(ほうまつふせんほう,froth flotation)
捕集剤
浮選剤の一種で、目的鉱物の表面に吸着し、表面を疎水化する薬品。コールタール、ケロシンなどの油類、脂肪酸塩、アミン類とその誘導体などがある。溶液のpHにより粒子に対する捕集剤の吸着量が変化するため、pHの制御により選択的な浮選が可能となる。
(ほしゅうざい,collector)
ホットプレス成形
電気炉内部の成形型に原料粉体を入れ、加熱しながら一軸加圧圧縮成形する方法。焼結過程での物質移動が促進され、常圧焼結よりも低温で緻密化できる。セラミックス焼結用の型材は黒鉛が一般的で、電気炉としては抵抗加熱、高周波誘導加熱炉などが用いられる。
(ほっとぷれすせいけい,hot pressing)
ポットミル
ボールミルの一種で、通常、陶磁器製のつぼ状円筒容器内に粉砕媒体としてファインセラミックス製のボールを入れた小型ミルをさす。粉砕の原理や特徴についてはボールミルとまったく同じである。粉砕産物の粒子径は100μm以下が一般的である。
(ぽっとみる,pot mill)
ホッパー
逆円錐形や逆多角錐形(通常四角錐)の傾斜壁面をもつ粉粒体貯槽。容器底部に排出口をもつ。単独で貯槽として用いられるものもあるが、多くは輸送・供給機器との取り合い部に用いられ、フィーダー、コンベアへの供給用、あるいはレシービング用として用いられる。
(ほっぱー,hopper)
ポピュレーションバランス式
連続の式、物質収支式と同じで、有限要素内部での、粒子あるいはその質量の単位時間あたりの入出量およびその要素内での生成・消滅速度が粒子径ごとにバランスするとして導かれる式。粉砕速度式も、ポピュレーションバランス式から導かれる。
(ぽぴゅれーしょんばらんすしき,population balance equation)
ホルスフィールド充塡
多成分球形粒子規則充塡モデルの一つ。菱面体配列をしている一次球の間にちょうど入る二次球を配位させ、同様に二次球間に入る三次球、同様に四次球、さらに同様に五次球を幾何学的に配列した規則充塡モデルをさす。理論的には空間率が0.039まで下げられる。
(ほるすふぃーるどじゅうてん,Horsfield packing)
ボルティングクロス
細い糸で織ったふるい網。Boltはふるい分けを意味する。糸の材質は伝統的には絹が使われていたが、コストと供給量の関係で現在はナイロン製が主流。目開きは従来、メッシュすなわち1インチあたりの目の数で表されていたが、ISOでは目開きで表されている。
(ぼるてぃんぐくろす,bolting cloth)
ホールドアップ
化学反応器、粉砕機、輸送管内といった装置内に存在している処理材料の滞留量。粉砕機では、粉砕機内容積あたりの材料充塡容積率として表されることが多く、粉砕機容積を基準としてホールドアップ率、滞留率、材料充塡率などと、分率ないし百分率で表示される。
(ほーるどあっぷ,hold-up)
ホールドアップ濃度
含じん気流などの固気二相流や、スラリーなどの固液二相流において、ある瞬間に、ある空間に存在する粒子の量。通常、容積濃度として表されることが多いが、ホールドアップ質量濃度も用いられる。一般に、粒子と流体の速度は異なるので、流量濃度とは一致しない。
(ほーるどあっぷのうど,hold-up concentration)
ボールミリング
ボールを媒体として粉体を処理する操作。密閉容器での処理が可能、加熱操作が容易(振動ボールミル)、高いエネルギーを粒子に与えることが可能(媒体かくはんミル)などの特徴があるため、粒子の粉砕だけでなく、各種粉体の反応操作にも用いられる。
(ぼーるみりんぐ,ball milling)
ボールミル
ボールを媒体として粉体を処理する回転型の装置。ボールとしては直径20~100mmの鋼、セラミックス、石などが用いられる。粉砕原料の粒子径は10mm以下、粉砕産物の粒子径は100μm以下が一般的である。粒子の粉砕だけでなく、粉体の反応操作にも用いられる。
(ぼーるみる,ball mill)
ボーン斥力
粒子と壁面、または二粒子が接近して、表面間の距離が非常に小さくなった場合に、互いの構成分子の電子雲が重なり合い、発現する強い斥力。空気中ではボーン斥力とファンデアワールス力により、表面間距離が数Åの位置でポテンシャルエネルギーが最小値をもつ。
(ぼーんせきりょく,Born repulsive force)
ボンド磁石
プラスチックやゴムに練り込み成形した複合磁石をさす。プラスチックやゴムを含むため、焼結磁石より磁力は落ちるが、成形寸法精度が高く、複雑な形状のものが作れるなど、加工性に優れた特徴をもつ。練り込む磁石の材質として、フェライト系と希土類系がある。
(ぼんどじしゃく,bonded magnet)
ボンドの仕事指数
ボンドが提案した工業的粉砕仕事量を求める式中に定義されている指数Wi[kWh/t]で、原材料の粉砕のしにくさ(粉砕抵抗)を表す。指数Wiは、大きさが無限大の原材料1tを80%通過粒子径が100μmになるまで粉砕するのに要する仕事量である。
(ぼんどのしごとしすう,work index proposed by Bond)
ボンドの法則
ボンドは粉砕操作を、無限大に大きい粒子を粒子径がゼロの無限個数に粉砕する途中過程と定義し、粉砕仕事量W[kWh/t]を求める次式を提案した。W=Wi(10/P0.5-10/F0.5)ここで、Wi[kWh/t]はボンドの仕事指数、F[μm]、P[μm]は粉砕前後の80%通過粒子径を表す。
(ぼんどのほうそく,Bond’s law)

マイクロカプセル
固体、液体、気体状の微小な核(芯)を有機、無機薄膜で包み込んだ複合体。通常サイズは、数μm~数百μm程度であるが、最近ではナノカプセルも含めた総称として使われている。エマルションを用いる方法や乾式プロセスを用いる多くの製法が実用化されている。
(まいくろかぷせる,microcapsule)
マイクロシーブ
日本粉体工業技術協会で販売していた電成ふるいの商品名。欧米では、micromesh sieve、precision sieve、micro plateなどといわれてきたが、ISO規格ではこの網をelectroformed sheetとしたことからelectroformed sieves(電成ふるい)が一般的となった。
(まいくろしーぶ,Microsieve)
マイクロスフィヤー
ある物質を固体素材中に分散させた直径3~500μm程度の微小球体。マイクロカプセルとは異なり、マトリックス型の構造をもつものが一般的である。液体の粉末化、揮発性物質の不揮発化、反応物質の不活性化、内包物質の放出制御などを目的として製造される。
(まいくろすふぃやー,microsphere)
マグナス力
狭義にはマグナスにより導かれたポテンシャル流れ中の二次元の回転円柱に働く揚力のことであるが、現在は、回転する物体(二次元、三次元)に働く揚力全般に対して用いられる。球技におけるボールの回転から風力発電への応用に至るまで現れる力である。
(まぐなすりょく,Magnus force)
マグネタイト
四三酸化鉄とも呼ばれ、天然には磁鉄鉱として産出する。化学式はFe3O4、フェリ磁性体でキュリー温度は575℃、電気伝導度は他のフェライトに比べて大きい。黒色顔料、電子写真用のトナー材、各種磁気材料、磁性流体、電極、アンモニア合成用触媒などに用いられる。
(まぐねたいと,magnetite)
摩砕
粒子にせん断的な力を加えることによって摩擦的に破砕・粉砕を進める操作。粒子の力学的強度は、圧縮応力を加えた状態でせん断応力を付加すると非常に小さくなることが知られている。媒体かくはん型ミルは、この効果により超微粉化を達成している。
(まさい,frictional crushing)
摩擦速度
流体の流れにおいて、壁面におけるせん断応力を流体の密度で割った値の平方根として定義される。壁面近くの速度や乱流強度の無次元化の代表速度として用いられる。実際には、摩擦速度は断面平均速度とレイノルズ数が分かれば求められる。
(まさつそくど,friction velocity)
マスフロー
サイロやビンなどのたて型貯槽から粉粒体を排出するときに貯槽内に形成される粉粒体の流動パターンの一つ。排出時に貯槽内の全粒子が動いている流動状態で、貯槽内に静止している粉粒体の領域が生じない。静止領域のある流動状態はファネルフローと呼ばれる。
(ますふろー,mass flow)
摩耗粉
材料の平面に摩擦力が作用することによって平面が損傷を受けて材料が消耗していく現象を摩耗というが、この摩耗の際に生成する粒子をさす。一般に、粉体中に混入する摩耗粉は不純物とみなされるため、粉砕操作などの粉体処理では摩耗粉対策が重要な技術の一つである。
(まもうふん,debris, wear particles)
マルチクロン
単一小型サイクロンの性能を維持し、処理ガス流量に見合った数のサイクロンを多数並列に配置した装置。各サイクロンに対して均一に含じん気流を導入することが高性能化の重要点である。そのための対策として、独立型集じん室の採用やブローダウン方式が提案されている。
(まるちくろん,multi-clone, multi-cyclone)

見掛け粘度
非ニュートン流体は一般に流れのせん断応力とせん断速度の関係が非線形であり、両者の比は一定ではない。非ニュートン流体に関しては種々のモデルが提案されているが、モデルに関係なくあるせん断速度におけるせん断応力とせん断速度の比を見掛け粘度という。
(みかけねんど,apparent viscosity)
見掛け密度
JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の用語の定義の項では、見掛け密度は、かさ密度と同義語として、定義されている。
見掛け密度は他に、粒子密度の意味でもよく使われるので注意が必要である。
ミー散乱
球形粒子による光散乱現象。ミーがマックスウェルの方程式を解き、任意の屈折率、任意の大きさの粒子に適用できる解析解をえたことによりミー散乱と呼ばれる。この解は、入射光の強度と入射方向を基準にして、粒子の周囲の散乱光強度を水平、垂直偏光成分別に与えている。
(みーさんらん,Mie scattering)
ミストエリミネーター
ガスや蒸気に同伴されている液滴を気流中から分離捕集する装置の総称。ミストセパレーターともいう。微細な液滴の捕集には、繊維充塡層フィルター、衝突板式スクラバー、ベンチュリースクラバー、湿式電気集じん装置などの洗浄集じんが用いられる。
(みすとえりみねーたー,mist eliminator)
ミセル
水溶液中の界面活性剤は、ある濃度までは単量体または数分子程度の会合体で存在するが、ある濃度を超えると自己会合して数十から百分子程度の集合体を形成する。これは疎水部分を内側に、親水部分を外側に向けた熱力学的に安定な構造体であり、ミセルと呼ばれる。
(みせる,micelle)
密度勾配法
密度の異なる液体層を利用して、異なる密度の粉体を沈降分離する方法。数種の密度が異なる液体を容器に入れ、液体の数だけの層を形成させる。この液相に粉体試料を分散させると、試料は同じ密度の層まで沈降し、その層に留まるため、試料の密度分布を測定することができる。
(みつどこうばいほう,density gradient method)
密度流れ
溶液の濃度や種類による密度差に起因して起こる流れ。相互に混じり合う密度の異なる二液体が接触すると重力の作用により重い液体が軽い液体中にもぐり込む現象が起きる。シックナーで見られる密度流れでは、原スラリーと清澄液との密度差のために分離性能を悪化させる。
(みつどながれ,density current)
密度偏析
粒子密度の差異による粒子混合物の偏析現象。容器への充塡時には、高密度粒子はそれを支える粒子を押しのけて沈み、傾斜堆積面を流下しにくいため供給点に集まりやすい。一般に粒子の密度差は2、3倍程度であるので、粒度偏析に比べて顕著ではない。
(みつどへんせき,density segregation)
ミリポアフィルター
メンブレンフィルターの一種。米国ミリポアリミテッド社が開発したセルロースの混合エステルでできた薄膜フィルターで、厚さ125~150μm、孔径0.025~14μmが市販されている。液相・気相いずれにも使用され、孔径以上の粒子は完全に捕集される。
(みりぽあふぃるたー,Millipore filter)

無機質マイクロカプセル
無機質の壁をもつ微小容器。壁膜を無機物質で作るには単純あるいは強制付着利用の場合と、沈殿反応利用の場合がある。一例として単純付着法では、乾燥状態にあるタルク、ステアリン酸カルシウムなどの粉体に水滴を落とすと水滴表面が粉体で囲まれることを利用する。
(むきしつまいくろかぷせる,inorganic microcapsule)
無電解めっき
化学めっきの一種。被処理材料表面の接触作用による還元が利用される。ニッケル、銅、貴金属のめっきなどがある。銅めっきでは、樹脂表面に触媒が吸着しやすいように、コンディショニング、マイクロエッチング、酸洗、プレキャタライジング調整をする。
(むでんかいめっき,electroless plating)
ムーニーの式
固液分散系スラリーの粘度を表す半経験式で、次式で与えられる。μr=exp{kEφ/(1-φ/φmax)}ここでμr、φ、φmaxはそれぞれ相対粘度、固体体積分率、固体の最大充塡体積分率、kEは実験定数を表す。主として高濃度スラリーに対して適用される。
(むーにーのしき,Mooney’s equation)

メカニカルアロイング
金属粉を混合摩砕することによって合金が生成する現象あるいはその操作。近年では、金属だけでなく酸化物その他の化合物系にも用いられているため、メカノケミカル反応との差異は明確ではない。メカニカルアロイングでは合金化とともに非晶質化が起こることが特徴である。
(めかにかるあろいんぐ,mechanical alloying)
メカノケミカル効果
力学的エネルギーと化学的エネルギーとの相互作用に関わる現象。粉体工学では、特に固体や微粒子に加えられたせん断力によって化学的な活性を増大させる現象、およびその際に周囲に存在する物質との間で起こる反応をさす。
(めかのけみかるこうか,mechanochemical effect)
メカノケミカル脱水
水酸化物や水和ゲルなど脱水可能な化合物が、摩砕などにともなう力学的エネルギーと化学的エネルギーの相互作用によって脱水する現象。塩基性の水酸化物を酸性酸化物と混合摩砕する際にもメカノケミカル反応の結果として脱水が起こる。
(めかのけみかるだっすい,mechanochemical dehydration)
メカノケミカル反応
化学的エネルギーと力学的エネルギーとの相互作用によって起こる反応。機械的な応力下のみで起こる脱水や分解反応、周囲の気体や溶液との間で起こる酸化や溶解反応、共存固体間の複合反応などが含まれる。広義には、粉体の微粉砕による溶解速度の増大も含まれる。
(めかのけみかるはんのう,mechanochemical reaction)
メッシュ
網や織物で、線材の方向と同一方向の1インチ(25.4mm)の間にある目の数。同じメッシュでも線の径が変わると目開きが変わる。粉粒体の細かさがメッシュで表示されている場合、表示されたメッシュのふるい(網)で分級したことを意味することが多い。
(めっしゅ,mesh)
メンブレンフィルター
厚さ数百μm以下の薄い多孔質の膜からなるフィルター。主に液体のろ過に用いられるが、化学分析のための気中粒子サンプリングにも使用される。捕集性能は、バブルポイント法による公称径で表示される。公称径は膜の孔径分布の最大値に相当する。
(めんぶれんふぃるたー,membrane filter)

毛管圧力
内径の細い毛管を液に漬けると、毛管内壁の親・疎水性度あるいは表面張力により、毛管内の液面は自由液面より上昇あるいは下降する。外部圧力が作用しない場合の管内の液中に作用する単位面積あたりの力を毛管圧力という。毛管ポテンシャルともいう。
(もうかんあつりょく,capillary pressure)
毛管凝縮
微細孔を有する吸着性多孔質体の内部で、水蒸気などの高吸着性気体がより低い蒸気圧で凝縮する現象。毛管凝縮の発生する毛管の限界細孔径と蒸気圧の関係はケルビンの式で与えられる。毛管吸引圧は細孔径が小さいほど大きいため、毛管凝縮相はより細い細孔へと移動する。
(もうかんぎょうしゅく,capillary condensation)
毛管上昇
毛細管あるいは親液性の粉粒体充塡管を液中に立てたときの、毛管吸引圧により液が管内を上昇する現象。脱水時における毛管上昇高さをドレイン高さという。フェルト、スポンジ、吸取紙などの吸水能力は、この性質を利用している。
(もうかんじょうしょう,capillary rise)
毛管流れ
毛細管内の流体の流れ。粒子充塡層は、形状および太さの異なる毛細管とみなすことができるので、粒子層内の流れは通常毛管流れとなり、ハーゲン・ポアズイユ則が適用できる。粒子間隙内のメニスカスの位置で表面張力が働くので、液流動の推進力はその分だけ低下する。
(もうかんながれ,capillary flow)
モーゲンセンサイザー
確率ふるいに属するふるい機の商品名。傾きを変えながらふるい網が積み上げられた構造となっており、網にはバイブレータなどで振動が加えられている。目開きは上方ほど大きくなっている。段階的な分級が可能であり、傾斜振動構造のため目詰まりしにくい。
(もーげんせんさいざー,Mogensen sizer)
戻り粉
粉砕機と分級機を組み合わせた閉回路粉砕系において、分級機で粗粉として分離され、粉砕機へ戻される粉体。分級機は粉砕機の性能を維持するため、微粉を系外に排出し、粗粉を粉砕機に戻す役割を果たしている。主に、セメント生産や小麦製粉において使われる用語。
(もどりこ,tails)
モノマー
本来は合成樹脂の重合の出発物質や、重合体を構成する反復単位を表すが、CVD法による微粒子や薄膜の生成過程で、化学反応によって発生した最小単位の物質をさす。古典的核生成理論では、気相中のモノマー濃度が過飽和に達すると、核生成を起こすと考えられている。
(ものまー,monomer)
モールの応力円
静止している粉体層の内部の任意の一点に作用する垂直応力σとせん断応力τの関係は、(σ、τ)座標系で円によって表され、この円をさす。モールの応力円は微小体積(二次元の場合は微小三角形、三次元の場合は微小四面体)に作用する力の釣り合いから得られる。
(もーるのおうりょくえん,Mohr’s stress circle)
モンテカルロ法
乱数を用いて現象を再現・解析評価する技法の総称。コンピューターによって発生させた乱数を用いて粒子の拡散、ランダムな外乱による粒子の運動、測定機器の計測誤差の推定、などの計算機シミュレーションが広く行われている。
(もんてかるろほう,Monte Carlo method)

薬物送達システム
薬物を必要な部位に的確に、必要とする時間有効濃度を維持する方法で送り込む医薬品製剤。構成要素は、薬物、薬物放出モジュール、容器、および治療プログラムからなる。大きく、放出制御(release control)型と標的到達制御(target control)型に分けられる。
(やくぶつそうたつしすてむ,drug delivery system, DDS)
薬研
主として漢方の薬種を細かくすりつぶして細粉にするために使用する器具。ふつう、舟形で中が深くくぼんだ彫りのある硬い木製の受け台の溝に原料薬種を入れ、軸がついた扁平な金属製円板をきしらせて薬種をすりつぶして細粉にする。中国に起源を発する製薬器具である。
(やげん,druggist’s mortar)
ヤング・デュプレの式
固体表面に液体が付着し、付着濡れが起きている場合、固体/液体/気体の接触点において、それぞれの界面張力が釣り合っているとして得られる表面張力を求める式。式中には接触角が表れるが、これは固体表面、あるいは粉体の圧密成形体上に液滴を落として直接測定される。
(やんぐ・でゅぷれのしき,Young‐Dupre’s equation)
ヤング率
応力-ひずみ線図の勾配。断面積が一定で真っ直ぐな棒の単位長さあたりの伸びあるいは縮みは、単位断面積に加えた力、応力に比例する。応力-ひずみ関係が直線にならない場合、特定区間の平均値を用いることが多い。これを割線ヤング率という。
(やんぐりつ,Young’s modulus)
ヤンセンの式
H. A. Janssenが導いた、サイロに貯蔵された粉体層内の力の釣り合い式から誘導された粉体圧の算定式。粉体層の自重によって発生する粉体圧と壁面での摩擦力が釣り合うため、粉体圧は充塡深さが大きくなっても摩擦係数などの特性値で決まるある値より大きくならない。
(やんせんのしき,Janssen’s equation)
ヤンダーの式
粉体を用いた拡散律速の固相反応速度式の一つ。直径xの物質Bの粒子が、物質Aの連続相中にあって付加反応を起こす場合、反応率α、反応速度定数k、時間tとしたとき{1-(1-α)1/3}2=kt/x2で表される。いくつかの仮定があるものの実験データによく合うことで知られる。
(やんだーのしき,Jander’s equation)

有核錠
専用の錠剤機の臼の中へ外層の粉体を充塡し、その上にあらかじめ製造した中心錠を入れ、さらにその上に外層の粉体を充塡して圧縮成形した錠剤。圧縮コーティング錠ともいう。外層を速放性、内層を徐放性や腸溶性にすることにより放出制御製剤とすることができる。
(ゆうかくじょう,press‐coated tablet)
有限要素法
計算の対象となる連続体の領域を三角形や四面体といった簡単な有限要素に分割し、各要素での方程式を比較的単純な補間関数で近似する手法。基礎となる偏微分方程式は、一般には解析的に解くことが不可能であるため、固体の変形や流れの解析に対して有効に活用されている。
(ゆうげんようそほう,finite element method)
有効拡散係数
多孔質体や充塡層などにおける拡散現象を、固相部分を含む単位面積あたりで表した拡散係数。実際の空隙(空隙率ε)を形成している細孔は屈曲しているため、この効果を屈曲率τで表すと、有効拡散係数Deと分子拡散係数Dとの関係は、De=(ε/τ)Dで与えられる。
(ゆうこうかくさんけいすう,effective diffusivity)
有効熱伝導度
多孔質固体や粒子充塡層は不均質な構造をしているが、均質な物質とみなして定義される見かけの熱伝導度。実際には、不均質な固体内を熱が移動するとき、伝導伝熱だけではなく、空隙内で対流伝熱やふく射伝熱も並行して起きる複雑な伝熱過程が包括されている。
(ゆうこうねつでんどうど,effective thermal conductivity)
有効摩擦角
一面せん断試験により得られる粉体層の破壊包絡線は粉体層形成時の応力状態を終点とする曲線群となる。この各破壊包絡線の終点で包絡線に接するモールの応力円群は、σ-τ平面において原点を通る一本の直線に接する。この直線とσ軸のなす角度を有効摩擦角という。
(ゆうこうまさつかく,effective angle of friction)
誘電泳動
帯電していない粒子も、不平等電界中では電界の影響を受けて運動する現象。誘電体である粒子は電界中で分極し、正負の分極電荷と電界との相互作用で力を受ける。この力を誘電泳動力といい、電界の強い方向に作用するため、無荷電粒子でも電界の強い方向に移動する。
(ゆうでんえいどう,dielectrophoresis)
誘電率
物質がどの程度誘電分極するかを表す物性値で、電束密度Dと電界EをD=εEのように結びつける係数。互いにdだけ離れた2枚の平行平板電極(面積:S)の間に誘電体(誘電率ε)の物質が隙間なく充塡されたキャパシターの静電容量CはC=εS/dで与えられる。
(ゆうでんりつ,dielectric constant)
誘導電荷
導体を帯電した物体の近くに置いたとき導体に現れる電荷。導体粒子を正に帯電した物体に近づけると、導体粒子の帯電した物体に近い側に負極性の誘導電荷が、反対側に正極性の誘導電荷が現れる。このとき導体粒子を接地すると接地側から負電荷のみが誘導される。
(ゆうどうでんか,induced charge)
輸送動力
広義には被輸送物を輸送するための輸送装置を稼働するのに必要な動力をいい、被輸送物の正味の輸送に必要な動力以外の損失動力を含む。正味の輸送動力は質量流量と輸送距離の積に比例する。空気輸送では全圧力損失と空気流量の積で表される。
(ゆそうどうりょく,power consumption for conveying)

溶解速度
液体中に、固体、気体、あるいは他の液体が溶解する速度。溶解速度は、両相の界面における溶解の素過程のうちどれが律速段階かにより決まる。たとえば固体(粉体粒子)では、濡れ、溶媒和または反応、溶質の拡散などである。
(ようかいそくど,dissolution rate)
溶解度
溶質がある温度、圧力において溶媒に飽和溶解した熱力学的平衡状態の溶質濃度。固体粒子の溶解度は、溶媒や固体の物性によって変化する。粒子を粉砕すると、結晶形の乱れが生じたり、単位質量あたりの表面積が増加したりするため、溶解度は一般に増大する。
(ようかいど,solubility)
溶解度積
飽和水溶液における陰陽両イオンの濃度[mol・L-1]の積。難溶性の溶解度の目安となる。ある陽イオンと陰イオンを水溶液中で反応させたとき、陰陽両イオン濃度の積が溶解度積よりも高ければ沈殿を生じる。このとき水溶液中の両イオン濃度の積は溶解度積に等しい。
(ようかいどせき,solubility product)
溶解熱
温度と圧力を一定にして溶質を溶媒に溶解させるときに吸収したり発熱したりする熱量。溶解後の溶液系のエンタルピーと溶解前のエンタルピーとの差に相当する。発熱を負、吸熱を正で表す。溶質1モルあたりの溶解熱を分子溶解熱という。
(ようかいねつ,heat of solution)
溶解補助剤
難溶性の化合物の溶解度を高めて溶媒(通常、水)に溶解しやすくする目的で加える物質。たとえば、ヨウ素に対するヨウ化カリウム、p-アミノ安息香酸に対するカフェインなどで、これらは難溶性化合物と錯塩や分子化合物(複合体、包接化合物)をつくり溶解度を高める。
(ようかいほじょざい,solubilizer, solubilizing agent)
揚程
ある圧力下の流体を流れによって別の圧力下にある高さまで鉛直に上昇させるために必要なエネルギーを流体の単位重量あたりで示したもの。長さの次元をもつ。実際のポンプ・配管系では、配管の途中に曲がりや弁があるため、実際の吸い上げ高さより大きな値が必要である。
(ようてい,lift)
溶媒抽出乾燥法
溶液中の溶媒Aとは溶解度をもつが溶質は溶解しない溶媒Bをその溶液に接触させると、溶液の溶媒Aは溶媒Bと新たな混合溶媒を作る。したがって、溶媒Bを加えることにより、溶媒Aがその溶液から除去でき、溶質は乾燥される。これを溶媒抽出乾燥法と呼ぶ。
(ようばいちゅうしゅつかんそうほう,solvent extraction drying method)
溶融コーティング法
ワックスなど比較的融点の低い物質を粉体として芯物質の表面に積層し、同時に温度をコントロールすることにより皮膜を形成させる手法。転動流動層などを用いて粒子を気相に分散させた状態で、溶融して形成された皮膜を固化させる必要がある。
(ようゆうこーてぃんぐほう,melt coating method)
溶融造粒
溶融状態にある物質を冷風中に噴霧(噴射)し、または冷却ベルト上に滴下して固化させ、球状または半球状の造粒物(プリル、顆粒、ビーズなど)を得る製造法。プリル塔による尿素の大量造粒、金属の球状微粒子化での噴霧冷却造粒などで用いられている。
(ようゆうぞうりゅう,melt granulation)
溶湯噴霧法
水やガスジェットの運動エネルギーや回転による遠心力を利用して、溶融金属を液滴化、冷却・凝固させて球形金属粒子を製造する方法。金属溶湯を容器から流下させ、高圧の水を吹き付けてその運動エネルギーにより数10~100μm程度の粒子を得るといった事例がある。
(ようとうふんむほう,melt atomization method)
抑制剤(浮遊選鉱)
鉱物の浮遊性を人工的に制御する浮選剤。多種類の有用鉱物を含む鉱石から各有用鉱物を別々に回収するために用いられる。石灰、苛性ソーダ、炭酸ソーダなどは硫化鉱物に、シアン化ソーダ、シアン化カリは方鉛鉱以外の硫化鉱物に対して用いられる。
(よくせいざい,regulator, depressant)
予混合
何らかの主処理操作を容易にするため、あらかじめ混ぜる操作。混合、捏和および混練操作が粉体プロセスの中で主処理操作である場合、凝集物の解砕分散、各種配合剤や充塡剤の秤量混合、湿分と気泡の含有量の調整などである。
(よこんごう,premixing)

ライザー
循環流動層における粒子上昇部。粒子循環流束が小さいとき、ライザー壁面には粒子の下向流が形成される。逆混合を嫌う触媒反応器では、ライザーでの粒子循環流束を比較的大きくする。循環流動層燃焼炉では、粒子の循環は熱回収上必要であり、流束を比較的小さくする。
(らいざー,riser)
ラインミキサー
流体や粉体の輸送ラインの途中で、連続的に攪拌・混合する装置。回分式に比べて滞留時間が非常に短く、コンパクトで高速攪拌操作を行うミキシングベッセルタイプのものをいう。ショートパスをなくし、流線を交錯させ、流体などを細分化する形式が望まれる。
(らいんみきさー,line mixer)
ラットホール
貯槽内の粉体を排出するときに、流出口上部だけが排出されたために貯槽内の粉体層にできた円筒状の孔。ラットホールが生じると流出口上部以外の粉体層は貯槽内に残留したままとなり、粉体の貯蔵と排出に不具合を引き起こす。
(らっとほーる,rat-hole)
ラプラス・ヤングの式
曲率をもった液体内部に生じる圧力を算定する式。半径r、表面張力σの液滴を例にとると、液滴内の圧力Pは、P=σ/rで表せる。液体表面が凸の曲率をもつときには正圧となるが、凹の場合は負圧となる。液表面が凸と凹からなる曲面の場合には、両者の圧力の和となる。
(らぷらす・やんぐのしき,Laplace-Young equation)
ラミネーション
圧縮成形機または押出し成形機から取り出された成形体が、加圧方向と垂直な方向に層状にはく離する現象。これは、型から放出される際に、型から放出された部分は弾性回復が自由になることから、型から出た部分と型内部の境目で破壊が起こることが原因とされる。
(らみねーしょん,lamination)
ランキン係数
堆積粉体層において、垂直応力が高くなり粉体層が破壊されるときの水平圧(主働圧)に対する垂直応力の比。粉体層の内部摩擦角の関数である。貯槽に充塡された粉体層内の静的圧力算定式として用いられるヤンセンの式の中で、垂直圧と水平圧の比K値の算定に用いられる。
(らんきんけいすう,Rankine coefficient)
ランキンの式
ランキンは土中の限界応力状態を、垂直応力が卓越して土が破壊するときの水平圧を主働圧、水平応力が卓越して土が破壊するときの水平圧を受働圧として定義し、力の釣り合いから、水平圧に対する垂直応力の比を限界モール円の内部摩擦角の関数として表した式。
(らんきんのしき,Rankine’s formula)
ランダム充塡
粒子を充塡したときに、充塡層内のどの部分をみても同じ配列状態が見当たらず、配列状態をユニットセルの集合体と考えられない充塡状態をさす。ユニットセルの概念が使えないので、コンピューターシミュレーションや統計的な解析が必要となる。
(らんだむじゅうてん,random packing)
ランバート・ベアの法則
光、音、電磁波は、その経路中にある浮遊粒子あるいは粉体層によって吸収あるいは散乱されて減衰する。一様に浮遊・分布する粒子群を光が透過するとき、粒子群の微小厚さdxでの光の減衰dIはその部分への入射光の強度Iと粒子群の厚さdxに比例するとする法則。
(らんばーと・べあのほうそく,Lambert-Beer law)
乱流拡散
乱流の不規則運動によって物理量(運動量、熱、物質)が広がって輸送される現象。乱流の不規則運動の程度は乱流渦の大きさによって表されるが、乱流には大規模渦も存在し、その大きさは拡散による全体の移動距離と比べて必ずしも十分小さいとは限らない。
(らんりゅうかくさん,turbulent diffusion)
乱流境界層
一般に、流体のレイノルズ数を大きくすると粘性の影響は小さくなるが、流体と接する物体の表面では流速はゼロであり、粘性作用が無視できない薄い層を考える必要がありこれをさす。管路内の乱流境界層は、壁に近い方から粘性底層、遷移域、乱流域と呼ばれる。
(らんりゅうきょうかいそう,turbulent boundary layer)
乱流凝集
乱流場では、粒子は二つの機構により衝突凝集する。一つは、乱流の空間的な不均一により生じる速度差によるもので、もう一つは、乱流の時間的変動に対する粒子の追従性が、粒子の慣性力により異なるために生じる。これらを総称して乱流凝集と呼ぶ。
(らんりゅうぎょうしゅう,turbulent coagulation)
乱流沈着
流体の乱流運動に支配されて壁近くまで輸送された粒子の一部は、壁近傍での粘性の影響で流体の乱流運動は減衰しているにもかかわらず、慣性力によって運動を継続し、流体の粘性底層を突ききって壁に到達して沈着する現象。
(らんりゅうちんちゃく,turbulent deposition)

立体反発安定化
表面に非イオン性高分子が層状に吸着するか、植えつけられた二粒子が液中で接近すると、粒子表面の高分子層の重なりが生ずるため、粒子間に反発力が働き、粒子群の分散状態が安定化する現象。この現象は微粒子の分散安定化に利用される。
(りったいはんぱつあんていか,steric stabilization)
リッティンガーの法則
粉砕に要する仕事量Wは、粉砕によって新しく生成した表面積に比例するとした粉砕仕事法則。W=C(Sp-Sf)で与えられる。Sは比表面積、添字f, pはそれぞれ粉砕前後を表す。Cは原料によって決まる係数で、単位表面積を生成するのに必要なエネルギーを意味する。
(りってぃんがーのほうそく,Rittinger’s law)
リポソーム
生体成分であるリン脂質が水中で自発的に集合して形成する二重膜からなる閉鎖胞。数μmから数10nmまでさまざまな大きさのものを調製可能である。二重膜内部に疎水性物質を封入できるばかりでなく、二重膜間に存在する水相に水溶性物質を封入できる。
(りぽそーむ,liposome)
リボンミキサー
断面がU字形または円筒形の容器内で種々の形状をしたリボン羽根が器壁とわずかの間隙をもって回転する構造の混合機。代表的な固定容器型混合機。粉体の運動が、外羽根は内向きに、内羽根は外向きに移動するような二重巻きリボン羽根構成が一般的である。
(りぼんみきさー,ribbon mixer)
粒界
金属やセラミックスの多くは多数の微結晶から構成された物質(多結晶体)であり、それら微結晶間の界面をさす。一般に粒界中の原子あるいはイオンの配列や化学結合状態は、結晶中のそれらとは異なっているため、粒界のもつ諸性質は結晶自体がもつものとは異なっている。
(りゅうかい,grain boundary)
粒界破壊
多結晶材料において、結晶粒界に沿って起こる破壊。結晶粒界では偏析が起こったり、析出物が存在したりしやすい。また、焼き戻しで粒界が弱化したときや腐食環境下では粒界ぜい性破壊が起こる。粒界にボイドが形成され、これが合体し破壊する粒界延性破壊もある。
(りゅうかいはかい,intergranular fracture)
粒子緩和時間
静止流体中に一定速度Uで粒子を射出したときに流体抵抗によって粒子速度が1/e、すなわちU/eになるまでの時間。ここでeは自然対数の底である。粒子緩和時間を無次元化すると慣性パラメーターに等しいので、粒子緩和時間は慣性の大きさを表す。
(りゅうしかんわじかん,particle relaxation time)
粒子径(粒径),粒子径分布(粒度分布)
 粒子の大きさを一次元の数値、すなわち粒子の寸法で示す場合、これを粒子径という。通常、粉体の粒子は複雑な形状をもつので、粒子径をどう定義するかで異なった数値となる、又、粒子径の測定方法も各種があり、測定原理が異なると粒子径の定義も異なるので数値が異なることが多い。
JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の用語の定義の項には、粒子径と粒子径分布について、以下の記述がある。
「粒子径 ふるい分け法によって測定した試験用ふるいの目開きで表したもの、沈降法によるストークス相当径で表したもの、顕微鏡法による円相当径で表したもの及び光散乱法による球相当、並びに電気抵抗試験方法による球相当値で表したもの。粒子径ともいう。」
「粒子径分布 粒子群を構成する粒子の粒子径に対応する分布。
備考 試験用粉体を含めて、一般に粉体はすべての粒子が均一な大きさであることはなく、ある最小粒子径から最大粒子径の範囲内に、いろいろな大きさの粒子がいろいろな割合で存在する。」
粒子成長
核生成により発生した微粒子は次第に成長するが、その原動力は凝縮と凝集である。凝縮性物質の微粒子への凝縮による粒子成長は、微粒子の表面と周囲の凝縮性物質の濃度差により生じる。微粒子の濃度が高くなると、粒子同士の衝突による凝集が粒子成長を支配する。
(りゅうしせいちょう,particle growth)
粒子設計
粒子の機能化を目的として、粒子の形状、表面特性、結晶性などの改変を設計すること。設計には表面改質、粒子複合化なども含まれる。特に医薬品産業では、用いる粒子の種類と求められる機能が多様であり、粒子の設計が活発に研究され実用化粒子が開発されている。
(りゅうしせっけい,particle design)
粒子配位数
充塡層中の一個の粒子が接触している隣接粒子の数。接触点が関係する粉体特性、たとえば熱伝導、電気伝導、粉体応力の伝播などを検討する際に重要な因子である。均一径球形粒子の最密充塡(菱面体配列)の場合、粒子配位数は12で、空間率の上昇とともに減少する。
(りゅうしはいいすう,coordination number of particle)
粒子密度
粒子の内部に含まれた閉じた空孔を含む粒子の体積で、粒子の質量を割った値。
しかし、実際には測定法に依存する。すなわち、粒子の外表面へ開いた粒子表面の割れ目や空孔を完全に濡らして、閉じた空孔のみしか残さないような測定法をとれない場合、かなり測定法に依存した数値になる。普通は高真空にして浸液を開いた空孔に満たすことにより、粒子の体積を測定する。
粒成長
多結晶物質を高温で加熱する際、その中の一部の微結晶が周囲の微結晶の物質を取り込んで成長する現象。粒成長の原動力は、粒子の成長に伴う表面や界面の全エネルギーの低下である。材料設計では添加物などにより粒成長を適切に制御することが重要である。
(りゅうせいちょう,grain growth)
流動化助剤
重力流動している粉体や流動層中の粉体の粒子間付着力や壁面付着力を低減するために用いられる微粒子添加剤。軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸カルシウムなどが用いられる。滑沢剤。
(りゅうどうかじょざい,anti-adherent, glidant, flow conditioner)
流動浸漬法
熱可塑性プラスチック粉末を物体に均一にコーティングするために用いられる方法。流動化したプラスチック微粉の中に、その軟化点以上に加熱した物質を入れると、その表面にプラスチックが溶融し、均一に広がって付着し塗装される。複雑な形状でも、ほぼ均一に塗装できる。
(りゅうどうしんせきほう,fluidized bed (immersional) coating)
流動性
粉体の流れやすさ。いろいろな流動状態に対応した指標;重力流動や振動流動では限界口径、機械式強制流動ではかくはん抵抗、圧縮流動では圧縮度、流動化流動では通気抵抗、などが用いられる。安息角やCarrの流動性指数なども一般的な指標として用いられる。
(りゅうどうせい,flowability)
流動層
容器に粉粒体を充塡し、底部に設置した整流板を通して下方より流体を流し、その流速を流動化開始速度以上にして粉粒体を流動化した状態あるいはその装置。固気系の場合も含めて、流動層は容器を傾斜させても層表面が水平になるなど、液体的な性質をもつ。
(りゅうどうそう,fluidized bed)
流動層造粒
流動層に結合剤溶液を噴霧するスプレーノズルを取り付け、流動化している粉粒体に結合剤の液滴を接触させて、粒子間に液体架橋を形成することにより凝集を起こし、造粒する方法。核となる粒子(シード粒子)に均質な溶液を噴霧してコーティングする操作もこれに含まれる。
(りゅうどうそうぞうりゅう,fluidized bed granulation)
流動層分散機
流動層を利用した粉体分散装置。粗大粒子の流動層に分散させたい粉体を供給して分散させる。このとき、層上部より流出する気流の速度を一次粒子の終末沈降速度以上で流動粗大粒子の沈降速度以下とすると、一次粒子が気流に同伴されて分散・エアロゾル化する。
(りゅうどうそうぶんさんき,fluidized bed type disperser)
流動電位
界面動電現象の一つで、固液界面に沿って液体を強制流動させたとき、流れの両端に発生する電位差。界面近傍には電気二重層が形成されており、液を強制流動させると電気浸透と全く逆の効果として電位差が生じる。界面のゼータ電位を測定するのに用いられる。
(りゅうどうでんい,streaming potential)
流動培焼
流動層により金属やその化合物などの粉粒体を流動化させながら、融点以下の温度で焙焼、すなわちあぶり焼くことで酸化、還元反応や焼結を行う操作。固定層や移動層に比べ反応効率が向上できる反面、焼結・固結が過度に起こると流動化停止が発生する。
(りゅうどうばいしょう,fluidized roasting)
流量濃度
含じん気流などの固気二相流や、スラリーなどの固液二相流における粒子濃度の表し方の一つ。粒子の質量流量を流体の容積流量で割った値。空気輸送では粒子の質量流量を空気の質量流量で割った混合比がよく用いられるが、流量濃度はこの混合比に空気の密度を掛けた値。
(りゅうりょうのうど,flow concentration)
両性粒子
アミノ基とカルボキシ基など、表面に正負両方の解離基をもつ粒子。合成ラテックス粒子などでみられる。この粒子の正味の電荷は溶液のpHにより制御される。アミノ基、カルボキシ基を併せもつ粒子の場合、低pHでは正に、高pHでは負に帯電し、その中間に電荷零点が存在する。
(りょうせいりゅうし,amphoteric particle)
良溶媒
一般に、溶質に対して溶解力の強い溶媒をさす。分散安定性の関連では、吸着高分子による保護コロイドにおいて吸着高分子鎖が非摂動時のランダムコイル径よりも大きく膨潤するような溶媒をいう。良溶媒中では、浸透圧効果や立体反発効果による分散安定化が期待できる。
(りょうようばい,good solvent)
臨界回転数
粉粒体あるいはボールのような媒体を入れた円筒形回転容器中で、壁面における粒子が遠心力によって円筒内壁に圧着したまま回転するようになるときの最小回転速度。ボールミル粉砕では、臨界回転数の55~80%の回転速度で操業するのが一般的である。
(りんかいかいてんすう,critical rotational speed)
臨界核
気相、液相および固相の核生成において、後に核となるモノマーの過飽和度が高くなると、モノマーは互いに衝突・合体および脱離してクラスターが形成される。これが核に成長するか消失するかは生成時の自由エネルギー変化で決まり、核に成長する最小のクラスターをさす。
(りんかいかく,critical nuclei)
臨界ミセル濃度
界面活性剤の分子集合体であるミセルが形成されるために必要な最低濃度。CMCと略称される。CMC以下ではほぼ単量体のみしか存在できず、CMCに達してはじめてミセル中の分子と溶液中の単量体が熱力学的に平衡となり、ミセルが形成される。
(りんかいみせるのうど,critical micelle concentration)
リングボールミル
スプリングで加圧した大きいボールベアリングを粉砕媒体として用いる粉砕機。ボールは数個から数十個を用いる。石炭の粉砕に用いることが多く、粉砕能測定法の一つであるハードグローブ粉砕能測定装置はこの形式の小型ミルである。
(りんぐぼーるみる,ring ball mill)
リングロールミル
スプリングで加圧した、通常3個の小型ローラーを水平回転テーブル(パン)上で転動させて、ローラーとパンの間で原料をかみ込んで粉砕を行う粉砕機。ローラーには平面ローラーと曲面ローラーがあり、また、パンを回転させる方法以外にローラーを回転させるものもある。
(りんぐろーるみる,ring roll mill)

ルイス酸点
固体表面に対してある分子が近づいたとき、その分子から電子対を受容する酸的性質をもつ固体表面上のサイト。ブレンステッド酸点とルイス酸点との区別は、酸点にピリジンを吸着させたときの赤外吸収スペクトル分析によって可能である。
(るいすさんてん,site of Lewis acid)
ルンプの式
粉体層に作用する応力σと粒子接触点に働く力pの関係を求めた式。引っ張りだけでなく加圧やせん断力に対しても適用することができる。粉体層の空間率をε、配位数をk、粒子径をxとすると次式で与えられる。σ=(1-ε)kp/(πx2)
(るんぷのしき,Rumpf’s equation)

レイノルズ数
流体の速度をu、密度をρ、粘度をμ、流れの場の代表長さをxとすると、Re=uxρ/μで与えられる無次元数。レイノルズ数は流体の運動に対する粘性の影響を表し、慣性力と粘性力の比として与えられる。レイノルズ数が同じ値であれば流れの状態は相似である。
(れいのるずすう,Reynolds number)
レイリー散乱
粒子が照射光の波長に比べ十分小さく、その内部場の位相は外部とほとんど違わないという仮定のもとに導かれた光散乱の近似理論。典型的な現象は気体中の散乱であり、波長の短い青い光ほどよく散乱される。空が青くみえるのはレイリー散乱による。
(れいりーさんらん,Rayleigh scattering)
レオペクシー
固液分散系で、せん断を与えることによって内部構造の生成が助長される現象。ベントナイト、石膏などの無機化合物微粒子の懸濁液についてみられる。ゆるやかにせん断力を加えると、ブラウン運動によるよりも速くお互いの粒子が接近して内部構造を形成すると考えられる。
(れおぺくしー,rheopexy)
レオメーター
流体のレオロジー特性を測定する機器の総称。粘弾性特性を測定する機器、特殊な(たとえば降伏値、引っ張り粘度などの測定)機能をもった測定機器なども含めてレオメーターという。粘度のみを測定するものは、ふつう、粘度計と呼ばれる。
(れおめーたー,rheometer)
レオロジー
物体の変形と流動を取り扱う化学の一分野。流体力学が主にニュートン流体の流れを取り扱うのに対して、レオロジーは多くの複雑流体(非ニュートン流体)を取り扱う。粉体工業での各種固体微粒子の分散系、化学工業における多くの高分子溶液などが代表的な研究対象である。
(れおろじー,rheology)
レーザー回折法
粒子径分布測定法の一種。粒子にレーザー単色光を照射すると、その粒子の大きさに応じてさまざまな方向へ回折・散乱が起こる。粒子径が大きい場合はフラウンホーファー回折理論で、粒子径が小さくなるにつれてミーの散乱理論に基づいて解析される。
(れーざーかいせつほう,laser diffraction method)
レービンダー効果
金属の機械的性質が有極性物質の溶液中で変化する現象。降伏応力、加工硬化速度、クリープ速度などにこの効果がみられる。この効果は金属と同様に、ぜい性材料の機械的性質の変化にもみられる。粉砕助剤の添加による粉砕効率の向上にもこの効果が関係している。
(れーびんだーこうか,Rehbinder effect)

ローラーの式
微粉体を充塡したときの空間率は、粒子の自重と粒子間付着力の関係から粒子径によって異なる。同じ条件で充塡した粒子径のそろった粉体の空間率は、ある臨界粒子径以上であれば粒子径に無関係に一定になるが、それ以下では粒子径の減少とともに増加するとした実験式。
(ろーらーのしき,Roller’s equation)
ロジン・ラムラー分布、Rosin-Rammler distribution
RosinとRammler が1933年、 石炭粉砕物の積算ふるい上分布(オーバサイズ質量分布)を表すのに用いた粒度分布式、積算ふるい上質量%(オーバサイズ質量%)をR(Dp)として、次式で示す。
R(Dp)= 100exp(-bDpn) ここでbとnは定数である。
横軸に logDp、 縦軸に log{log(100/R(Dp))}をとって、図表としたものをロジン・ラムラー線図(R.R.S線図 Rosin-Rammler-Sperling )といい、粒子径分布がロジン・ラムラー分布にしたがうときは、ロジン・ラムラー線図上に表示すると直線となる。

ワーク・コーラーの式
あらかじめ測定した1回の回分沈降曲線から、初濃度が同じで初高のみ異なる場合の沈降曲線群を求めるための実験式。この実験式は、定速および減速沈降期間で近似的に成立するので、小規模な実験の結果をスケールアップするのに便利である。
(わーく・こーらーのしき,Work-Kohler’s equation)
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